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成長限界のある世界

作者: 僧侶A

運にも大きく左右されるが、この世は最終的には実力がものをいう実力至上主義の世界である。だからこそある人はスポーツに打ち込み、ある人は脳を鍛えるのである。全ては生きていくために、そして上を目指すために。


俺はその社会の流れの通りに進んでいた。スポーツは向いていなかったために俺は学力を身に着け脳を鍛える道へと進んだ。俺は今大学を目指していた。受験勉強の真っ最中である。俺は目標となる大学に進み、研究したい分野を学ぶことを期待していた。


センター試験まで残るところ100日となった頃、俺はC判定だった。合格圏内ではあるが、気を抜くと落ちてしまうというぎりぎりのラインである。担任との面談の際にも言われたが、このラインは合格ギリギリである。だから俺は一層勉強に励んだ。


この前の模試ではD判定であり、志望校への合格は結構厳しいと前々から言われ続けていたため、合格圏内に入れたことでモチベーションは今最高潮に達していた。


そんなことがあった一週間後、全てを狂わせるとんでもないことを告げられた。


『あなたの勉強のレベルは最大に達しました。これ以上は成長できません』


何事においても成長限界があるということは知っていたし、数多く見てきた。その域に達した時、システム音声のような声にこれ以上成長することは出来ないという事を告げられるのだ。


俺は絶望した。なんで今なのかと。成長限界に達して高校に行かなかった皆みたいに中学の時点で伝えてくれなかったのだと。


この将来の夢が決まりその目標に向かって歩みを進め、そしてその目標にあと少しで手が届くというところで絶望を与える必要なんてないじゃないかと。


俺はこれ以上成長できない。つまり俺は目標の大学に行くことさえできない。そして、今成長の道が閉ざされたということは今のレベルで行ける大学に行ったとしても勉強面で成長しないのだから単位なんて取れないのだ。


俺の学問は高校で終了する。これ以上は決してない。俺は今から学問の道を諦めて別の道に進むことになるのだ。どこかしらの高校までの学力で通用する職場を探さなければならなくなった。


だから俺はすぐに就職活動を始めた。こんな俺に対して周囲はとても優しかった。この世には俺のように高校受験の年に限界に達した人は数多くいるのである。俺は社会から見れば成長限界によりドロップアウトさせられた人々の一人である。


今まで一筋に進んできた道が閉ざされたからといって、人生が終わるわけでもない。人生は100年時代に突入したとも言われている。むしろここから先の方が数倍に長いのだ。限界が来るタイミングは人より遅かったかもしれない。それでも三年とかそこらへんである。それに、高校を卒業することが出来た分のアドバンテージはあるのだ。


俺はまだまだやり直せる。俺の人生はまだまだこれからだ。

読んでいただきありがとうございます。毎日短編を投稿しておりますのでよろしければ他の作品も読んでいただければと思います。

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