3話 出会い3
「なんだ。パーティを組んでほしいということだったんですね」
「そうだよ。誤解が解けてよかった」
レストランを出たアジベル達。
少女への誤解を解いて、疲れきったようにぐったりした様子で歩いている。
「危うく、レストランを出禁になるところだった」
「ごめんなさい。私のせいで色々迷惑をかけてしまって」
少女の申し訳なさそうな様子にアジベルは笑顔で誤魔化した。
「大丈夫。それに誤解させたのは俺の言葉が悪かったんだから」
とはいっても内心ではかなり痛手をくらっていた。
レストランは少し高めの値段がするところで彼女が食べた合計金額が安い宿なら5日くらいほど泊まれてしまう。
アジベルだって色々と切り崩してこの町までやってきたのだ。
懐事情はあまりよろしくない。持ち金は安い宿代3日取れるかどうかぐらいしかない。
そんな少ない金額で生活が出きるように頑張らないといけないのだから。
「そういえば自己紹介がまだだったよね。俺はアジベル。大陸の北東から来たんだ。地元を離れて暮らしたいと思ってね。君は?」
「私はマリエラです。ごく普通の商店の娘です。これからよろしくお願いします」
マリエラの言葉、特に商店の娘を強調しているところが逆に怪しかった。
「あの。ギルドは何処へ行くつもりなのですか?」
「ガルベルド王国。そこのギルドに行こうと思ってるよ」
目的地をいった瞬間彼女の足が止まった。
「どうしたの。急に泊まったりなんかして」
「ガルベルド王国と言いましたよね。そこのギルドは止めて、別のところに行った方がいいと思います」
「え、何で?」
「ガルベルド王国は今、経済状況が安定していません。治安にうるさい国ですがギルドは悪いと聞きます。中には新人冒険者を鴨にして金を巻き上げるとか」
ガルベルド王国の経済が落ちていることは初耳だが、ギルドについては聞いたことのある話だ。
「ギルドに新人を鴨にする冒険者がいるのは何処に行ってもそうだと思うよ。でもそういう輩はギルド長や王国に見つかれば即逮捕の禁固刑10年とそのギルドから追放。そして世界のギルド連盟からブラックリストに登録されるいなくはないけどそういう輩を避けるために兵士の多い国にいった方がいいと思うけど」
ギルドは何処の国に行っても1ヶ所は存在する。
だけど王とに行けば行くほど高額な仕事を受けられるし、管理も厳しいためギルドの治安がよくなる。
田舎よりも稼げて鴨にされる可能性が減るのだ。
「先ほどガルベルド王国の治安が安定していないと言いましたよね。国は経済を改善するために王国騎士の人数を半分近く解雇しています。ギルドの治安にまわせる人はおそらくいないでしょう。それに申請される仕事の質は当然落ちてます」
それを聞いて納得したアジベル。
経済状況が低下しているということはギルドに頼む仕事の量、金額がさがっているということだ。
「なので王国ではないですが、港町から西に30キロほどあるガルマンドという町が今の経済にのっていますのでそちらへ向かった方がいいと思いますよ。そこは私の知り合いがいる町なのでお力になれるかと」
「そういうことならそのまちに行ってみるか」
マリエラの言葉で予定を変更。2人はガルマンドへ向かうことにした。