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天才ニートとこもるちゃん  作者: とりゃ
4/5

第4話 ーー料理を振る舞おう!!ーー

「あー!またこんなジャンクフード食べようとしてぇ!」


カップ麺が見つかり、こもるが声を張り上げる。


「悪いかよ」

「悪いよ!めちゃくちゃ悪いよ!そ、そうだ!私はにぃに料理を作るために来たのです!」

「今思いついたろそれ」

「いーから、どっか行ってなさーい」

「やだよ、俺は他人が作った食べ物は信用できない」

「え?そうなの……?」


やめて、そんな悲しい顔しないで……


「あー、そーなんだよ。俺、潔癖症でさ」


どうだ!?


「その、私が作ったのでも……ダメ?」

「…………」


お前マジでいい加減にしろよ。

やめろやめろ、そんな上目遣いすんな……。

そして、俺は長いため息をついて負けたのだった。


「わーったよ……」

「うん!」


うわ、めっちゃ嬉しそう。


「うおっ、レタス。案外健康に気を配ってんだねぇ」

「俺の貴重な休日に影響しかねないからな、そういうのはちゃんとすることにしたんだ」

「うんうん、あんなに不健全だったにぃが自ら野菜を食べるだなんて、あたしゃあ嬉しいよぉ。あ、今も不健全だった……」


嘘泣きしながらこもるが言う。

うわ、めっちゃうぜぇ。


「じゃあ、俺二階にいるから、なんかあったら呼べよ。冷蔵庫の中身は適当に使っていいから」

「ういうい〜♪」


うわ、めっちゃ楽しそう。

じゃあ、適度に期待して待ってようかな。


俺は部屋に戻って、スリープモードのPCを起こした。

丸々が何を作るのかと少し気になったが、いまいち検討がつかない。そもそも料理が出来るとさえ知らなかったので、アイちゃんと何が出てくるかを予想し合ってみた。


「俺が思うに、定番のカレーとか出てくると思うんだよ。材料揃ってるし」


人差し指を立てて、画面内で流しそうめんをしているアイちゃんに抗議してみる。


「うーん、可能性はなきにしもあらずだと思いますが、こもるさんの性格や周囲の環境からして、カレーが出てくる可能性は極めて低いと思います」

「え、そうなの?ていうかそんなのわかるんだ」

「新翔様の天才的な頭脳で作られていますので」


およよ?俺が作ったAIにはわかって本人の頭ではわからないと申すか。まあ環境も違うからありえないこともないか。


「じゃあ、アイちゃんは何が出てくると思う?』

「ズバリ、ラザーニャです」

「なに?サバーニャ?」


なにそれガンダム?と思ったのも束の間、言葉にする前に教えてくれた。


「ラザーニャとは、パスタにミートソースやホワイトソースなどを相互に重ねて層を作り、天火で焼いたイタリアン料理のことです」

「あー、それ知ってるかも。俺が知ってる奴だとそんな名前じゃ無かった気がするけど…」

「ラザニアとも呼称されます」

「そうだそれそれ!ラザニアだ!」

「ラザニアだよぉ!」


部屋のドアが開け放たれ、こもるがお盆に平たい皿を乗っけて入ってきた。


「うおっ、びっくりした!てかマジでラザニアかよ!?アイちゃんすご過ぎんだろ!」


えっへん、とでも言うかのように、特にありもしない胸を誇らしげに張っていた。超カワイイ。


「え?ラザニアってわかってたの?」

「何かアイちゃんがそう予想したんだよ」

「え、そうなの!?てっきり覗かれたのかと思った。アイちゃんすごい!」


また胸を張る。超カワイイ。


「にしてもこもる、お前料理出来たんだなぁ。感心するわ」

「え、と……。高校に入ってから練習し始めたんだけど、食べてみてくれるかな?」

「うん、いただくよ」


部屋の隅に置いてあった折りたたみ式のテーブルを取り出し、部屋の中央に展開する。

こもるは持っていたお盆をテーブルに起き、スススッと俺の方へとスライドさせる。


「ど、どうぞ」


照れ気味に丸々が言う。

湯気が立ち上り、美味そうな匂いが漂う。

普段カップ麺しか食べない俺にとってはとても新鮮な食欲がそそられた。


「らいただきます」


手を合わせて毎度の様に感謝の挨拶はちゃんと言う。こうやって毎日ほうけることが出来るのはこの食材達のおかげなのだ。そして、今回は作ってくれたこもるに対しても。


スプーンを拾い上げ、適当な量を乗せて口へと運ぶ。


(こ、これは……!)


口に入れた瞬間、とろけるような味わいと柔らかいパスタとソースが程よくマッチし、絶妙なハーモニーをかもし出しているではないか!……とか料理番組みたいな感想を言おうかと思ったが、存外そこまでとろけた訳でもマッチした訳でもなかったので言葉として出ることはなかった。


「どうかな?」


もじもじとした態度でこもるが言ってくる。言い返す言葉はひとつ。俺の気の利いた褒め言葉を受け取るがいい!


「普通」


「………」


え、なんか言ってよ。


「そ、そっか。褒め言葉として受け取っとくよ…」


なんか残念そう。てか褒め言葉のつもりで言ったんだけど…。


「で、でもまあカップメンよりは断然美味しかったな。俺の食生活の中ではだいぶランク高いぞ」

「本当?やった!シンプルイズザベストだね!」

「お、おう」


おぉ……誰かをフォローしたのTwitter以外では初めてかもしれん……。

因みに今のアホ発言にはフォローできなかった。


第4話でっすよ

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