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4:淑女科




 デーモンズ学園は一学年を特進科、普通科、経営科、淑女科の四クラスに分けている。

 特進科は成績優秀な者たちが集うクラスで、エル様やオーク様、ミスティア様がこのクラスである。このクラスは九割が男子である。

 あとは普通科は一般的な生徒、経営科は領主跡継ぎや商人の子供たちが多く、淑女科は嫁入り修行をする気満々の女子クラスといったところだ。


 そして、わたしはなんと淑女科である。


 これでも十一歳からみっちり妃教育を受けているので、成績面では余裕で特進科に入れるのだが、無理を言って淑女科に入らせてもらったのである。

 なぜってそれは、エル様の正妃として社交界では女性たちを纏めなくてはいけないから!

 わたしだって授業を受けるエル様を眺めたい。ペアの課題とか一緒にこなしたい……。

 でも学園にいる間、机で勉強するだけがすべてじゃないんだもの。学生のうちから女性たちの中心になれれば、たとえば将来エル様がなんらかの新しい法律を作りたいとき、様々な家に嫁いだ彼女たちを介してエル様の支持者を増やせるかもしれないでしょ?


 というわけで、入学式が終わるとわたしは淑女科のクラスへと移動した。

 教室の扉を開けたとたん、花のように甘い香りがふわりと漂う。わぁ、さすが貴族女子ばかりのクラスね……!

 わたしが中へ一歩入ると、すでに教室内にいた女子生徒たちが一斉にお辞儀をする。婚約者候補の待遇ってほんとすごい。

 ちょっとたじろいでしまうわたしの前に、一人の少女が真っ赤な顔をしながら進み出る。

 灰色の髪と瞳の、そばかすがチャーミングな女の子だ。髪をきっちりと分けて三つ編みにしている。なんとなく『委員長』という雰囲気だ。


「初めまして、ブロッサム様。私はバトラス伯爵家のルイーゼと申します」

「あら、バトラス伯爵家というと……確かお父様が学園の運営を任されていらっしゃる……」


 バトラス家が長年学園の運営に携わっていることを思い出しながら言えば、ルイーゼ様は嬉しそうに頷いた。


「はいっ! オークハルト殿下のご婚約者候補であらせられるブロッサム様と同じクラスになれましたこと、淑女科の生徒一同喜んでおります。学園生活でなにかお困り事がございましたら、どうか私にご相談くださいね。父よりお力になるよう言いつかっておりますので。

 ではまずはブロッサム様のお席へご案内します」

「まぁ、ありがとうございます、ルイーゼ様」


 恭しく席に案内されながら、わたしは考える。

 ルイーゼ様は“オークハルト殿下のご婚約者候補”とおっしゃったけれど、王太子エル様の婚約者候補であることに触れなかったのは何故だろう。

 バトラス伯爵家は側妃派閥だったかしら? う~ん?


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