野営の準備ですごいことが分かりました。
日が傾き始めた頃、ユウトが1人で走ってきた。
「この先に川があった。大体1時間ほど歩くことになるけど大丈夫そうか?」
そう言いながら、水筒から水を分け与えながら言う。
ここにいる人の中には子供もいるため、今からさらに1時間は厳しいだろう。
「何なら、子供は負ぶっていくよ。」
「大丈夫なのか?」
俺は聞く。
「ああ。こう見えても体は鍛えているからな。」
そんな訳で3人いる子供の内1人を背負うと颯爽と駆けていく。
「俺たちも行こうか。」
その様子に呆然としていた人たちにそう声をかけた。
ユウトの言う通り、歩いて1時間ほどの距離に川があった。
日は大分傾いてきているな。
「今日はここで野営か?」
「そうだと思う。」
そう言うと、ユウトは女性たちを対岸に誘導していく。
「どうして女性だけ?」
1人の女性が気づいてないので俺が答える。
「多分、不埒な考えを起こさせないためだと思うよ。こう言った極限状態だといつ死ぬかわからないし。」
その言葉に納得して対岸に渡っていく。
それによって男女子の比がわかった。
11:8:3のようだ。
男性が多いのが目につくが大丈夫だろう。
誘導を終えると問題がいくつか起きる。
「火はどうする?」
何人かがユウトに聞く。
「え?ああ、そうか。」
ユウトは納得したようにうなずく。
「もしかして、魔術を知らないのか?」
「魔術ってあのラノベで見るあれ?手から火が出たり、竜巻が起こっ、た、り?」
俺が言う横でユウトの手の上で火が出たり、竜巻が現れたりする。
「え?」
俺の他に何人かが驚く。
「まあ、そんな訳で薪を集めて来てくれ。あと、何人かで行動するように。」
そう言うとユウトは対岸に説明しに行った。
俺らはひとまず、寝床になりそうな場所の近くに薪となる枝を集めていく。
石で囲いができたところで、ユウトが戻ってきた。
「準備の方はできているな。」
「そう言えば食事は?」
「俺は諦めているけど、食べたいならそこの海で貝でも拾ってきたらどうだ?ただ、毒があるかもしれないけど。」
そう言うと焚火に火をつける。
対岸でも火がついた頃には完全に日が落ちていた。