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異世界カクゲーSPIRIT'sサイキョー伝説[↓↘→+s] ~知ってる?異世界って格ゲー無いんだぜ(絶望)……ハッ!無いなら作ればいいんじゃね(閃き)~  作者: 宮間
Round 6:帝都ステージ

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133:そういや居たなこんなヤツ

俺、前世はニッポン人、名前はロック!(転生者あいさつ)




<帝都>生活も3ヶ月目。


そろそろ夜風も肌寒く、秋の気配も深まる、今日この頃。

皆様、いかがお過ごしでしょうか。


こちらは、みんな元気です。

むしろ、<ラピス山地>の方が心配です。


大丈夫? 

俺の陸鮫(サメ)ちゃん、絶滅してない?

ジジイ、腰の調子がいいからって、狩りすぎてない?

貴重なフカヒレ材料なんだから、優しくしてあげてね?



── そんな私信(ししん)は、さておき。


当流派(ウチ)妹弟子(アゼリア)は、無事お友達ができた。

年頃の少女らしく、キャッキャウフフな学園生活をエンジョイ。

週末のランチのたびに、そんなニコニコ報告を受けてる。


『コミュ障な妹ちゃんが、学園の寮生活で孤立ご飯(ぼっちメシ)してたらDO(ドゥ)しよう!?』

という、兄弟子(にいちゃん)の過保護すぎる心配は外れて、ちょっとひと安心。


むしろ、士官学校の同級生たちは皆、寮生活で自立心を育てている。

保護者(ふけい)がいつまでもシャシャリ出る方が、ダセーよなぁ。

せっかくクラスに()け込んでいるのに、逆に悪目立ちしちゃう。



── つまり、兄弟子(にいちゃん)、無事にお役目ご免なワケだ。



(── 勝ったな。

 ちょっと銭湯(フロ)ついでに、裏組織(ヤクザ)(ボコ)ってくるっ)



そんな野球中継を途中で切り上げる心地で、雑務の片付け。



銭湯(セントウ)の前に戦闘(セントウ)でひと汗、ってな!(ひとり笑(ププッ!)



「── そんなワケで!

 お邪魔してま~~す!!」


「意・味・が・わ・か・ら・ね・ぇ・~~!」



なんか、見るからに反社会的勢力(ワルモノ)が何か叫んでる(笑)

コイツらホントに、港沿いの廃倉庫が好きだな~(呆)


フナムシかよ。

夜なのに、服もだいたい黒いし。



「オッスオッス!

 ちょっと『スト2ごっこ』しに来ただけだって、気にすんな。

 背景が船着き場だけに」


「は? スト? ツー? は? 何?」



あ、お前、車な?

ボーナスステージの。

レッツ、炎上いい?(エンジョイ)



「というワケで、波■拳代わりの【三日月(みかづき)】で、ドーン」


「ギャアァッ!」



ボーナスステージの自動車代わりの黒服を、飛ぶ斬撃波(非殺傷バージョン)で吹っ飛ばす。

すると、廃倉庫の中から、バタバタと足音が。



「── なんだ!」「今の声は!?」「カチコミか!?」「どこの組織のモンだァ!」



なんかヒゲとかハゲとかデブとか、いかにも反社会(ハンシャ)強面(こわおもて)がワラワラ。

しかも、鉄パイプとかナイフとか、色々持って来ている。



「おいおい、これじゃ対戦格闘(格ゲー)じゃなくて、横移動アクション(フ▼イナルフ▼イト)じゃんかぁ~?

 WAHAHA(ワハハ・)HAhhhh(ハァ↑ハアァ↑)(アメリカンな笑い)」


「何笑ってんだ!?」「イカれてんのか、コイツッ」「官警(サツ)じゃねえなら、容赦しねえっ」「テメーら、ブッ殺してやれっ!」



(いいのそれで、キミたちぃ?

 オジサンとか、『これぞ武■流』しちゃうよぉ?)



そんな感じで今日もまた、最近の入浴前の健康習慣(ルーティーン)

裏社会退治(ゴミそうじ)』が始まった。



── みんなの<帝都>をいつもキレイに。

── 最近、マナーの悪い『裏社会』が目に付きます!

── 可憐で純粋で天使過ぎる妹弟子(リアちゃん)に迷惑です、気をつけましょうっ!!



