4/5
追いつかない気持ち
----------
若いその山田先生は、顧問になってから毎日部活に顔を出した。
同時に、部活は山田先生色に染まっていった。
練習メニューの大幅な変更。
練習試合の多さ。
日曜日も練習。
少しずつ岩井先生の残したものはなくなっていった。
寂しい、悔しい。
あんなに好きだった岩井先生のものが、どんどん無くなっていく中で、私はその流れに逆らいたい気持ちでいっぱいだった。
大好きな岩井先生がまだ戻ってくるんじゃないか、岩井先生のメニューの方が正しいんじゃないか。
その気持ちは少しずつ、山田先生への憎しみに変わっていった。
----------
この日も練習の後に、同級生と話していた。
「山田先生さ、練習多くない?」
「多くてすごい疲れるし、メニュー覚えきれないよね」
「もう無理なんだけど、山田先生嫌い〜」
そんな言葉が飛び交うようになるまで、そう時間はかからなかった。
明らかに態度に出る子、口には出さないけど静かに話を合わせる子、山田先生と距離を取る子。
全員が山田先生を嫌いになったとき、連帯感が出て、より嫌いな気持ちが勝つようになった。
----------