第36話 黒い怪物
八月に投稿する予定がもう九月やないか!!
邪霊来襲編㉓
(意識が遠のいていく⋯⋯)
紅太郎が殺された⋯⋯
殺された⋯⋯
殺された⋯⋯
紅太郎を中心に円形に血が広がっていく
花香に取り付いていた邪霊が
段々と蝕んでいく。
「ああああぁぁ!!」
紅太郎を殺された悲しみとそれを実行したバクラへの
憎しみが同時にあらわれ、頭の中で混ざり合う。
目の前のバクラを倒し、敵討ちを果たそうと
花香の身体は勝手に動いていた。
今まで自分を苦しめていた邪霊さえも力として
取り込んでいっている。<ガブリエル>が闇を吸収していた。
その、瞬間。
意識がふっと途切れると同時に。花香は何かに支配されるような
感覚がした。否、はじめからそのつもりだったのかもしれない。
自分から支配されることを選んだのかもしれない。
花香は意識が途切れる直前に誰かと戦っているような幻影をみた。
◇
「まさか闇をも力に変えるとは⋯⋯オモシロイ」
バクラは変わり果てた花香を見て、高笑いしつつ興味を示した。
制服を着ていたはずであった花香は全身を黒い服で纏い、
右手には細剣を持ち、バクラに冷酷な目を向けたいた。
高校のクラスの人間など、花香を知る者は必ず別人というだろう。
それほどにみんなが知る相澤花香ではなくなっていた。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
花香は口を閉じたまま冷酷な視線だけをバクラに向けていた。
それに気づいたバクラは
「まぁ姿が変わろうと天使を行使してる以上、ワタシの敵だ」
バクラは両手を前に出し、アストラル・バーストを構える。
撃とうとしたその時、
ドカーン!!
バクラの目の前で爆発音⋯⋯いや、爆発が起こった。
「くっ!!」
飛び散った火花にバクラは怯む。
バクラが花香の方へ目を向けると、左手の人差し指から
煙が出ていた。
花香から火球が放たれた。
アイン。
左手で空気中の熱を指先に集めて圧縮し、対象の前で爆発させる。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
花香は煙を消し、細剣をバクラに向かって突き出した。
その姿は怪物そのものであった。
「小癪な!!」
そう言いつつ、バクラは天井に向かってアストラル・バーストを
放ち、塔の天井に穴をあけた。
そんなバクラに向かって花香は攻撃の手を緩めなかった。
左手に輪っかの形状をした光の刃を形成した。
バクラを目掛けて勢い良く投げた。
スティンガー・リング。
リングの形状をした光の刃。投げ技。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
「アタラナイヨ」
バクラは天井にあけた穴へ向かって回避した。が、
「!!」
花香はさっきまでバクラがいた位置に瞬時に移動し、
スティンガー・リングをキャッチ、バクラが逃げた方向へ
再び展開した。
「ぐぅはぁぁ!!」
スティンガー・リングはバクラの背中に命中し、
空中でふらついた。直ぐに仕切り直し、花香と対面する。
いつの間にか夜になり、夜景が広がる東京の上空に
二体の黒い影が出現した。影はお互いを睨み合い、
剣を相手に向けていた。
「ここでワタクシを倒し、何も変わりませんよ」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
「聞く耳持たずデスか。水月!!」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯!!」
カキィィンン!!
静かな夜に激しく剣を交える音が響き渡る。
いつもなら敵であるダーク・ウィングであるバクラから襲い
かかってくるところだが、この対面は花香がバクラに猛攻を
仕掛けているように見える。
左から、上から、下から、その場に残像を残すほどのスピードで。
その光景は東京の夜景と一緒にチカチカと光っていた。
その猛攻をバクラはオルガの力を利用して捌ききった。
しかし、
カキ⋯⋯⋯⋯バキ!
バクラの水月にひびが入り、折れた。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯!!」
その隙に花香は左手に電撃を溜め、バクラを地に
叩き落とした。
ドカーン!!
塔からすごい勢いで瓦礫の破片が飛び散る。
その様子を花香は顔色を一切変えずに見ていた。
デン・ショット
電撃を一点に集中させ、その圧力を以て相手を吹っ飛ばす。
花香はバクラが落ちた塔の最上階へ戻ってきた。
瓦礫の山からバクラが姿を表す。
「コウタロウクンに真の力を引き出すだけの材料としかあなたを
見てませんでしたが思い出しました」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
「あなた⋯⋯⋯⋯五年前見ました。コウタロウクンと一緒に」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
「アサシンエースに追い掛け回されていましたよね」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
「大好きなコウタロウクンを失うとここまで覚醒するなんて」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯!!」
「あなたを恐怖で包み込んでヤリマスヨ」
バクラは両手を前に出し、邪霊の集合体を形成した。
そしてそれが大きくなるにつれて、実体を見せていった。
右手には大鎌、左手には鎖を装備し、黄色く光った目、
腰には剣を備えている。二足歩行であるが、その容姿は
人間離れしており、体の各所には人を殺す装備が多数備え付け
られていた。
正に五年前に突如として出現し、紅太郎と花香を襲った
アサシンエースそのものであった。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
「グギュグアゥァ!!」
花香は一歩後退した。
身体がトラウマを記憶している。
今の花香には意識もない、復讐に燃えた
怪物ではあるが、使っている身体は花香そのもの。
花香に向かって、フル装備の殺すことしか考えてない
怨念が襲い掛かってきた。
第37話へつづく
最後まで見ていただきありがとうございます。




