表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/31

未来を変えられるとしたら、俺だけだ!

 青空の中、妹 彩佳を保育園に迎えに来たと言うのに、俺と彩佳の未来を閉ざすかのように降り注ぐ大雨。

 仕方ないので、保育園の園舎の軒で彩佳の手を取って雨宿りをする。


 園庭に見る見る水が溜まっていく。もうじき、警報が出て、母親からメールが来るはず。

 そんな思いを抱いていると、激しい雨で煙る中、こちら近づいてくる人影に気づいた。

 傘でその顔は見えないが、きっと誰かのお母さん。そう考え、視線を逸らしていると、激しい雨音の中、俺の名を呼ぶ声がした。



「准くん」



 近づいて来た人影が、傘を上げた。それは茉実だった。



「なんで?」

「准くんちに行こうとしたら、この雨の中、ここにいる准くんたちに気づいたから」



 そう言って、茉実が差し出した手には、二本の傘が握られていた。



「ありがとう」



 そう言って、手を差し出して傘を受け取りはしたものの、心の中は複雑だった。

 茉実がここにいると言う事は茉実を守るチャンスができた訳だ。

 だが、茉実は俺の家に行くところだったと言った。茉実はこのまま一緒に俺の家に行くつもりに違いない。とすれば、あの用水路の道を通る事になる。

 となると……。



「でも、かなりの雨だから、茉実は家に帰った方がいいよ」

「ううん。話したいことがあるんだ」

「ここで聞くけど」



 茉実が辺りを見渡した。

 園舎には駆けまわる園児に、保育士さん。雨の中、迎えに来るお母さんの姿も見え始めた。



「やっぱ、准くんちがいいかな」

「お姉ちゃんも行こう」



 彩佳が手を茉実に差し出した。



「うん。行こう」



 茉実がにこりとした笑みを浮かべて彩佳に言った。



「いや、しかし」

「准くんちで話したいの」



 もはや、俺の家に行くと言うのは覆せそうにない。

 とにかく、俺がいるんだ。俺が守るしかない。

 そう覚悟を決めたはずだと言うのに、膝ががくがく震えて止まらない。


 ここで、未来の事を言って話すか?

 なんて、逃げる方法を考え出したくなる。

 が、1日をリセットする装置なんて、すぐに信じてくれる訳もない。



「だったら、雨が止むのを待つか」



 そうだ。雨が止むまで待てばいいのだ。



「お姉ちゃんが傘持ってきてくれたのに?」

「准くん。空真っ暗だよ。

 しばらく止まないんじゃないかな?」



 彩佳も茉実も即否定してきた。

 自分たちの命がかかっているんだぞ! と叫びそうになる。



「行こうか?」



 茉実がそう言って、彩佳に手を差し出した。

 俺の意思では止めれそうにない。

 いや、自然さえ味方する時の流れだとしたら、二人の意思もこのイベントに操られているに違いない。この悲劇を止められるとしたら、これから何が起きるのかを知っている俺だけかも知れない。


 未来を変えられるとしたら、俺だけだ!

 そう思った瞬間、背筋が冷たくなって、ぶるっと震えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