そんな感じの、兄弟子的社会奉仕活動(ボランティア)強化月間(キャンペーン)なのである。





▲ ▽ ▲ ▽



リーダー格らしい白スーツのスキンヘッドが、黒服一同に指示を飛ばす。

怒声と共にツバも飛ばす。



「なめやがって、ブッコロせ!」


「いやいやいや~!

 そこのオッサンって、出来ない事とか言わない方がいいよ?

 あとが格好悪いし、ププッ」


「── 殺せぇっ!!」



興奮のあまり、口から泡まで飛ばす。



「ありゃりゃ……」



暴力業界(アウトロー)も、やっぱり体育会系なんだろう。

年下で部外者の忠告助言(コンサルティング)とか、耳も貸してもらえない。



「しゃぁっ」「オラァ!」「死ね!」「くたばれぇ!」



(うっひょぉ~!

 四方同時攻撃とか、テンションあがるぅ!!)



新技の開発にちょうど良くて、内心ウッキウキ。

オリジナル魔法の試作版を、自力発動(『チリン!』)



── カンカンカカァ~ンッ!



「なんだ!?」「バカなぁッ」「コイツ、素手で!」「鉄パイプをっ」



生身の両腕で、金属の鈍器攻撃を跳ね返し(・・・・)たら(・・)、目を丸くして驚かれた。


手刀(てがたな)』の形で力をこめて、皮膚の上に【序の一段目:()ち】を皮膜保護(コーティング)

昔『手刀(これ)でスパスパァ~ンと木とか斬れたらカッコイイよなぁ~(無理でした!)』とか遊んでたネタ技(オモチャ)だ。


だが、街中を素振り様の模造剣(ラセツ丸)を持ち歩いているだけで、『職務質問』(ちょっと、いいかな?)されちゃう平和すぎる<帝都>では、護身用・防御用に使えそう。

そんなワケで、最近ちょと大幅先鋭化(ブラッシュアップ)している最中。



(うう~ん、まるで『侍魂(サ▲スピ)』で武器破壊された後みたい……)



── オイ、素手でカキンカキン武器ハジくのかよ!?(吹笑(ブフォッ)

という初見の衝撃を思い出して、ちょっと懐かしい気持ちになる。


まあ、昔のゲームだから、防御のエフェクト使い回しなのは仕方ないのかも知れないが。



魔法付与(エンチャント)……いや、防御アップだから、身体強化か?

 ……となると、序の二段目で……

 まあ、凝固(ぎょうこ)って事で、『()し』かな?

 ── いや、(はだ)表面に接着するイメージなんで……『()り』とかの方が語呂(ごろ)的にも良さげ……?」



そんな風にひとりでブツブツ言っていると、暴力業界(アウトロー)従業員(ワーカー)さんたちは、警戒の顔で遠巻きに。



「コイツ、おかしな事をっ」「薬物中毒(ヤクチュウ)か!?」「なるほどっ」「痛みがマヒしてんのかよっ」



勝手に、変な推測さえ立てられるちゃう。

迷惑な。



「自分が低能無知無学だからって、変な決めつけは、どうかと思いますよ?」


「うるせえ、狂人女(イカれオンナ)っ」



デブが、ナイフの腰だめで突っ込んでくる。

なんという任侠映画(Vシネマ)(しゅう)

思わず『チャララ~ン♪』とか仁義のないヤクザ抗争的な音楽(BGM)を口すざんじゃう。



「死ねぇ~~、狂人(イカれ)がぁ~!!」


「ち、仕方ねーな……」



『ナイフを防ぐ』だけなら、ともかく。

体重100キロ近い柔道家体型のオッサンの体当たり(タックル)には、純粋に力負けしちゃう。


なので、愛剣・ラセツ丸の出番。

最近練習中の、回転居合い。

ギリギリまで引きつけ、ヒラリとジャンプ回避しながら、後頭部にゴツンと一撃。


リアちゃんの得意技の、空中回避&反撃(カウンター)を自分なりにアレンジしたヤツだ。



「……ぐぉっ」



失神した巨漢(デブ)オヤジはボテンとつんのめり、ダッシュの勢いのままゴロゴロ転がる。



「この身のこなし!

 コイツ、魔剣士かっ!?」



リーダー格らしい白スーツのスキンヘッドが、見当違いな事を血走った目で叫ぶ。



── 違いますぅ!

── 魔剣士になれなかったナマクラ剣士ですぅ!

── 本職の魔剣士はこんなもん(・・・・・)じゃ、ありませ~~ん!(『剣帝流(当社)』比)





▲ ▽ ▲ ▽



そんな感じで15分ほど暴れたかな?

