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異世界カクゲーSPIRIT'sサイキョー伝説[↓↘→+s] ~知ってる?異世界って格ゲー無いんだぜ(絶望)……ハッ!無いなら作ればいいんじゃね(閃き)~  作者: 宮間
Round 6/勝利演出:水面下の空騒ぎ

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138:共犯確定

俺、前世はニッポン人、名前はロック!(転生者あいさつ)




<帝都>での早朝練習で、ばったり再会した赤毛少女メグ。


久しぶりだったんで、ちょっと話し込んでいると、何やら悩み事を聞かされた。



「俺も才能ないなりに努力したタイプだから、アドバイスできる事もあるかもしれん」


「え、アンタが? アドバイス?

 魔力の使い方の?

 まあ、いいけど……」



いきなりな話だったんで、ちょっと目を白黒される。

しかし、案外、素直にうなづくメグ。



(まあ、<翡翠領(グリンストン)>で俺のオリジナル魔法を見せた事あるから、ちょっと説得力があったのかな?

 半分くらい『鼻で笑われて、論外と切り捨てられる』という可能性も考えていたんだが……)



前世ニッポンでも、そういう事が、結構あった。

例えば『俺、PCとか得意だからソレ出来ます』みたいな事を言っても『はぁ、お前が?』みたいな扱いで、偉そうな陽キャが出来なかった事をササッとすませると、お礼どころか『ケッ、オタク野郎が調子のんなっ』みたいなイヤミ言われたり、とか。



最近また、勤め先で『魔力極少(ザコ)の落ちこぼれ』という扱いをされまくる。

そのせいか、なんかちょっとマイナス思考になりつつある感じ。



(いかんなぁー。

 無闇に自信満々くらいのメンタルじゃないと、真剣勝負で遅れをとるからなぁ……)



体育競技(スポーツ)の世界でいう所の、『勝ち(ぐせ)』『負け(ぐせ)』みたいなものだ。

精神状態の調整メンタル・コントロールは、とっても大事。



── 閉話休題(それはさておき)



「でも、さっき言ったけど、わたしってホントに魔力の使い方が下手クソだから。

 初級魔法だって、5回に1回くらいしか成功しないわよ?」


「まあまあ、とりあえず1回やってみて?」


「うん……、わかった……」



赤毛少女メグが、チマチマ構成し始めたのは、多分『生活用の照明魔法』。

真剣に慎重に、なおかつ苦手分野を他人(ひと)に見られながら緊張してやったせいか、時間がかかった。


おかげで、魔力センサー【序の四段目:風鈴眼(ふうりんがん)】を自力詠唱(『チリン!』)して、じっくり術式の構成過程を観察する事ができた。



「── えい、【松明(トーチ)】っ!」



甲高い気合いの声で、魔法の照明が手の平に生み出される。

フヨフヨと揺れる光の玉は、風で消えそうなくらい頼りない感じだったが。



「おおぉ~っ」



思わずパチパチ拍手しちゃう。



「はぁ……っ、珍しく一発で成功したぁ~。

 学園の勉強をガンバったおかげかな?」


「その割に、2カ所くらい魔導文字をミスってたけど。

 まあ、致命的な部分じゃなかったから、なんとか形になったんだろう」


「え! ホントに!? 2カ所もミスしてたっ!?」



赤毛少女メグが、胸に抱えてた本をパラパラめくり、術式構文を確認し始める。

どうやら、魔法実技の教科書みたいだ。



(もしかして、早起きして魔法の実技を『ひとり練習(コソれん)』してんのかな?)



それはそれで、感心だ。



「まあ、でも、魔法発動によく失敗する原因はわかった。

 昔のリアちゃんと似たパターンだな」


「はぁぁ!? 魔法発動に失敗する原因がわかった!?

 今、ちょっと見ただけで!?

 赤魔(ウチ)の大お祖父様に相談しても『生まれつき』としか言わなかったのに!」


「………………」



何も『生まれつき』じゃねえよ。



(どこのクソ老害(ジジイ)だよ、その雑な判定してるヤツ?

 勝手に、他人の人生をムリとか、決めつけんなよっ)



ちょっと、イラッ☆とした。





▲ ▽ ▲ ▽



一度大きく深呼吸して、怒りに乱れそうになった心を落ち着ける。



(まあ、確かに『生まれつき魔力が(・・・)多い(・・)事』が、魔力操作が下手に(・・・)なりやすい(・・・・・)原因だからな。

 ある意味『正解ではある(あってはいる)』のか。

 でも、100%の正解をいうと『魔力(ちから)加減の問題』なんだけどな?)



