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今だから言えること
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「あの時は、毎日部活に行ってたからな〜」と山田先生と一緒に笑いながら話せるのは、今もこうして集まっているからだ。
「岩井先生は毎日来なかったのに、山田先生は毎日来るんだもん〜」
「嫌われてるのはわかってたから、行かなかったら絶対やらないでしょ?あと、毎日のように来てたら、諦めるじゃん?」
「確かに。」
「俺はそういう風に嫌われても、バスケができればそれでいいし、お前らが上手くなったらそれでいいから。」
純粋にかっこいいな、思いつつ、無理させてたんだな、と思う。人は自分が嫌われている環境で、何も感じずにいられるわけがない。どこかで気づいてしまうし、どこかで無理しなければその場にはいられない。あれはきっと、いじめのようなものだった。
その頃の私は嫌い派の一人で、態度に出てしまう子だったから、その話は仲良くなってから何度も聞いていた。事あるごとに、「最初は俺のこと嫌いだったもんな」とふざけた口調で言ってくる山田先生。
そんな先生が、もうすぐこの学校を去る。
そんな気がしていた。
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