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85話 冒険者ギルドの探索 7

 さて、勝負はついたもののこのままだとみんなと話ができないので、僕はみんなにリザレクティア(光魔法レベル45で取得)、ハイヒールを掛けて全快させた。


「みんな大丈夫? 手加減なしでやっちゃったけど」

「ナントカダイジョウブデス。ヨソウシテタトハイエ、ヤハリシショウハツヨイデス」

 チャップはキラキラした瞳でこちらを見てくる。

「あはは。ありがとう。とはいえ、ナーガがいてくれたおかげでもあるんだけどね」

 僕はチャップににこにこと笑い返したが、顔にブラッドが張りついてきた。

「キキッ」

「うわっ、ちょ、ブラッド!? 何、ナーガに急所射抜かれて、一撃死になったこと、根に持ってるの?」


 ーーーーーーそんなこと、ない。悔しいけど、ナーガもすごかった。でも、今度は絶対に当たらないし、当てさせない!


 気合い十分みたいだ。確かに、ブラッドって動き回ってたら矢を当てるなんて困難だもんね。ナーガ、すごい。さすがダークエルフ。


 僕の腰辺りに衝撃。


「シヴァ。体当たりはやめてね」


 くっついてきたのはシヴァだ。おかげで服がちょっとぬめぬめになる。まぁ、いつものことだから気にしないし、時間が経てば元に戻るけど。


ーーー(マスター)、主。シヴァの魔封じの粉どうだった? ちゃんと主に効いたでしょ? 頑張って調合したんだよ!


「あの魔封じの粉はやばかったなぁ。魔法、封じられちゃって。すごかったよ、シヴァも。薬師、頑張ってるね」

 シヴァのあの粉はヤバイね。魔法職のみなら、しばらく行動できなくなっちゃうよ。


ーーーうん! 最初はぽーちょんとはい・ぽーちょんをいっぱい調合したんだよ! あとね、あとね、他にもねブラッドやハイドに効く毒薬とか麻痺薬とか混乱薬とか媚薬作れたの! 主にも、半分あげるね!


 シヴァはドサドサと嬉しそうに僕に回復薬セットと危険物を渡してきた。ちなみに危険物にはちゃんとラベルが貼ってあった。

 

 内訳はこちら。


 ぽーちょん×99 はいぽーちょん×99 えすぴーぽーちょん×99 はい・えすぴーぽーちょん×50 毒薬(劇物。相手を猛毒状態にするだけでなく、即死30%の確率で付与。扱い注意) 麻痺薬(劇物。無味無臭。一時間、相手の動きを阻害する。空中散布のため、魔法と併用がおすすめ) 混乱薬(劇物。相手を混乱させ、精神破壊まで引き起こすこわーい薬。一般人には使用しないこと) 媚薬(相手を意のままに操ることができるほど、相手を虜にする薬。モテモテになりたい人におすすめ。効果は五時間ほど) 魔封じの粉(優。高位の魔法使いでも、これがあれば安心♪魔法使いをボコ殴りにできる!効果は十分程)


「うっわ。すげえラインナップ。暗殺者なら、誰でも欲しがるぞ、これ」

「暗殺者じゃなくても、普通に欲しがりそうだよね。えらく効果高い気がするし」

「だな。でも、なんで麻痺薬とか毒薬とか使わなかったんだ?」


ーーー麻痺薬は空中散布しちゃうから。風魔法がないと使いにくいの。相手が風下に立ってる場合なら別かもしれないけど。ここは屋内だし。毒薬は、隙を見て使うつもりだったんだけど。その前にやられちゃったの。


 との返答だった。確かに自分が麻痺に掛かってしまっては使う意味がない。


「ハイドは魔法に気をつけないとダメだね。魔法使いとの実戦とかはやった?」


ーーーやってない。ずっと、これ作ってた。主に喜んでもらいたくて、一生懸命作った。もらって。


 渡されたのは、装備一式だった。


 鋼糸の黒服(テルア・カイシ・クレスト専用。魔神の紋章の刺繍入り)

 鋼糸の手袋(テルア・カイシ・クレスト専用。魔神の紋章の刺繍入り)

 鋼糸の編み込みブーツ(テルア・カイシ・クレスト専用。魔神の紋章の刺繍入り)

 鋼糸の黒ハチマキ(テルア・カイシ・クレスト専用。魔神の紋章の刺繍入り)


