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一番初めに買いそろえたいもの

 ここからは、実際に金魚飼育を始める基本を書いていこうと思う。

 ここから金魚飼育を始めようとするときに最初に買うべきもの、それは生体でもカルキ抜きでもなく、水槽である。

 なぜかというと、水槽は場所をとるため、設置場所の設定が最初の問題となるからだ。

 水槽選びの大原則としてまず覚えてほしいのは、「小さいものほど上級者向け」ということ。大海に一滴の墨汁を垂らしても海はいささかも染まらぬのと同じ、水の量が多ければ水槽内の環境というのは安定するのである。

 かといって、狭い部屋に水族館のような巨大水槽を設置するわけにもいかない。何しろ中にいれるのが水という重量物である以上、適当な安家具の上などに置くのも不安だ。

 一般に初心者にオススメなのは45センチ水槽、投げ込み式フィルターや小物などをセットにして安く売られている。必要なもの一式がすべてそろっているため、すべてを別々に買い求めるより断然安く、ホームセンターなどではこうしたセット水槽のコーナーも充実しているので手に入れやすいだろう。

 さて、この45センチ水槽、およそ40リットルの水が入る。つまり重さは40キロだ。

 つまり10キロのコメ袋が4つ分、大人の男性であっても気軽に持ち上げられるものではない。だから水槽というのは、一度設置すると移動されることはめったにない。

 このため、水替えの作戦も設置の段階で見込んでおく必要がある。

「キャスター付きの台にのせればいいじゃん」って? バカ言っちゃいけない、万が一ひっくり返しでもしたときに、40リットルの水の始末というのは容易ではないのだ。

 家では水槽は出窓に置かれており、窓を開ければ庭に直接水を排水することができる。新しい水を入れるのも庭の水道からホースを引っ張ってくることができる。しかし、世の中すべての住宅事情がそうではないということも理解している。

 そこで、どんな環境でもできる水替えとしてあみだしたのが、バケツを使った方法だ。

 バケツは生体用の、洗剤の付着していないものを用意。これに水槽の水を汲みだして風呂場などに捨てる。帰りはこのバケツに新しい水を入れて、水槽に水を足す。これならば気力さえあればどんな場所にも水槽が置ける。

 それでも面倒であることには変わりないのだから、できれば水替えの手間は減らしたいところ、そのための最低ラインが45センチ水槽なのだ。

 この大きさであれば、フィルターのメンテナンスにさえ気をつければ水替えはほとんど必要ない。うちが45センチの水槽を設置していたころでさえ、水槽の大掛かりなメンテナンスとしての水替えは年に三回程度であった。

 ものすごく本気の本音を言うと、水替えの手間を惜しまないならば、かなり小さな容器でも金魚を飼うことは可能だ。現に数年前、茶碗で金魚を飼うという方法を金魚飼育の本で見かけたことがある。そもそもが「金魚鉢」と言うと、ガラスで丸く作ったさほど大きくない容器を想像するのではないだろうか。

 しかし、イメージだけでからくりを知らないと、金魚に多大な負担を与え、かわいそうな目に合わせることになる。水替えには、実はリスクが付きまとう。

 金魚は丈夫な魚で、種類によってはかなりの低温に耐える。庭先に置いた盥の中で冬越しさせることも可能だ。

 ところが、水温の大きな変化には弱い。あったかいお風呂から掬い上げられて水風呂に落とされたら、人間だって心臓が飛び出すほどびっくりするだろう、あれだ。

 万全を期すために、どの飼育本を見ても「水合わせ」という言葉が出てくる。これは古いお水から新しいお水に移す前に、両方のお水の温度を同じくらいにしましょうね、ということなのだが、ぶっちゃけ、毎回そこまで気を使ってやらなくちゃいけないほど金魚は弱くない。

 ただこれが回数多く温度差の負担をかけるようでは金魚だって弱ってしまう、だから初心者が金魚飼育をするときは水替えの回数を減らすのがコツなのである。

 あとはライフスタイル。いつでも金魚のそばについていて、四六時中金魚を眺めて、少しでも変わったことがあればすぐに水替えできる人ならば、どれほど小さな容器で飼っても失敗はないだろう。

 金魚は魚の中でも水を汚す部類であり、フィルターなしではすぐに酸素不足を起こす。水中に足りなくなった酸素を補うように水面に上がって口をパクパクさせるから、これが水交換のタイミングだとすぐにわかる。

 こういう時は小さい水槽のほうがいいだろう。ひょいと持ち上げて水場に持って行き、新しい水と入れ替えてやる。

 ところがこうした飼い方だと、金魚の排泄物を分解してくれるバクテリアがうまく定着しない。それゆえに理想は餌の食べ残しはその都度取り除き、糞をしたらそれも取り除くくらいの手間をかけたいところである。

 実際問題それが無理だからフィルターを入れる、水槽を大きくする、すべてリスク回避のためである。

 ゆえにまずは自分の家のどこに水槽を置けばいいのか、それを先に決めて水槽を購入に行くことをお勧めしたい。


 とはいえ都会などではスペースに余裕のないこともあるだろう。そういう時はスタイリッシュを売りにしている小型の水槽セットを試してみるのも手だ。

 この時、必ずフィルターがセットになっているものを購入するように。小型の水槽は特殊な構造をしているものが多く、初心者ならば水槽の形にあったフィルターを探すよりも最初から付属している専用フィルターを使う方が安心だからだ。

 本格的に金魚飼育を始めるわけじゃないなら、インテリア感覚で金魚が楽しめる。

 一つだけ気をつけたいのは、金魚の数は多くしないこと。本来ならメダカでも買おうかという大きさの水槽に金魚を入れるのだから、小さな金魚一匹が好ましい。


 そうした水槽選びにさえ気をつけるならば、金魚というのは犬猫に比べてお金のかからない生き物である。

 水槽セットの安いのが二千円くらい、少しいい生体を選んでも五千円足らずで買い始めることができる。

 しかも水中に棲む生物というのは小食で、餌代も少なくて済む。フィルターのランニングコストはかかるが、それだって目玉が飛びでるような値段になることはない。

 上手に飼えば金魚は驚くほど長生きであり、一日一日を過ごすほどにかわいらしさの募る生き物である。

 だからこそ事前にきちんとした飼育計画を、その第一歩としての水槽の話でした。


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