武器の練習のため、狩りに出ます。
弓の練習も進み、それなりに上手くなったと思う。
意外だったのが、弓の腕はリーンが1番だったこと。
曲芸じみたことを平然とやって見せた時には驚かされた。
そして、ある日ユウトが言う。
「そろそろ実戦経験をして見るのもいいかもしれないな。」
そう言うと俺らが狩りに出るのを許可してくれた。
狩りのメンバーは練習に出る者が2人とレンがついていく。
どうしてもレンのスキルが便利すぎるからだ。
最初のメンバーはウェンとウィンの2人。
1週間後に戻ってきた。
仕留めたのは小鹿だった。
小鹿故か、肉は柔らかくておいしかった。
そして次のメンバーに俺とレイが選ばれた。
「ミツル、よろしく。」
「ああ。」
道具は弓が1張と代えの弦が3本、矢が10本だ。
矢が切れたら戻ってくるように言われている。
食料はレンが毎日輸送することとなっているので運ばなくていい。
水筒に関してもその時に持ってきてもらえる。
こうして、特に気にすることもなく俺らは狩りに出た。
で、そこからが問題だった。
鹿は見つかるが場所が遠く、近づくと逃げていってしまう。
待ち伏せにしたが、魔法を使おうとしたら逃げられた。
試しに矢だけで放ったが尻に当たっただけで元気に逃げていった。
「どうすればいいんだ・・・」
5日で心が折れかける。
「他の方法は?罠を張るとか?」
それはなんか違う気がする。
何がいけないんだ。
その時、ユウトの言葉が蘇る。
「魔法は魔力の操作とイメージで完成する。」
つまり、魔法はイメージ通りに完成しているのだ。
もしかして・・・
「イメージってそう言うことか!?」
俺は、確信を持つ。
「明日、もう一度、待ち伏せをしよう。」
そう言って今日は休むことにした。
次の日の朝早く、目的の場所で待ち伏せをする。
しばらくして、エサを食べに鹿たちが来た。
よし、あとは推察通りに魔法を発動するだけ。
「風よ、密かに矢に纏て敵を穿て。」
そう言うと矢の先に風が集まる。
だが、鹿は気づいていない。
やっぱり。
今までは、
「風よ、矢に纏て穿て。」
と、詠唱していた。
だが、これは堂々と準備をしているのだ。
野生の鹿は当然、異常に気付く。
今回は”密かに”という単語をつけることでばれないように準備したのだ。
あとは、狙うだけ。
ユウトが言うには初心者レベルの魔法はどれも変わらないらしい。
大砲を撃つときに、火薬と弾を適当において火をつけるのと変わらないそうだ。
火薬の爆発した威力が周囲に逃げているらしい。
だが、矢を使うとそれが違う。
筒を準備するのと変わらないそうだ。
矢の通り道を魔法が作ってくれるため、威力が高まるらしい。
俺は風の纏った矢をつがえ、静かに放った。
矢は狙いを違わず、鹿の下半身に当たり、
貫通したのだった。