割といい汗かけた。


個人的に、今日の名場面(ハイライト)は、背後から忍び寄ってきたヤクザ者に後ろ手に捕らえられて、



── 『な、なんだよぉ、コイツぅ! は、はなせよぉっ(棒読み)』



── 『よくやった!』

── 『そいつを離すなよっ』

── 『ゲヘヘッ、どう料理してくれよう!』

── 『おい、他の連中も呼んでこいっ』



── 『ちくしょー! こんなヤツら剣さえ使えれば、全員ボコボコにしてやるんだぁ(棒読み)』



── 『このクソ(アマ)ぁ、よくも好き勝手暴れてくれやがったなぁ!?』

── 『おい、魔力封じの首輪をもってこらせろっ』

── 『サメのエサにしてやる、覚悟しなっ』



── 『うるさい! ボク様はサイキョーの魔剣士なんだぞぉー(棒読み)』



── 『ウヒヒィッ、捕らえられたら凄腕魔剣士だって、形無しだっ』

── 『その前に生き地獄をみせてやるっ、女に生まれた事を後悔しやがれっ』

── 『ヒーヒャヒャヒャヒャッ、上玉じゃねえか、ぶっ壊すのがもったいねー!』



と、周囲の面子(ギャラリー)が充分に盛り上がった所で、種明かし。



── 『……はい。みなさんが(みにく)い性根を出し尽くすのに、3分かかりましたっ』



俺がそう言うと、同時にドサッと倒れる、背後のヤクザ者。

そもそもコイツ、後方に忍び寄ってこっちの手を掴んだ瞬間に【撃衝角・劣】アタックラム・マイナーの至近距離衝撃波を腹にブチ込んでいるんで、とっくに気絶済み。


いやー、気絶した大の大人を背中で支えるの、面倒くさかったー。

すぐバランス崩れて倒れそうになるから、バタバタ暴れる演技で誤魔化すの、大変っ!

俺、必死(苦笑)



── 『はぁ!?』

── 『なんだ、何がおきたっ』

── 『いつのまにっ』

── 『どうやった、魔法か!?』



しかし、頭脳(おつむ)の残念な反社会(ハンシャ)の皆さんは、すぐに呑み込めないのか、ドタバタ。

まあ、頭脳(おつむ)が素晴らしければ反社会勢力なんてならずに、それを利用する悪徳商人の方になるよなぁ、普通。



── 『センセイやっぱり、弱い立場の人への、おもいやりとか、優しさとか、大事だと思うんです』

── 『と、いうワケで! 社会のクズ滅殺(めっさつ)ぅ!!』



わざわざ囲んで集まってくれた反社会(ハンシャ)の皆さんを、範囲攻撃の必殺技【秘剣・三日月(みかづき)参ノ太刀(さんのたち)水面月(みなもづき)】で一網打尽である。



「── フゥ……ッ

 ゴミを掃除して、さっぱり汗も流して。

 これで、気持ち良くグッスリ眠れるなぁっ」



銭湯帰りに、ひとりルンルン。

思わず『チャララ~ン』と鼻歌も出ちゃう。



「よ~し兄弟子(にいちゃん)、今日は近道しちゃうぞっ」



ちょっとした出来心で、オリジナル魔法を自力発動(『チリン!』)

たまたま今日使う機会がなかった、短時間(ショート)版の身体強化(スピードアップ)【序の二段目:()し】で、建物の壁をシュパパパッと登る。

3秒くらいで、3階建てのレンガ建物の屋上に到着。


── 上機嫌のあまり、そんな余計な事(・・・・)をしちゃう。



「く……っ

 このままでは……追っ手がっ」


「………………」



なんか、片膝ついて血まみれの肩を押さえている、褐色少女がいた。





▲ ▽ ▲ ▽



「うぅ~ん……?

 なんかキミ、見た事あるような……」


「── ハァ、『剣帝流』の一番弟子ぃ……!?

 ドーシテ、アナタがこんな所にいるんデース!」



褐色のメガネっ()が、ギョッとした顔で立ち上がりかける。

しかし、すぐに顔をしかめて、座り込む。



「……(イタ)タ……クッ、傷が……」



何か思い出した、このカタコト口調。

アレだ、アゼリアの『帝都の文通相手(おともだち)』。


そういえば居たな、軍属スパイ女子(こんなヤツ)



「おいおい……どうした。

 飛翔魔法の改造に失敗して、高速で肩から落ちた感じ?」


「……か、改造、魔法デースか……?

