90話 イベントの告知
登校すると、正也が僕を待ち構えていた。
がっと、僕の肩を掴むと、何故か泣き出す。
「うっ。うぅ。なん、で・・・なんで、お前ってやつは・・・あんなものを作っちまったんだぁぁああああ!」
正也の絶叫が響き渡り、教室にいたクラスメイトたちが何事かと振り向く。
慌てたのは僕も一緒だ。
「ちょ、正也! 声でかい! 何、急に叫んでんの!? ちゃんと昨日、じいちゃんたちがなんとかしてくれるってログアウト前に言ったじゃん!」
「その事じゃねぇよ! ナーガから装備品のこと聞いたときには、もはや俺はこいつに何言っても無駄だとあきらめたけどな! これはないだろ!? 見ろ、この掲示板!! 阿鼻叫喚の地獄絵図だぞ!」
言われて、僕は正也に差し出された携帯端末の掲示板を見た。
そこには。じいちゃんたちの女装写真が何故かでかでかと貼られており。
527 ポップンコーン:ぎゃぁあああ!? やめてぇぇえええ!!(×_×;)
528 ナルマト:武神と太陽神、何やっとんじゃああああ!
529 ミキ♪:え!? ちょ、これ合成だよな!? 合成でもヤベェんすけど!?
530 リッチになりたい:目の毒。誰か即刻消去してくれ。(T_T)
531 ホリックワーカー:今すぐ掲示板に載せたやつを殴りに行きたい。
(# ゜Д゜)⊃
532 カカシ:同意。ってか、本当に誰だよ、こんなの貼り付けたやつ。おまけにロック掛かってて消去できないし。
533 ナンシー:え(◎-◎;)
534 ミキ♪:ええっ!?Σ(゜Д゜)
535 シド:悪趣味だな、それ。(-""-;)
536 テンドン:とにかく、嫌がらせには負けるなってことなのかも。スルーが一番いいんじゃない?
537 コーンポタージュ:そうだね(*^_^*) 気にしないのが一番だね、きっと。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
こんな感じでつらつらと掲示板には書かれていたけど、僕の一番の疑問は他にあった。
「へぇ。誰だろ、この写真の提供者。あの場に僕ら以外に誰かいたはずないんだけど」
じいちゃんらの仕業だろうか? うーん、ありそうな、なさそうな・・・。
僕が悩み始めると、正也がストップを掛けてきた。
「この写真、お前の仕業じゃないのか? てっきり、輝の仕業だと俺は思ったんだが」
「違うよ。そもそも、これを実際に目にしたらあまりにもひどくて攻撃したに決まってるじゃん。視覚の暴力だよ」
あれは、問答無用で魔物認定受けても文句言えないと思う。
「あ、うん。そうだな。疑って悪かった。輝の仕業じゃないとすれば、誰の仕業だ、これ?」
「さあ? 僕もわかんない。楽しいこと好きなロードの仕業かもね」
適当なことを言う僕に、正也はなんとも言えない面持ちになる。
「掲示板の件は大体納得したからもういい。それと、もう一つ、俺らにとっちゃ悪い知らせがある」
「悪い知らせ?」
そして、僕は正也からもう一つの悪い知らせを聞いて、かなり残念に思った。
仕方ないと言えば仕方ないんだけどね。何もこの時期に・・・と思わなくもない。まぁ、ゲーム配信から一月。その記念とするならこの時期にやるのもわかるんだけどね。
正也からの悪い知らせとは、「ファンタジーライフ」の公式HPのお知らせが更新され、1月25日から、一月記念イベントをやるということ。
その時期はちょうど中間テストの一週間前と重なってしまうため、僕らはあまり参加できないだろう。
かなり残念だね。
この時期、さすがに成績を落としたくない僕としては死にもの狂いとまではいかなくても、母さんにVRギアを預けて、テスト勉強の方に集中する。
そのため、しばらくみんなとは会えないことをちゃんと言っとかないとダメだろうね。
テストが終わるまでの間、基本的にゲームはしないという家庭内での約束があるのだ。まあ、気になってそわそわして、多分勉強はあんまりはかどらないだろうけどね。それでも、テスト対策のプリントをやったり、問題集を解いたりはする。
ちなみにテスト開始は1月30〜2月1日まで。最終日はテストが終わると月始めの日なので、学校の全体清掃をして帰るという流れになっている。
なので、そろそろじいちゃんたちにもしばらくログインしないことを告知しとかないとだめだなー、と思いつつ。
僕は今日も学校の授業を受けるのだった。
次→20時