「「・・・・・・・・・・・・。」」


 僕とナーガは思わず黙り込んだ。


 え、何これ。全部装備するとヤバイほどにステが強化されそうなんだけど。

 本当に僕がもらって装備しちゃっていいの? いや、僕専用みたいだけどさ。


「そういえば、テルアってほとんど初期装備だったな。それで戦ってたっけ」

「うん。あんまり防具には頓着してないし。アールサンには良いもの置いてないしね」


ーーー目立たないところに、ブラッドやシヴァ、チャップと自分の刺繍も入れてみた。付けてくれると、いつも一緒にいられる気分がして、嬉しい。


 ここまで言われては、装備しない方がおかしい。僕は、装備を変えた。

 全ステが五百程上がったよ。うん、すごい。みんなの僕への愛を感じる。本当にありがたいね。


ーーーブラッドだって、負けてない! これ! 主!


 ブラッドが僕に渡してきたのは、宝飾品、いわゆるアクセサリーの類だった。



 水龍王の爪のネックレス(魔力と水属性が大幅に強化される)

 地龍王の鱗のブレスレット(体力と地属性が大幅に強化される)

 火竜王の爪のイヤリング(力と火属性が大幅に強化される)

 風竜王の牙のアンクレット(敏捷と風属性が大幅に強化される)

 

「「・・・・・・・・・・・・。」」


 再び、僕とナーガは黙り込んだ。と、いうかさ。ちょっと待とう。これ、全部みんなが僕のために揃えてくれたのは、わかるよ? わかるけどさ。

 ナーガの方を見遣ると、だらだらと冷や汗をかいていた。


 うん、かかない方がおかしいと思う。

 これ全部つけちゃうと、運以外は普通に二千突破する。


 ーーー付けて付けて! この間のバザールで、ようやく自分でも納得いくものを見つけられたんだ! 値切っておまけしてもらったけど、高かったんだよ、これ! ハイドの服にも合うと思う!


 キラキラと純粋に付けてもらうことを待ってるブラッドの顔は、寝坊助のブラッドとは思えないほどキラキラしてて。

 僕はブラッドが差し出してくれたアクセサリーを身につけた。


ーーーやっぱり! すっごく似合ってる、主! 僕の目に狂いはないね!


「ありがとう、ブラッド」

 僕はブラッドの頭を撫でた。ステは怖くて見る気がしない。誰か普通に頑張ってるプレイヤーが僕のステを見たら、多分卒倒するね。


「シショウ。ワタシハミンナホド、タイシタモノヲオクレマセンガ、コレヲドウゾ」

「これは?」

「アクマゾクニツタワル、キボリノオマモリデス。ガンバッテマリョクヲコメテミマシタ」

 渡されたのは、確かに木彫りのお守り、だったんだけど。気のせいかなぁ? 木彫りの目玉にも見える部分がさっきからギョロギョロ動いてるみたいなんだけど。

「ねぇ、チャップ。これって、何か特別な効果とかあるんじゃ?」


「エ? ドウデショウ。ココロヲコメタオマモリニハ、タマシイガヤドルト、イチゾクニツタワッテイマスガ。ジッサイ、ソンナモノヲツクレルノハ、ヒトニギリノモノダケデス」


「あ、そうなんだ。じゃあきっと僕の気のせいだよね。うん、多分」


「いや、気のせいじゃねぇよ!? さっきから、目玉がすっげぇ勢いで動きまくって・・・増えた!? 目玉が増えた!? な、今どうやって増えたんだ!」


 ナーガが混乱してる。キット、ツカレテルンダネ。

 僕が木彫りのお守りをアイテム袋に付けると、さらに目玉が増えた。

 うん、もう何もつっこまないでおこう。

 藪をつついて蛇を出したくない。


「あ、そうだ。僕もみんなにプレゼント。こんなにすごいものばかりもらった後だと、ちょっと申し訳ないけどね」


 僕は白銀の時計を、みんなに渡した。

 みんな、すごい勢いで喜んでくれる。 大事にしてくれるみたいだ。嬉しいね。


「それじゃ、そろそろ上に上がるよ。みんなはまだ、ここにいるんでしょ?ってか、ハイドはここから動けないよね。ちょっと最上階まで行ってくるから! じゃあ、みんな!あとでね!」

 僕とナーガは手を振りながら、縄ばしごを上がっていった。


 さてと、これであと残りは五階だ。今度は何が出てくるんだろう?

 新しい装備に身を包みながら、僕は気を引き締めるのだった。


次→ 5/26 8時

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