 ダレが、ソンな無謀で命知らずなバカなマネを……っ」



心配して声かけたら、盛大に存在否定(ディス)られた。



「………………」



よくある事だと思うんだけどなぁ。

年頃のヤンチャな少年の時期とか、特に。


空を自由に飛ぶとか、永遠の憧れだと思うし。



「……とりあえず。

 はい、<回復薬(ポーション)>。

 手持ちの、安いヤツだけど」


「………………」



褐色メガネっ娘は、5秒か10秒くらい、すごい百面相。



「……解りまシ、た。

 今は、その好意に、甘えマース……」



そして、迷った挙げ句に、ピンク液の小瓶を受け取る。


彼女が<回復薬(ポーション)>を呑み終わるのを待って、ちょっと声をかける。



「── 確か、エルちゃん、だったっけ?

 こんな治安の良い<帝都>で、なんでそんなケガを?

 何か、街中に魔物でも入り込んだ?」


「……魔物、ではないデース。

 フフッ、なるほど『辺境の聖人・剣帝』の弟子だけありマース……」


「はあ……」



いや、肩の出血が、どうみても獣爪(ツメ)の傷痕っぽいから、そう聞いたんだが。

なんか『世間知らずだな』みたいな苦笑いをされてしまう。


んじゃ、それって、対人戦の傷なの?

前世ニッポンのニンジャ武器の鉤爪(かぎづめ)みたいな感じ?



「善良な好意、とても感謝しマース……

 でも、ワタシを置いて逃げてくだサーイ……

 アナタの手には負えない、相手 ──

 ── クッ!?」



なんか、やたら『覚悟完了!』な台詞の最中に、急にうずくまる。



「お、大丈夫?

 ちょっと傷にシミた?」


「か、身体の、中が……熱いぃっ

 ── な、何を呑ませたぁっ!?」



急に熱病にかかったみたいな、真っ赤な顔で、潤んだ瞳。

親の(かたき)みたいに、すごいニラまれる。



「あ、それ、<回復薬(ポーション)>の効果。

 ああ、ビックリしたのか、大丈夫、大丈夫」


「う、ウソつくなデース!

 い、いままで、こ、こんな事、なかった……っ」



そういや、みんな最初呑んだ時、こんな感じの過剰反応してたな。

その内に、身体が慣れるんだけど。



「あ~……。

 うん、そうか、ゴメン、忘れてた。

 いつも剣帝(ジジイ)妹弟子(リアちゃん)しか呑まないからな。

 それ、俺が色々と成分足した、改造<回復薬(ポーション)>。

 ほら、<ラピス山地>ってヤバイ毒もってる虫とか植物とかいっぱい居て、その成分って使い様によっては薬になるワケで?

 治療院の先生とか、製薬(ポーション)職人とかに薬効のある材料を聞いて、色々混ぜてんだよ。

 言ってみれば、オリジナルブレンドの<回復薬(ポーション)>?」



そう『ビックリした? ゴメンね、大丈夫ダイジョーブ』と背中を()でつつ、説明してあげる。

しかし、何故(なぜ)か、ツバを飛ばす勢いで大騒ぎ。



「しょ、正気じゃないデース!

 何て物を他人(ヒト)にぃ!?」


「でも、ほら。

 そろそろ、血が止まったんじゃない?」


「── え、え、ありえナーイ!?

 な、な、なんなんデースか、この即効性!

 まさか、<神癒薬(エリクサー)>ぁ!?」



相変わらずギャーギャーうるさい子だな。

そんなに暴れると、ようやく(ふさ)がった傷が開くぞ。



「── チ……ッ

 追いつかれて、しまったデース……っ」



なんか急にシリアスな顔になった。



『クックックッ……』『“殺戮人形”(キリングドール)といえど、人の子』『この人数には勝てまいっ』『おや、増援か?』『フンッ』『今さら1人増えたところでっ』



なんか急に変なヤツらに囲まれた。

人相(にんそう)(かく)しにマスクしているせいか、妙にくぐもった声で、聞きづらい。



「に、逃げて……っ

 ワタシが、ヤツらを、引きつけマース!

 その(すき)に、脱出を……っ」



なんか妹弟子の友達が死にそうな顔をしてきた。



「…………………」



── 結論。


とりあえずボコるわ。




!作者注釈!


2023/06/27 【序の二段目:()し】がピンとこなかったので【序の二段目:()り】に変更してます

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