塩を作ります。
翌日は快晴。
朝食を食べるとジェシカが言う。
「塩を作るわ。アイディアを出してちょうだい。」
「どうしてだ?」
元漁師のマークが聞く。
「塩があれば干物ができるじゃない。そうしたら、雨の日でもちゃんとした食事を取れるじゃない。」
昨日は結局適当にとってきた貝を食べたが量が少なかった。
「それに大量に魚を獲って来ても問題ないでしょ?」
そう言われると反論できない。
「俺も賛成だ。」
ユウトも口を開く。
「そろそろ、肉が食べたかったんだ。ただ、塩がないと長期保存がきかないからな。」
なるほど、戦闘のできるユウトらしい意見だ。
「問題はどうやって作るかだ。」
それにはみんなが頭を悩ませる。
最初に思いついたのは海水を沸騰させる方法。
でも、これだと燃料が掛かりすぎる。
確か海水の塩分濃度は3%ぐらいだったっけ?
つまり、100mlの水から3gしか取れないのか。
あとは・・・
「2つ方法がある。」
ユウトが口を開く。
なんかユウトに頼りっきりだな。
「1つ目は潮の満ち引きを利用してどこかに海水を溜め、日光で蒸発させることで濃い塩水を作り、熱して塩を作る方法。もう1つは満潮時でも海水が届かない砂浜に海水をかけることで砂に塩をつけそれを海水で洗い流すことで濃い塩水を作ることで塩を作る方法。」
「メリットとデメリットがありそうね。」
「そうだな。前者は海水を溜める場所を作る必要があるし、ある程度水が流れないことが前提だ。後者は海水をかけるのが面倒だ。」
そう言われると確かに問題だな。
「何かいい方法はないかしら?」
「陶器で大きな器を作るのはどうでしょう?」
女性ドワーフのカップが聞く。
「できそう?」
「魔法で高温を出せるのでしたら大丈夫です。ただ、粘土が必要ですが。場所は見つけてあるのであとは量さえ集まれば何とか。」
「なら決定ね。」
そう言うと粘度を入れられる袋を用意する。
この時、昨日作っていた籠が役立つとは思わなかった。
粘土と共に大量の水も用意する。
カップが適当な石を台にして粘土をこね始める。
こうなるとしばらくはやることないな。
「ちょっとやることあるから。それと海岸に明日まで人を近づけないでくれ。」
そう言うとユウトは海岸の方に行った。
やることもなくなった俺らは山菜を集めに行った。




