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異世界カクゲーSPIRIT'sサイキョー伝説[↓↘→+s] ~知ってる?異世界って格ゲー無いんだぜ(絶望)……ハッ!無いなら作ればいいんじゃね(閃き)~  作者: 宮間
Round 6/勝利演出:水面下の空騒ぎ

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137/236

137:特殊な訓練を受けています(自力)

俺、前世はニッポン人、名前はロック!(転生者あいさつ)




さて、みなさん、今日は大事な話があります。


ワタクシ、非常に不本意ながら。

嘔吐(おうと)に……ミス、王都(おうと)に……ミス、<帝都(ていと)>に残る事になりました。



(こっちは、早く<翡翠領(グリンストン)>に戻りたいのに……!

 ひさしぶりに陸鮫魔物(サメちゃん)かわいがり(・・・・・)してヤりてーのによぉ、チクショーッ!)



つい数ヶ月前に<聖都>(センダード)でボコボコにした暗殺者組織(ブラザーシップ)元締め(・・・)というか、親玉(・・)というか。

そんなヤバイ連中の恨みを買った状態で、闇夜に暗殺者(アサシン)工作員(スパイ)闊歩(かっぽ)する<帝都>(ゴミだめ)に、カワイイ妹弟子1人だけ残して帰るワケにはいかないワケでっ


まあ、仕方ないねっ!!(大変不満(クソワロタ)



(── まったく、兄弟子(アニキ)はツライぜ……っ

 お(ひか)えなすって! ワタクシ、生まれも育ちも異世界ファンタジー民、ブッダに来世をさずかり、姓なし平民、名はロック、人呼んでナマクラ剣士と発します!)



そんなバカな事を考えながら、いつもより早めに起きて早朝練習。

いつもより所用時間5割増しな、ストレス発散運動(ハード・トレーニング)


ボタボタと滝みたいに汗をかいた頃、なんか聞き覚えのある声が聞こえてきた。



「── アレっ

 もしかして、アンタってロック?」


「ん……?」



魔導師学園の女子生徒?

悪いが、研究機関・魔導三院にバイトに来てる『グラッツイア先輩』って風紀委員みたいなメガネ女子しか知り合い居ないぞ?



「わたしよ、わかんない?

 ほら、わたしっ、メグよ!

 マァリオとサリー姉と一緒に、<翡翠領(グリンストン)>の外れの森まで冒険者ギルドの依頼で魔物退治に行ったでしょ?」


「……あ、ああぁっ」



思い出した。

リアちゃんと、やたら(くち)ゲンカしてた赤毛少女か。



「へ~、メグちゃん?、って魔導師学園の生徒さんだったのか。

 雰囲気が全然違ったから、わかんなかった」


「まあ、今年入学したばかりなんだけどね……。

 わたしって魔導の才能がないから、実家じゃ居場所ないし。

 かと言って、サリー姉みたいに冒険者するには、腕前も度胸(・・)も足りてないから。

 せめて勉強(・・)くらい(・・・)はガンバろうと思って」


「……まあ、そうよな」



従姉妹のお姉さん・サリーさんに比べて、格段に(・・・)小さい(・・・)

まあ、年頃も小6だか中1だかくらいの年齢だから、発育(・・)が遅くても仕方ないのかもしれない。

割と小柄な部類だし、この子。


そんな感じで胸元を見ていると、



「── なんかアンタ!

 いま失礼な事を考えてるでしょっ」



バッと胸元を隠し、ムッとした声を上げてくる。



「── おおっ、そのキンキン声の感じ!

 まさに、あの時のプンプン瞬間湯わかし器な赤毛少女だっ、なつかしいなぁっ」


「……わたしって、アンタにどんなヤツだと思われてるのよ?」



なんか、ガックリ肩を落として、俯いてしまう。


そう言われてもなあ。

いわゆる『キレやすい子供(十代)』?

(と、前世でレッテル()られたな、俺たちの年代。凶悪事件のたびに。マスゴミ(・・・・)ども絶対許さねーぞ!!)


まあ、やたら騒がしい子だった、くらいの印象しかない。

戦闘では、まるで役に立たなかったし。



「ところでさっき、もう1人くらい居なかった?

 遠目で見たら、2人で剣術の特訓しているみたいに見えたんだけど……」


「ああ、幻像(コレ)かな?」



いつもの(・・・・)特訓用の『幻像魔法』を自力発動(『チリン!』)


浮かび上がる立体映像(ホログラム)は、1週間前にタコ殴り(ポコパン)にしてやった黄金爪の暗殺者で特級魔剣士な賞金首(ヤツ)

なんだっけ、『なんとかの騎士(ナイト)』?、とか言われてたアイツ。


その黒装束な大男の幻像と、模擬戦(てあわせ)みたいな単独(ひとり)訓練を、ちょっと実演してみせる。



(これ、他人(ひと)に口で説明するのが面倒だし。

 当流派(ウチ)剣帝(ジジイ)妹弟子(リアちゃん)も、術式完成させて実演して見せるまでは、『はぁ……?』って半疑問形の顔だったし。

 前世サラリーマン時代に、上司相手に『PC(パソコン)の2000年問題』を説明している気分だったし……)



手こずった相手の『記憶』を投影して、何度も反復練習する事で、最適な動きを模索するという独自トレーニング法 ──

── つまり、格闘ゲームの操作練習(プラクティス・モード)みたいな感じ。



あるいは、イメージトレーニング用の立体映像というか。

SF映画の、戦闘シミュレーターみたいな感じ。




(── うん……っ

 ファンタジー異世界の現地民(パンピー)相手には、絶対通じない説明ですね!!)





