表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界カクゲーSPIRIT'sサイキョー伝説[↓↘→+s] ~知ってる?異世界って格ゲー無いんだぜ(絶望)……ハッ!無いなら作ればいいんじゃね(閃き)~  作者: 宮間
Round 5:聖都ステージ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

106/236

106:vs剣魁殺し(前)

俺、前世はニッポン人、名前はロック!(転生者あいさつ)




さて、場所は引き続き、商店だか役所だかの3階建物の屋上。

段々と激しくなってきた夕雨に濡れて、ちょっと寒くなってきた。


不意打ちをしてきた30代(なかば)ばの黒赤髪(メッシュ)男は、どうも暗殺者チームのリーダーっぽい。



「『凍てる(おおかみ)』が、自分の毒でやられるなんてなぁ。

 まったく、とんでもないガキみたいだな」



リーダーらしい男は、そんな事を言いながら、ブラブラ歩いて倒れた毒使いに近づく。


割と無防備そうな背中だが、うかつに手を出して罠だったら面倒だ。

なので、とりあえずは様子見。


その間に、リーダーは倒れた部下(?)を担ぎ上げる。

そしてそのまま、平屋根の壁に洗濯物みたいにひっかけた。



「この辺りに転がられていると、流石に邪魔だ。

 ── さて、待たせたな『剣帝流の一番弟子』くんよぉ?」



途端に、ダン!と壁を蹴って、突進。

濡れた平屋根の滑りやすさを、そうやって対策してくる。



(超人的な身体能力の、魔剣士の弱点(・・)だよな……)



俺はそう分析しながら、防御のオリジナル魔法【序の三段目:()め】を自力詠唱(『チリン!』)


キン!と突進刺突(ツキ)を受け流せば、(あん)(じょう)の結果。

前世ニッポンのバイク並のスピードで突っ込んできた魔剣士は、止まりきれない。


まさに雨の日のバイクみたいに、ツル~ン!と空滑り(スリップ)してすっ飛んでいく。



(── 筋力(パワー)速力(スピード)が有り余り、空回りしてしまう)



それが、魔剣士(ちょうじん)の最大の弱点(・・)だ。



「カハハッ、やはりそうか!

 不意打ちなんかでは、傷ひとつ付けられないかっ」



リーダーは、平屋根の端の壁を蹴って止まる。



「なんて()甲斐(がい)のある『本物(ゴチソウ)』だ!

 機会(チャンス)を下さった聖教の神に感謝だなっ」


「暗殺者のくせに、なんつー事を言ってやがる……」



やたらハイテンションな裏稼業(バチあたり)に、ちょっと呆れて突っ込んでしまう。



「悪い悪い。

 最近<錬星金(オリハルコン)>の剣を手に入れたのに、あまりに下らないターゲットが多すぎて。

 ようやく斬り甲斐のある相手に巡り会えて、ちょと浮かれてたのさ」


「へ~、それが<錬星金(オリハルコン)>?

 初めて見た」


「こんな物でいいなら、見せてやるさ。

 自分の心臓に生えた姿を、好きなだけ見るがいい!」



黒赤髪(メッシュ)の男が、また壁を蹴って急加速。

今度は、微妙にカーブしながらの突進斬り。


普通なら(かわ)せそうな一撃だが、雨降りの足下が石床でツルツル。

ハデに動くと、むしろ体勢が崩れてピンチになる。

なので完全回避というより『避けながらの受け流し』みたいな対応。


── だが直後に、背後でジャバー!と妙な水音。

片目に映した魔力センサー【序の四段目:風鈴眼(ふうりんがん)】で見る、相手の位置がおかしい(・・・・)



「── チィ……っ」



ほとんど勘で、斜め前に飛び込み前転。

同時に、シュパン!と頭上を金色の斬撃が通り抜けた。



「カハハ、なんだお前っ

 後ろに目でもついてるのか?」



黒赤髪(メッシュ)の暗殺者は、背後から前に通り過ぎた後、両脚を滑らせて振り向く。

ほとんどアイススケートみたいな動きだ。


雨降りの石床の上は、滑って踏ん張り(グリップ)が効かない。

だから(・・・)逆に、氷上のように『横滑り(ドリフト)』で方向転換──

── 簡単にやってみせるが、難易度は<魄剣流>の『滑るように歩く歩法』以上だ。



「……ムチャクチャな歩法を使うヤツだな」


「簡単に避ける相手(ガキ)が言うセリフか?」



なんか呆れた目を向けられる。

そして、アイススケートみたいな高速機動で、また斬りかかってきた。





▲ ▽ ▲ ▽



この暗殺者チーム。

人前でベラベラ秘密とかしゃべっちゃう、アホアホ集団というイメージだったんだが。


そもそも、魔剣士というエリート街道からドロップアウトで裏稼業とかやってるんだから、だいぶん低レベル(落ちこぼれ)なんだろうと思ってたんだが。


思いがけずに手強いし、手練れだ。



(まったく、この前の『神童コンビ』レベルに()るなんて、聞いてねーよ……っ)