端的に言えば『魔力(パワー)が有り余り過ぎてる』。

だから、『魔力を(おさ)える事が苦手』。



「── 結局、な。

 魔導文字を魔力で書く時の出力(・・)がメチャクチャなんだよ」



膨大すぎる(・・・・・)魔力(パワー)に対して、制御能力が貧弱すぎて(・・・・・)、振り回されてる。

魔力が『出力(オン)』と『停止(オフ)』しか切り替えできない様な状況。


前世ニッポンの自動車の運転に例えるなら、ゆっくりスムーズにアクセルを踏む事ができない人。

急発進・急ブレーキ・急発進・急ブレーキ……と繰り返している。


あるいは、『幼稚園児が絵の具のチューブを握ってグチャ~~ッとやって、文字を書こうとしてる』くらい雑な感じ。



「最初に魔力をいっぱい出し過ぎて、その後で急に出力を絞ったりとかしてるだろ?

 そういう変にリカバリーしようとしているせいで、途中で術式構文の軌線(ライン)がブツ切れになりかかってる」



靴の裏で地面の砂をならす。

木の棒で、英語の筆記体みたいな続け文字(・・・・)を書く。

そして、途中途中で線をピピッと埋めて、文字列が途中でブツ切れになっているイメージを書いてみせる。



「パッと見た目、こんな感じになってるんだよ」


「え、わたしの術式ってこんな感じなの!?」


「うん、だいぶんブツ切れ。

 逆に、よく最初から最後まで、<法輪(リング)>が回ったよな」



この異世界の魔法は、円環(・・)が基本。

文頭(はじまり)から文末(おわり)まで魔力の軌線(ライン)が続き、さらに文頭(はじまり)に戻ってないと、魔法が発現しない。


イメージとしては、前世ニッポンの電子回路に似ている。



(それが途中途中で、ぶつ切れになりかかってるとか。

 そりゃぁ、5回に1回くらいしか成功しないよな……)



電球が()かない理由は簡単、途中で電気の線が切れてます!


前世ニッポンの電気工学で言うと、そんな感じ。



ともあれ、説明を続ける。



「変なクセついてるから、すぐには直らないだろうけど。

 まずは3ヶ月ぐらいは、魔力の出力を一定にするトレーニングだな。

 取りあえず、全力で魔力を出すあたりから始めるか?

 それから徐々に出力の絞り方を覚えよう。

 だいたい半年くらいで、初級魔法なら安定して自力詠唱(キャスト)できるんじゃない?」



魔力は、魔導文字を書く絵の具であると同時に、魔法を起動するエネルギー源でもある。

だから、術式に多大な魔力を込めると、今度は破綻する。

場合によっては、術者本人も大ケガする。


前世ニッポンの電化製品でいうと、雷が落ちたら電子回路が焼き切れる(ショートする)様な事。


適量の魔力を注げる様になる事が、魔法を安定して起動させる第一歩。



「つまり、たった半年(・・・・・)で、わたしがマトモに魔法を使える様になるって……?

 ねえ、アンタさぁ……っ

 もしかして、適当に言ってないっ?」



なんか知らんが、疑念の目を向けられる。



「あのなぁ……。

 こんな事でウソついてどうするんだよ?」


「でも、わたし!

 <四彩(しさい)>の『赤魔(ルベル)』で一番の物知りの大お祖父様に!

 『生まれ持った素質の問題』とか言われたのよ!

 『この子は、どれほどガンバっても魔導師として大成しない』って言われたのよ!

 古代魔導研究の<四彩(しさい)(かばね)>の! 魔導研究の長老の! 大お祖父様にまで!!」



赤毛少女メグが、半泣きで握り拳をブンブン振り回し、自分の不遇(ふぐう)(うった)えてくる。



(わかった、わかった。

 泣かない、泣かない。

 そうよな、今まで上手くいってないからな。

 ガンバれば出来る!とか急に言われても、な。

 ぜんぜん自信がもてないし、逆に(ヘコ)んじゃうだけよな?)



