未来は変わらないのかよ!
その日はやって来た。
俺は怖かった。
また、あの光景を再現してしまうことに。
どうすればいいか、俺は寝ずに考えていた。
茉実は昨日の手で救う事が出来る。
あとは彩佳だが、その方法は母親を仕事に行かせない事だ。それが俺の出した結論だった。
俺はかなり具合が悪い。そんなよたよたした感じで、朝のリビングに降りて行った。
そんなよたよたの雰囲気に母親が気付いてくれた。
「どうしたの?」
「ああ。よく分からないんだけど、ちょっと、しんどくて」
「あら、それは心配ね。熱測ったら?」
「なぁ、今日、仕事休んでくれよ」
どうだ、こんな体調悪そうな子供をほって、仕事にはいけないだろう?
「お兄ちゃん大丈夫?」
俺の芝居に彩佳が心配そうな顔を向けてくれる。見ろ、こんなかわいい子を。俺は絶対、こいつを失いたくないんだ。もちろん、茉実もだ。
「はぁ?
一体、お前はいくつなのよ?
体調悪いんなら、自分で病院行っといで」
おいおい、なんて薄情な。彩佳の命がかかっているんだぞ!
と思ったが、母親はそんな事知る訳もないし、そんな話を言っても、信じてもらえる訳もないだろう。
俺がどうしたものかと立ちすくんでいると、彩佳が朝食を食べ終わってしまった。
「ごちそうさまでした!」
両手を合わせて、頭をぺこりと下げる。
俺は絶対こいつを死なせる訳にはいかないんだよ。
「いやさ、仕事と子供のどっちが大事なんだよ」
思わず、俺はいつも以上の力がこもった口調で言ってしまった。
「あんたさ、それだけ元気があって、何で私が仕事を休まなければならないのよ」
うっ!ある意味、ごもっともである。
俺は母親を仕事に行かせない作戦を失敗してしまった。だが、俺にはバックアップ策もある。
一つが失敗しても、代わりを用意しておく。これは当然だろ!
彩佳を保育園に行かせなければいいんだ。
「なぁ、彩佳。今日はお兄ちゃんと一緒に家いようか」
彩佳ににこやかな笑みで、そう誘ってみた。
「だめ。保育園でお友達と遊ぶんだもん」
「いや、ほらさ。
たまにはお兄ちゃんと遊ぼうよ」
「何言ってんの?
あんたおかしいのは体調じゃなくて、昨日から頭の方なんじゃない?」
母親はそう言うと、彩佳に保育園に行く支度させ始めた。
俺は叫びたかった。未来は変わらないのかよ! と。