▲ ▽ ▲ ▽



そんなワケで幻像の黒装束大男と、いざ勝負。



「ヒュゥ……ッ」



模造剣の<小剣>(ショート)を構えて、呼吸を整える。



『── ジャァ!』



身長1.9mの筋肉ムキムキ(ゴリマッチョ)が、とんでもない速力(スピード)で迫ってきて、容赦ない双腕鉤爪(ダブル・クロー)の連撃を開始。



(こうやって改めて観察すると、コイツかなりの強敵だったな……

 立体の影みたいな、ヌルッとした動きで、迫ってくるし。

 前屈体勢で前動作(おこり)なく、しかも死角の真下から、片方の鉤爪(クロー)が跳ね上がり、もう片方が追撃してくるっ

 この『ジェノ■イドカッ■ーもどき』が、マジで(すき)がなさ過ぎる……!)



とんでもない身のこなしで、相変わらず感心する。


だが、事件の翌朝から、いったい何回繰り返し投影(リピート)したか。

もう既に100回は余裕で越えている、反復訓練(ヘビーローテーション)


さすがに敵の動作パターンが、身に()みついてる。

『卑怯ハメ技』(ジェノ■イドカッ■ー)連発してきても、回避・回避・回避で、すり抜け(・・・・)出来る(・・・)


でもまあ、集中してやらないと、すぐに当たって『ビリッ』と来ちゃうけど(弱電流の魔法を組み込んで、幻術に『攻撃(アタリ)判定(はんてい)』つけてる)。



(あの時は『拳術(・・)の技量はLv40~45くらい』とか雑に判断したけど。

 こうやって改めて見ると、この『野良ル■ール(ムキムキ大男)』って、実は妹弟子並(50~55くらい)腕前(たつじん)じゃない?)



技量が低そうに見えたのは、相手の油断というか慢心というか、そういうムラッ気のせいか?

今まさに再生(・・)している幻像魔法の黒装束が、まさにそうだ。

殺し合いの雰囲気をまとっているのに、手加減というか、手抜きな挙動が多い。


そのせいで、技量を(・・・)低く(・・)見積もって(・・・・・)しまった(・・・・)

相手の力量を読み間違えるなんて、生死に関わる大問題だと、深く反省。



(さらに、『未強化(なまみ)』で超人な身体能力(フィジカル)の上、<五環許し(特級魔剣士)>とか、下手すると『腰痛時の剣帝(ジジイ)』並か、その一歩手前なんじゃない?

 小回りの利く爪付き手甲(クロー)で、しかも両手装備(2刀流)とはいえ、奥義の【ゼロ(技コマンド:)三日月・(↓↘→↘↓↙←+)乱舞】([P][K])をほぼ全発を迎撃されかけた(・・・)からな。

 そういう意味じゃ、マジで剣帝(ジジイ)腰痛ver(弱体化バージョン))一歩手前の超強敵(狂キャラ)だったワケか……)



もっと早くから相手(コイツ)が本気になっていたら、ちょっとヤバかった。

ケガ人の女の子(エルちゃん)(かば)ってた俺なんて、瞬殺されてただろう。



(あと、あの時(・・・)は考えなしに(はじ)き返してたけど、この三本鉤爪(トリプル・クロー)もだいぶんヤバイよなぁ。

 いわゆる『剣士殺し』(ソード・ブレーカー)って機能(ヤツ)か?)



時折、幻影の大男が、模造剣(ラセツ丸)三爪(クロー)の間に()らえようと、何度か回転拳突(スクリュー・パンチ)みたいな動きをしていた。

下手な防御をしていたら、簡単に<小剣(ぶき)>を(から)め取られていたはずだ。



(つまり、対・剣術を専門とする暗殺術ってところか……?)