涙目少女に、顔を()く用のタオル(未使用)を投げ渡して、説明を続ける。



「まあ、大丈夫だって。

 ちゃんと成功例があるから。

 この方法で、上達した子がいるから。

 ()た感じで、自力詠唱が苦手だったリアちゃんも、まあまあ矯正(なお)ったし。

 あの子も、今では普通に、中級魔法とかブッパしてるから」



そんな話をすると、赤毛少女がギョッとする。



「え、アゼリア=ミラー……?

 ……アイツも、昔はこんな感じ(・・・・・)だったの?」





▲ ▽ ▲ ▽



「ああ、まあね。

 でも、魔剣士なら問題ない事だから、『剣帝流(ウチ)』に来るまで本人も気付いてなかったみたいだけど。

 ほら、普通の<魔導具>(マジック・アイテム)なら、機巧(ギミック)が勝手に魔力を操ってくれるし。

 だけど、ウチの流派って『身体強化魔法を自力詠唱』が基本(・・)だから」



そう告げると、急にメグが黙った。

しばらくして、何か絞り出す様な、うめく様な声を出す。



「…………身体強化を……自力、詠唱?

 アンタの流派って、アタマおかしいの?」


「……まあ、それを言われると……」



はい、どうも当流派(ウチ)だけみたいだね!

身体強化魔法みたいな『クソややこしい術式』をわざわざ自力詠唱してる、魔剣士流派とか!



「ジジイが ── あ、ウチの師匠の剣帝ね ── 昔、徹夜で何日も魔物退治してて意識モウロウとした時に、

 『あ、やべぇ! 攻撃魔法と身体強化魔法を、術式混ぜて自力詠唱(キャスト)しちゃった☆テヘペロ』

 っていう事故(・・)が元で出来た術式(ヤツ)だしな。

 『剣帝流(ウチ)』の【五行剣(ごぎょうけん)】って……」



そう言うと、途端にメグが頭をかかえて、赤毛をグシャグシャし始める。



「あ……あ……あ、アタマおかしいわ……っ

 アンタたち弟子2人もだいたいおかしいと思ったけど!

 お師匠さんとか、100倍アタマおかしいじゃない!?」



うん、絶対アカンよな?


何でまた身体強化魔法に、攻撃魔法なんかを混ぜて、自力詠唱してしまったのか。

むしろ逆に、何故、爆発四散せずに(・・・)済んだ(・・・)のか。


冒険者の魔法職が『自分が発動した攻撃魔法に巻き込まれて死ぬ』とか、あるある(・・・・)事故(・・)なのに。


前世ニッポンで例えるなら『爆薬のニトログリセリンを初めて飲んだヤツ』くらいの無謀(むぼう)さだ。

(なお、爆薬のニトログリセリンは、心臓病の薬にもなる)



しかし、元・弟子という立場上、元・師匠をフォローしとかないと。



「……そういう言い方すんなよ。

 ジジイとか、無料奉仕で魔物被害の村を助けて回ってたから、武器防具どころか身体強化の腕輪まで壊れて、カネ無いから修理もできなくて、仕方なく自力詠唱でなんとか(・・・・)してたんだから……

 その頃の武器とか、農村の倉庫でホコリ(かぶ)ってた、サビまくりの(カマ)とか(ナタ)とかだぞ?

 つまりな『そういう窮地(ピンチ)でも魔物と戦える様に』という、常時戦場の心構えというか……」



そんな伝え聞き(エピソード)を話す。

しかし、メグは感心するどころか、頭をかかえたまましゃがみ込む。



「うわぁ~~……っ、う~~わぁ~~~ぁっ!

 剣帝の逸話って、聞くたびに『絶対2倍か3倍くらい話を盛ってる(・・・・)でしょ!?』と思ってたけど……

 『そんな絵に描いた聖人みたいな剣の達人とか、いるわけないじゃない!』とか思ってたんだけど……

 噂話の方が10倍(・・・)マシ(・・)って、どういう状況なのよっ?」



なんか、半泣き。

うんうん、そうよな?


剣帝(ジジイ)の思い出話とか『聞くも涙、語るも涙』な、ロクでもない事ばっかり!

聞けば聞くほど、思い出せば思い出すほど、ムカっ(ぱら)が立つぜ!!



「まあ、元・弟子の俺としては『剣帝(ジジイ)の善良さにつけこんでタダ働きさせたクズ村人ども』を、見つけ次第(しだい)、片っ端から(ボコ)ってやりてーんだが……

 報復(ソレ)はさすがに、剣帝(ジジイ)から止められてるからな……」



お陰で最近は『いつ頃どの村を回った』みたいな詳細情報を話してくれなくなった。

俺が『殴るヤツリスト(エンマちょう)』にコッソリ書いてたのが、いつの間にかバレたらしい。


いや、大丈夫だって、ジジイ!


