第17.5話 <サンダルフォン>
久々に投稿すると初心っぽい気分になる
沖縄偵察編⑦
森の外へと駆け抜ける紅太郎の背中を
誠太郎はじっと見守る。
「さてと目的は果たした帰るとしよう」
「元から俺の出来る事なんて分かっていたんだ」
誠太郎は紅太郎が走り出した方向とは逆の方向
から森を抜け、海岸へ出た。
すっと息を吸って呼吸すると、左にステップ、
右にステップ、中央に戻り、高く飛び跳ねた。
◇佐渡島
「妹って…」
誠太郎はつぶやいた。
「何?百科事典でも持ってくる?」
「ばっ馬鹿にするな!」
誠太郎は赤面し、前言撤回するかのように手を
振った。
「そのままの意味よ。私には妹がいるの」
<メタトロン>は両手を腰に当て、仁王立ちする。
「それより早くついて来なさい」
誠太郎は<メタトロン>の背中を追い、佐渡島の
洞窟の中へと入った。
洞窟の中は薄暗い感じだった。決して真っ暗という
訳でもなく、奥の方から光が漏れていた。その光
に向かってズカズカと<メタトロン>は進む。
誠太郎も薄暗い中、見失う事の無いように
注意深く進んだ。足元も良くない場所でかつ、
前方の<メタトロン>にも気を配りながら進む
のは、そこそこ神経を使った。
「ついたよ」
<メタトロン>が口を開いた。
そのには、洞窟の光であろうものが地面に
突き刺さっていた。
光と言えば、金のようなものがそこにあると
想像する人が多いが、違った。どちらかと言うと
太陽光を見ているようだった。
「赤い…剣…」
誠太郎もエクスカリバーのような光輝く
聖剣かと思ったが、近くで見たその剣は天体の
中心の太陽を想像させる炎を宿したかのような
赤であった。
「名前は<サンダルフォン>」
「私の妹の剣よ」
すると<メタトロン>は剣の持ち手に両手を
かざした。
「起きて…サンちゃん…」
バキッ
「!?」
洞窟が揺れだした。
そして、剣は光輝き出した。
全方位に広がり、誠太郎は目を閉じた。
瞼から光が収まったのを確認した誠太郎は、
そっと目を開いた。そして唖然とした。
「剣が浮いてる…」
剣は地から1メートル程の空間に浮遊して
おり、そこに<メタトロン>が手をかざして
何か呪文のようなものを述べていた。
「契約。ケテル様の名を借りて、我ら
姉妹の名において、この剣を新たな
主へと献上し、忠誠を尽くす事を
ここに誓う。」
「契約成立。」
<メタトロン>は言い終えると、剣を誠太郎へ
渡した。
「これを貴方の弟に渡して。彼にこれを渡さないと
恐らくルキアは止められない」
誠太郎は恐る恐るその剣を見た。
立派な赤であった。
何にも染まらない赤であった。
シミが出来ても目立たないくらいの赤であった。
「ルキアって奴はそんなに強いのか?」
誠太郎は興味心を見せる。
「ええ。三代天使の一角であり、慈愛の象徴
でもあるわ」
この時、誠の脳内で矛盾が生じた。
「でも慈愛なら…」
「その慈愛が弱者を救う者が、擁護する
あまりに、牙を向けたらどうなる
と思う?」
誠太郎は言いかけた言葉を途中でやめ、
<メタトロン>の問いかけに答える。
「行き過ぎた擁護が…悲しみを生む」
洞窟へ足を向けながら、
「そう。正義と言うのは人によって違う。何を
信じるかは人の自由。苦渋の決断とはいえ、
それを否定されたらどう?」
「俺ならその場を立ち去るな」
誠太郎は少し共感をしめした。
「理解が早くて助かるわ。彼女は正に
その状態」
「人間と言う弱者に力を与える事に批判し、
彼女は現界へ飛び立った」
「それが今、君の弟と激突しようとしている」
誠太郎は想像した。
聞いた限りだが、<メタトロン>から聞いた
ルキアの意思。
そして自分の弟の性格。
数秒で激突は避けることは至難だという
結論が出た。
「だから、貴方にこの剣を渡すと同時に
弟君にルキアの説得を頼みたいの」
誠太郎の思考を読んだかのように
<メタトロン>は口を開いた。
「なるほどねぇ」
誠太郎は理解が出来た。
「ぶ…」
「ぶつかり合って始めて得るものがある」
又しても先を越された。
「分かった。今から沖縄に行く」
誠太郎は洞窟の入り口に出た後、左右にステップ
し、飛び跳ねた。
が、
後方から叫び声が聞こえた。
「その剣はかなり強力だから、与える前に
弟君を特訓させてー!」
空を飛行しながら、誠太郎は小さく文句を言った。
「はぁ…手のかかる奴ら…」
18話につづく
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