チーズを作ります。
「チーズ、か・・・」
ユウトが遠い目をする。
まさか・・・
「チーズが嫌いなのか?」
「ああ。って言っても匂いが駄目なだけで、匂いのほとんどしないチーズは食べれる。」
「まっかせなさい。」
そう言うと早速残ったヤギ乳を持っていった。
「今日、作るのはカッテージチーズよ。」
そう言うとレイが話し始める。
カッテージチーズは熟成をしないチーズで、そもそもチーズは動物の乳の乳脂肪分を取り出して、熟成させる。
その際にカビを添加すると独特な風味と匂いが強くなり、熟成させないと動物の乳を濃縮した香りになるそうだ。
カッテージチーズの作り方は簡単で、乳を加熱し温まったら、後檸檬の果汁を入れる。
すると乳脂肪分が固まり分離する。
あとはその乳脂肪分を取り出し、軽く水気を搾れば完成。
残った液体は乳清と呼ばれるもので栄養価が高いらしい。
「待ってくれ。檸檬って旬じゃないだろ。」
つまり、無い可能性がある。
「それなりに強い酸性ならいいんだけど、お酢とかは?」
「お酒がないと作れないから酢はないな。正確には実験中だ。」
じゃあ・・・
「檸檬なら、氷室に保管してあるから持ってくるよ。」
ユウトが持っていた。
そう言えばレモン汁も調味料だからな。
少しして檸檬を1個持って帰ってきた。
その間に容器を変えて温めている。
「絞ってもらってもいい?」
「了解。」
絞った果汁は別の器に入れる。
「そろそろね。」
金属の鍋を火から下ろすと果汁を入れてひと混ぜしたらしばらく待つ。
すると徐々に白い塊が増えて沈み、上の方は黄色みがかった液体になってきた。
分離したところで布を容器に張って、中身を布の上に出す。
その後軽く絞って完成のようだ。
「これで終わり。熟成させないから日持ちしないけど。」
「取りあえずお昼だから、食べてみましょう。」
早速パンを焼いてつけて食べる。
チーズ感は少なく、クリームみたいだな。
僅かに檸檬の風味があるのもいい。
「ユウトさんはどう?」
「これなら大丈夫。おいしいよ。」
ユウトの言葉に安心する。
「でも、これってどのぐらい持つの?」
「数日です。」
おーい!
当初の目的を達成できてない。
「いや~、量が少なかったから。」
目を逸らして言う。
絶対に嘘だ。
「乳清は栄養豊富だし、これはこれでリコッタチーズの材料になるの。だから蓋をして保存して。飲む場合はハチミツでも混ぜれば飲みやすくなるわ。」
そう言うことで乳清はこのまま壺に保存。
しかも、量が増えるだろうと言っている。
「じゃあ、明日なら結構な量の乳が集まるでしょ?その時に作るわ。」