(さき)っちょ!

(さき)っちょで、ちょっと斬るだけだからっ!


幼い妹弟子(リアちゃん)をイジメてた<封剣流>本家のクソ道場生と同じ(・・)くらい(・・・)しか、(ボコ)らないから!



「うん……それは、ホントに()めてあげて?

 多分、アンタとか妹弟子が本気で殴ったら、その人達、きっと死んじゃうと思うし……」



なんか猛獣みたいな言われ様だ。

失礼な、ちゃんと死なない様に手加減するぜ?



(ドクズどもに生き地獄を味あわせるタメになぁっ、ケケケェ~ッ!)



なんかテンションが上がって、両手がワキワキしちゃう。

右手に『五本長爪(クロー)付きの手甲』でも付けたい気分だ。



(ん~、そういえば。

 『幻■殺爪陣(ツメさしてドリル回転)』みたいな、ボタン連打で威力マシマシになる必殺技とか創れないかなぁ?)



ふと、そんな事を思いつく。

思わず、あーでもない、こーでもないと、ひとり術式をイジり始めてしまった。





▲ ▽ ▲ ▽



俺が別の事に気を取られていると、赤毛少女メグが何か思い出して、首を(かし)げる。。



「アレ……?

 でも、アンタの妹弟子って、確か魔剣士の腕輪もってたわよね……?

 あの時『カン!』って普通に、身体強化魔法を魔導具で発動させてなかったっけぇ……?」


「あ~~、それは、アレだ。

 リアちゃん女の子だし?

 いくら超天才児でも『未強化(なまみ)』だと、か弱い乙女だし?

 戦闘中に焦って身体強化を失敗したら、普通にピンチだし?

 だから(・・・)、ちょっと過保護かと思ったけど、俺が(・・)作った(・・・)



そう、妹弟子の腕輪型<魔導具>(マジック・アイテム)は、兄弟子(にいちゃん)特製!


【五行剣】は門外不出の秘伝的な身体強化魔法なんで、町の職人さんに頼むワケにはいかないし。

手作りな<魔導具>(マジック・アイテム)なのも、仕方ないね!



「お陰で、最近ちょっと<魔導具>(マジック・アイテム)調整作業(メンテナンス)が得意になってきたぞっ」



ちょっと得意顔(ドヤァ!)


兄弟子(にいちゃん)、なんだか『()(しょく)』もてちゃいそう。

このまま<帝都>生活が長引いて、もしも生活費に困る事があったら、魔法技工士(マジッククラフター)の工房にでも雇ってもらうかな?



「うん……わかった。

 もう、アンタに常識を求めるの止めるわ、わたし……」



ヘンタイが居る!

目を合わせないようにしよう!

── みたいな、態度を取られてしまう。



「なぜ……?」



理不尽な扱いに、小首を(かし)げる。

すぐに、ハッと思い浮かぶ事があった。


そう、約2ヶ月半前の、アゼリアの入学テストの騒動だ!



(も、もしかしてっ

 <魔導具>(マジック・アイテム)を無資格で造ると、密造で厳罰とかあるのか……?)



── 超 ・ あ り そ う !



特に魔剣士の身体強化魔法なんて、武門の師範(しかくしゃ)から免許(ゆるし)をもらわないと手に入らない、特別な<魔導具>(マジック・アイテム)だ。


勝手に造ってたとか、吹聴してたら大変な事になっても、おかしくない。



(や、ヤベえ事をしゃべっちゃった……?

 い、いかん、官警(サツ)密告(チク)られたら、牢屋行きかも!?)



アワワワワッ!

兄弟子(にいちゃん)、大ピンチ!

光の差さない闇の独房(どくぼう)幽閉(ゆうへい)とか、気が狂っちゃう!!



(なんとかコイツ、口封じしないと……っ)



そんな感じで、俺の頭脳が高速回転 ──

 ── そしてピーン!(ティン!)ときたのは、無法者(ヤクザもの)の流儀!



(コイツ、共犯にしちゃえ!)



兄弟子(にいちゃん)、最低だって?