内心グチがでちゃう。

さっきの毒がまだ残っててピリピリするのもあって、ちょっとウンザリ気味。


さて、ちょっと剣術Lvを整理してみよう。




剣術Lv25 …赤毛少年(ニアン)

剣術Lv30 …<轟剣ユニチェリー流>の一般道場生


 ↑↑ ここまで【秘剣・三日月(えんきょりこうげき)】で必殺(ワンパン) ↑↑


剣術Lv35 …<轟剣ユニチェリー流>の師範代クラス


 ↑↑ ここまで【秘剣・速翼(とっしんこうげき)】くらいで倒せる ↑↑


剣術Lv40 …<魄剣流>の神童ルカ(ほそめヤロー)

剣術Lv45 …<天剣流>の金髪貴公子(ヒョロいイケメン)


 ↑↑ ここまで【秘剣・木枯(こうそくれんだ)】で防御を崩せる ↑↑

 ↓↓ ここから、うかつに必殺技ブッパすると迎撃(カウンター)くらう ↓↓


剣術Lv50 …妹弟子(アゼリア)

剣術Lv70 …剣帝(ジジイ)(腰痛ver(バージョン)




……え、ジジイの全力だとどんな感じだって?



(俺の未完成奥義【ゼロ三日月(みかづき)乱舞(らんぶ)】(↓↘→↘↓↙ ←+ [P][K])を全撃相殺(そうさい)して、技後の硬直(スキ)にブッ飛ばされるんだよ(経験済み)。

 ── 言わせんな恥ずかしいっ)



そんな、最近腰の調子が良くて、ちょっとハッチャケてるジジイの話はよしとして。



(この暗殺者リーダーが、さっきの感触通り『剣術Lv45』なら、【木枯(こがらし)】の連撃で防御コジ開けるのが早いんだが……)



いかんせん、相手の動きが、かなり速くて複雑。

さっきの『毒使い戦』を見られたんだろう、明らかに魔法を警戒されてる。

攻撃後即離脱(ヒット&アウェイ)で絶え間なく動き回り、さらに数秒の休息(きゅうそく)時間もくれない。


お陰で、なかなか必殺技のタイミングが取れない。



「カハハ、なるほど!

 魔剣士未満(おちこぼれ)のくせに『剣帝流の一番弟子』と名乗るだけあるようだっ」


「………………」



俺は、反論しないワケではなく、息が上がって声が出せない。


しかし、なんでコイツら、さっきからペラペラしゃべるんだ?

暗殺者ってもっと寡黙な印象があったんだけど、



「ならこっちも本気だ!

 未強化(なまみ)で『特級の身体強化魔法』に、どれほど付いてこれるかなっ!?」



黒赤髪(メッシュ)の男が、『カン!』と腕輪型<魔導具>(マジックアイテム)を発動。



今までの50%増くらいの速力で、3階の平屋根を駆け回る。

息をつく(・・・・)間もない(・・・・)高速機動(ハイスピード)と連撃。


パシュン!パシュン!ジュバーン!と、雨の日のバイクみたいに、水切りながら突進してくる。

ガン!ガン!ガン!と割と防御で精一杯。



(というか、さっきからホントに、攻撃のタイミングが読みにくい。

 リズムが変というか、呼吸が(・・・)読めない(・・・・)というか……)



さて、どうしようかね。

休む間もなく連続攻撃されていて、割と防御で手いっぱい。


それに、さっきの『毒使い戦』もそうだが、『限定解除コード(リミッターはずし)』が上手くいってない。


相手は躊躇(ちゅうちょ)なく『殺し』に来ている、ってのに。



(まさか『使えば必ず殺す(・・・・)』のが『必殺技』の弱点(・・)になるなんてなぁ……)



例えば、相手が魔物だとすれば、この程度は(・・・・・)ザコ(・・)(せいぜい脅威力2~3?)。

必殺技1発で充分に片が付く。


だが、人間相手となると『活人剣』(ひとごろしNG)モードが解けてない事が支障になる(ボトルネック)

つまり、斬り殺す(・・・・)事ができない。


非・殺傷モードの必殺技なんて、実質的に攻撃力10%~20%くらいの物だ。

となると『殴り倒す(・・・・)』ために、何回も(・・・)必殺技を使う事になる。

そして、何回も(・・・)必殺技を使って見せれば、上級者(このレベル)の魔剣士はすぐに分析して対処してくるだろう。


つまり、『ここぞ』というタイミングまで温存しないと、自分の首を絞めるだけ。



(……いかんな。

 正直、対人戦の真剣勝負って物を ── 『活人剣』(コロさず、たおす)って物をちょっとナメてた。

 もうちょっと『非殺傷(・・・)・制圧技』みたいな『必殺技(・・・)』を創っとけばよかったか……?)



