手紙
手紙
昔もらった手紙の束
一字一字綴られた言葉は
あなたの指先を通して書かれた
あなたの心の宇宙
私の瞳が捉え
私の心がその一語一語に
こだまする
あなたのこぼした呟きが
一粒一粒朝日に光る朝露のように
今でも私の目には眩しい
手書きの手紙は
私の手の中で温かく
過ぎた時間の遠さが
チクリと胸を刺す
分厚く束ねられた手紙の量は
今では何の重みもないのに
ただ春の夕暮れ時のように
妙に胸を詰まらせる
伝えたかった思い
伝えられなかった嘆き
手紙のあなたは
今どこへ