鮫を退治します。
すべての準備を終えた次の日。
筏に俺とユウトが乗る。
銛は全部で3本。
ユウトは念のために矢のタイプを2本持っている。
「昨日も行ったが俺らの役目はしっかりと針を刺すこと。筏の位置は俺が調整するから任せろ。」
そう言って俺らは出航した。
鮫を倒す方法は簡単。
俺らがロープ付きの針を刺し、陸にいる全員が上手く体力を使わせる。
疲れた所で引き上げるのだ。
筏をある程度進めると、集めた魚の腸を海にいれる。
あとは、待つだけ。
と、暇なのかユウトがオールで波を叩いている。
「暇つぶし?」
「いや、鮫は耳もいいからな。水面を叩く音で呼ぶこともできるんだ。」
「へぇ~。」
しばらくするとユウトがたたくのやめて緊張した面持ちになる。
「来た。」
俺らは道具を構える。
それから数分後に鮫の背びれが筏のまわりを回っている。
「だ、大丈夫だよな?」
「安心しろ。いざとなったら海岸めがけて投げてやるから。」
全然安心できない。
大きさは1~3メートル。
あまり大きくなくてよかった。
丁度、目の間を過ぎようとした鮫に思いっきり突き刺す。
と言うか、投げてない。
だが思いっきり刺さる。
その瞬間鮫が激しく暴れる。
因みに、ユウトは既に2本とも矢を放っていて1mぐらいの鮫に当てている。
ユウトの矢のロープはアリアが持っているため1本釣りみたいに陸に上がった気がするが気にしない。
「わわっ。」
激しく暴れる鮫が筏に接触する。
ユウトが俺の体を支えつつ、筏を操作して鮫から離れていった。
ロープの方は男性陣が1人ずつ引っ張ることとなっている。
なぜなら、強くひかれた時にはすぐ、放す必要があるからだ。
ユウトが言うには、強く惹かれたら放し、それが無くなったらゆっくりと引っ張っていく。
出ないとロープが切れるかもしれないのだ。
女性陣はやることがないのでジェシカとアリアを除いて畑仕事をしている。
「がんばって、マーク。」
「ま、任せろ。」
ゆっくり引いたり、放したりで一向に引きあがる様子はない。
何度も交代し、手の皮がめくれ、ユウトたちが戻って来た時だ。
「あれ?急に弱くなった。」
シンジが不思議そうに手繰り寄せていく。
「まさか、お前・・・」
「い、いや、重みはあるんだ。」
マークに変わるとやっぱり不思議そうにして引いていく。
「多分、力尽きたんだ。あとは引き上げるだけだ。」
ユウトの言葉にその場にいた全員が喜ぶ。
なんだかんだ昼になっているし、速く食べたいのだろう。
慎重に、でも迅速に引き上げていくと3mぐらいの巨体が上がった。
「よし、仕留めるから少し待ってくれ。」
そう言ってユウトが剣で貫くと最後のあがきとばかりに暴れ、大人しくなった。