もはや迷走しすぎて、自分でも何言っているか解んないけどな。



そんな事を考えていると、ムダにテンションが高い暗殺者のリーダーが何か言ってくる。



「── カハハ!

 流石は『剣帝流』! 堅牢で的確な防御! <小剣>(ショート)の達人という事か!」



あ、ちなみに、剣の特性っていうか武器全般というか。

長いほど攻撃向き、短いほど防御向き、っていう特徴がある。


そういう意味じゃ、<小剣>(ショート)ってのは『盾代わりに使える剣』って感じ。

つまり防御特化。


で、コイツら暗殺者チームが使ってる<中剣(ミドル)>は『攻防バランスが取れた剣』。

言うなれば、対人戦特化。


魔物退治に活躍する<正剣>(フォーマル)とか<長剣(ロング)>とかは『かなりの攻撃特化』という分類かな。

逆に『対人戦』になると、予想外(トリック)戦法みたいな小手先の技(・・・・・)が勝負の決め手になる分、防御が(・・・)おろそか(・・・・)な長い武器は(すき)を突かれやすい。


── 以上、豆知識(マメ)的な解説おわり。



「だが、その自慢の受け流しも、いつまで保つかなっ!?」


「………………」



俺は、ハァハァ呼吸を整えるのが精一杯な感じ。


暗殺者は、一度大きく空気を吸い込むと、再び高速機動(ハイスピード)で駆け回る。

今度は、回転(スピン)を多用した、トリッキーな死角攻撃。


バシャーンと水切って背後に回り込み、ヒュンヒュンヒュン!と死角からのスピン斬撃。

まさにアイススケートじみた動きになってきた。



(……おいおい、動きがハデになった分、狙いが雑になってるぞ?)



いつか神童と模擬戦(てあわせ)した時も思ったが。

剣術Lv40~45とかだと、特級の身体強化魔法を使ったら、パワーとスピードを持て余しがちになるのかな。



(しかし、ウチの子(リアちゃん)とか、昔から『特級の身体強化』とかフツーに使いこなしてるんだが……。

 剣術Lv5とか10違うだけで、そんなに差がでるもんか?)



まあ、妹弟子(アゼリア)は超天才児だし、と言ってしまえばそれまでだけど。



「恐ろしいか! これが特級の魔剣士を敵に回すって事さ!」



突進の下段斬撃で飛ばされ、横滑り(ドリフト)旋回の追撃を空中ガードしてやり過ごす。

せっかくの必殺の連撃(コンビネーション)が、単発×2回になってしまっている。


つまり、走速(スピード)出過ぎ(・・・)なせいで、細かな間合いの調節が利いてない。

解りやすくPC(パソコン)で例えれば、マウスの移動速度5倍とかしたら、明後日の方向に飛んでいくような感じか。


完全に、スピードを持て余してやがる。



(……うわー、流石は特級の身体強化魔法だぁー(棒読み)

 こわいなー、すごいなー、未強化(なまみ)じゃ対抗できないなー(棒読み))



暗殺者は、高速移動攻撃にこだわるせいか刺突(ツキ)と横()ぎばかり。

特級の身体強化でスピードは上がったが、動きが雑でワンパターンな分、対応がしやすくなってきた。


それに、いい加減、相手の不可思議(トリッキー)な動きにも慣れてきたので、回避や防御を最小限(コンパクト)に動作を削っていく。


── すると、暗殺者は1度、腕輪型<魔導具>(マジック・アイテム)に触れて、動きを止める。



「……フンッ、本当によく粘るなっ」



多分、特級の身体強化魔法の制限時間がきたから、かけ直したんだろう。

すぐに、『カン!』と機巧(きこう)発動音。


暗殺者リーダーは、仕切り直しとばかりに、黄金色の宝剣を構え直す。



「しかし、この<錬星金(オリハルコン)>の剣の攻撃を、それだけ耐えるとはね。

 その模造剣(ナマクラ)、いったい何で出来ているんだよ?」


「……ただの鋼鉄製、<魔導鋼(マグサロイ)>ですらない」



【序の一段目:断ち】を非殺傷モードで魔法付与(エンチャント)してるから、耐久性が上がってるだけなんだけどね。

数合の打ち合うたびに、魔法付与(エンチャント)かけ直さないといけないから、相当な業物(ワザモノ)であるのは間違いないんだが。


それを素直に教えてやる理由もないので、ちょっとおちょくって(・・・・・・)やる。



「ってか、逆にその剣、本当に<錬星金(オリハルコン)>なのか?

 お前、ニセモノつかませられたんじゃね?」


「── ……っ!?」



心当たりでもあったのか、暗殺者リーダーの顔が引きつった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