知らんがな。

カワイイ妹弟子(リアちゃん)以外、どうなろうが知った事じゃねえよ(興味なし(ハナほじ))。




▲ ▽ ▲ ▽



そんなワケで!


俺のオリジナル魔法を伝授されちゃう、特別チャンス!

『ナマクラ剣士に弟子入りして魔法の達人になっちゃおう』キャンペーン開始!


魔力操作の練習にピッタリ!

限定1名様にだけ、オリジナル魔力センサー魔法【序の四段目:風鈴眼(ふうりんがん)】が当選(あたる)



「ちょっと試しに【風鈴眼(コレ)】覚えてみたらイイヨ!

 魔力の操作とか、すぐに即で秒で、マジ半端(ッパ)なくなるから!

 ホントホントぉ、スーパーミラクル起こす『たったひとつの魔法』ッスよぉ!?

 魔剣士失格(ナマクラ剣士)ウソつかないっ」



特別に!

幸運にも!

貴女だけ!

今この場だけ!

これを逃すと、二度とありませんよ!?



「なんなの、その変なしゃべり方……?

 まあ、とにかく、やってみるかな……」



だが!

案の定!


魔法の自力詠唱が下手すぎ少女メグちゃん、なワケだ!

難しいオリジナル術式なんて、何回やらせて成功しないのは、確定的に明らか!


そこで!

仕方なく!

やむをえず!

緊急避難(きんきゅうひなん)的に!


すぐさま木材をコリコリ()って、腕輪型<魔導具>(マジック・アイテム)を作ってやる!

妹弟子(リアちゃん)の【五行剣】腕輪メンテナンス用に、予備の材料いっぱい持って来てる。【風鈴眼】とか、術式のコア部分が【五行剣:風】といっしょだから、簡単に流用可)



「よし、出来た!」


「ウソでしょ、(はや)ぁっ」



有無を言わさず装着させて、(なか)ば強制的に機巧発動(『カン!』)



「うわぁ! うわわああ! 何コレ!?

 魔力がすごい光って見えるんだけど!

 なんか、いっぱい色ついて鮮やかなんだけど!

 目をつぶても、色々見えるんだけど!」



魔力は視覚でも(・・・・)とらえれる ──

 ── だが、薄い(きり)か、炎天下のロウソクの火か、という感じでボンヤリしていて細部は不明瞭(ふめいりょう)


だから魔剣士の達人は、隠れた魔物が察知できるように視覚以外の(・・・・・)魔力感知能力(・・・・・・)()()ます。


だが逆に(・・)、幻像魔法を利用する事で不鮮明な(・・・・)視覚情報を(・・・・・)補完する(・・・・)のが、この魔力センサー【序の四段目:風鈴眼(ふうりんがん)】。


つまりは『SF映画の解析装置(センサー)』みたいなイメージ。



「どうですかい、お嬢サンっ

 今なら、特別にそれを差し上げてモぉ?(粘質笑顔(ニチャア))」


「── え、ほ、ホント?

 この腕輪型<魔導具>(マジック・アイテム)もらっていいの?

 で、でも、これっって、アンタが苦労して創った秘術的魔法(オリジナル・スペル)なんでしょ?

 え、ホントにいいの、そんな大切な物……?」



裸眼で視力0.1だった子が、初めてメガネかけて視力1.5になったくらいの、クッキリハッキリな視界!

ええ、世界がこんなに緻密にできてたなんて!?

あら、あんな遠くの文字までハッキリ読めちゃう!?


── みたいな感動で、完全に気を取られている!

よっしゃ、このままゴリ押しで、『犯罪者側(コッチ)』に引きずり込むぜ!



「うんうん、ドンマイ、気にすんナぁっ

 俺タチ、一緒に魔物と戦った戦友(ナカマ)ダロぉ?

 ほら、困った時は、お互い助け合いダヨ~?」


「う、うん、わかった……

 これ、大切にするね……?」



作 戦 ど お り !(得意顔(ドヤァ!)



そう!

初めてメガネかけた『目悪い子』が、メガネ(それ)を手放せるワケないですよねぇ!

ボヤボヤで目をこらしても全然文字が読めない世界になんて、戻れないですよねぇ!?



(── これで、キサマも共犯だぁぁぁ!!)



兄弟子、勝利(ウィン)ッ!!


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― 新着の感想 ―
[良い点] アゼリアちゃんに続き、才能を腐らせてた娘が才気爆発させそうだなこりゃ…。
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