無意識に対魔物用の防御方法(大きく回避)をしていたから、敵の『剣士殺し』(ソード・ブレーカー)に引っかからずにすんでた。


対人剣術の挙動(ギリギリで避けて反撃を狙う)をしてたり、『(つば)()()い』になったら、簡単に武器(けん)を封じられていたんだろう。


そんな分析をすると、ちょっと冷や汗。



(『対人戦の剣術』に対して天敵(とっこう)性能を持つ『剣士殺し(ソード・ブレーカー)の暗殺術』も、『魔物対策の剣術』には無意味って事だったのか。

 ある意味、『相性』(かみあわせ)の勝利だったんだな……っ)



── そんな感じの単独(ひとり)訓練を続ける事、約60秒。

魔法効果時間が切れて、幻像が薄れて消えていく。


所詮は訓練用の立体映像(ホログラム)なので、【秘剣・散華(ちりはな)】みたいに念を入れて(・・・・・)幻像を何個も(・・・・・・)重ねてない(・・・・・)

だから(・・・)、ちょっと木の葉や剣先が当たったくらいで『砂嵐(ノイズ)だらけになる黒装束(くろしょうぞく)の大男』なんで、誰がどう見ても幻像魔法の産物と解るだろう。



「フゥっ……」



小休憩(しょうきゅうけい)して、呼吸を整える。


すると、赤毛少女メグちゃんが、半眼でため息ついてくる。



「……うわぁ……

 相変わらず、サラッと異常な事してくるわね、コイツ……」


「……ん?」



もしや『幻像魔法とチャンバラ(こんなトレーニング)なんて実戦の役に立たない』とか思われてる?



「── いやいやっ

 言っとくけどコレって、1週間前に実際に戦った相手(ヤツ)の幻像だからな?

 復習っていうか反復練習っていうか、『自分のこの動きはマズかったな』とか、『相手のこの攻撃はこう回避した方がいいかな』とか、思い出しながら研究しているんだからな?」


「………………はぁ。

 あの時、マァリオが。

 妹弟子と同じくらい、アンタが異常な腕前って言ってた理由が、ちょっと分かったわ……」



なんか、聞こえるか聞こえないかくらいのボソボソ声量で、呆れた感じの事を言われた。





▲ ▽ ▲ ▽



俺は、ハードトレーニング後のビショビショ汗をふきつつ、軽く雑談を振ってみる。



「ところで、才能無い才能無いって、前の時も言ってたけど。

 魔力はかなりの量あるのに、いったい何が出来ないんだ?」


「アンタも妹弟子も、普通は触れない事を、割とズバッと言うわよね……?

 まあ、いいけど……

 ()(もの)(さわ)(よう)(あつか)いより、ずっとマシだし……」



赤毛少女メグに『呆れ果てた』みたいなタメ息を、深々とされちゃう。


すまんな、デリカシーがなくて。

兄妹弟子そろって、コミュ障なんだよ、俺らって。



「生まれつき、魔力の扱いが下手なのよ、わたしって。

 例えば、生活用品みたいな簡単な<魔導具>(マジック・アイテム)なら一般向けの構造だから、そんなに問題ないんだけど。

 軍用の攻撃魔法の(つえ)とか、魔導技工士(マジッククラフター)や宮廷魔導師が使う特殊な<魔導具>(マジック・アイテム)とかは、使う本人の魔力操作技能が影響するのよ」


「へえ~、そうなんだ?」


「<四彩(しさい)(かばね)>にとって一番大事な古代魔導研究だって、研究用の<魔導具>(マジック・アイテム)を使える事が必須条件。

 つまり、『生まれつき魔力操作に問題がある』メグ(わたし)にはムリって事!」


「なるほど。

 言いにくい事を言わせて、すまんな?」



コミュ障なんで、人の心の機微(きび)みたいな事を察するの、苦手なんですよ兄妹弟子(われわれ)


しかし、<四彩(しさい)(かばね)>の落ちこぼれ少女も、すでに開き直っているのか、軽く肩をすくめるだけ。



「いいわよ、別に」



そして、なんかコッチをチラッと意味ありげに見て、小さく笑った。



だから(・・・)って(くさ)ってても仕方ないし?

 せめて『術式の知識』とか、そういう勉強でどうにかなる(・・・・・・)事だけでもガンバろうかって、魔導学院に入学したワケよ」


「うんうん、良い心がけっ

 なんだ、お前、めっちゃガンバってんじゃん?」



ちょっと見直した。


前会った時とか

『こんなに魔力量が潤沢(じゅんたく)なのに、才能ないって腐ってるとか、ナメてんの?』

『どうせお前、基本的に努力が足りないだけだろ?』

とか、偏見を持っていたんだが。


どうやら、この赤毛っ子は、キチンと努力をしていて、なお『才能の(かべ)を越えられなかった』不遇(ふぐう)なタイプらしい。


生来の魔力が極少(ザコ)で魔剣士になれなかった、俺 ──

── 『ナマクラ剣士』としては、他人事とは思えない。


まあ、我ながら『安い同情心』だとは解っている。

だが、同じく『才能なし同士』だ、ちょっと助け(ちから)になってやりたい。



「── なあ、メグちゃん?

 試しに、ちょっと魔法を自力詠唱(じりきえいしょう)してみてくれない。

 キミの魔力の使い方が、ちょっと見てみたい」



だから、そんな事を提案した。



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