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8話 探険

 さて、三つ目蛞蝓改め、シヴァを連れて、僕は洞窟内の探険を始めた。

 シヴァは僕の役に立とうと意気込んだのか、僕の先導をしている。

 僕はライトを使いながら、シヴァの後ろをとことこと歩いていく。



 やはり、洞窟内なのでかなり暗い。

 と、いうか、ライトか松明がなければ夜目に優れているか、暗視のスキルを持ってないととてもじゃないが進めないだろう。

 それにしても、気になるのは。



 モグリンAが現れた!

 モグリンBが現れた!

 モグリンCが現れた!

 三体の魔物は恐れをなして逃げ出した!

 魔物たちは逃げ去った。



 さっきから、こんな風に出会った魔物全てに逃げられている。

 いや、頑張れば追いつける。

 実際、試して追い付いている。

 ただ、ブルブルと震えながら、半泣きのように目をうるうるさせたモグリン(もぐらをデフォルメし、大きさが僕と同じくらいの魔物)を撃破するのは少々僕の心が痛む。



 追い付いたモグリンを見逃して、僕は大きく息を吐いた。

 シヴァが不思議そうにこちらを三つ目で見つめてくる(※注、寒いギャグじゃない。見つめるの表現も考えていかなければならないかもしれない)。

「んー。次会ったら倒していいよ。僕の見てないところでやってね」

 シヴァは、残念とばかりに体を震わせる。僕とシヴァの間には、パスと呼ばれる繋がりがあるので、ある程度の気持ちを察することはできる。



 ところで、僕はこの洞窟を序盤の初心者用の洞窟と思っているのだが、実は違うのだろうか。さっきから、歩いても歩いても、全然部屋のようなものに行き当たらない。ようやく、先導していたシヴァが止まったのは、岩肌剥き出しの壁が眼前に広がったためだった。

「ここに何かあるの、シヴァ?」

 シヴァは壁に沿って体の位置を調節すると、ある場所で止まり、壁に体当たりした。



 シヴァの攻撃! 

 シヴァは体当たりをした。なんと、岩壁が崩れた!

 前に進めるようになった。



「すごっ! シヴァすごい!」

 僕は自慢げなシヴァを誉めた。シヴァが嬉しそうに体をくねらせる。

 ごめん、失礼な話とは思うけど、ちょっと気持ち悪いよ、シヴァ。

 まぁ、いいや。シヴァのことはひとまず放っておくことにして、僕はシヴァと一緒に岩壁への先を覗いてみた。



「いらっしゃいませー! 福引き会場にようこそ〜!」

 そこには、洞窟内と思えない光景が広がっていた。

 キラキラのネオンの大きな看板に、運試しの聖地、福引き会場!! と書かれている。

 福引きらしき抽選機も看板の下辺りに置いてある。

 他にも、酒場みたいなカウンターやテーブルがあり、カードゲームをしている魔物たちの姿がある。

 さらに、セーブポイントも設置されていた。

 なんだろ、ここ。


「ここでは、福引きを有料で引くことができます。様々な景品がありますが値段が上がる毎に、景品が豪華になっていきますよ! どうです、お試しで一回?」



 僕に声を掛けてくるのは、ビキニを虎革にしたようなシマシマ模様が入ってる扇情的な服を来た、虎の耳と尻尾、爪を持つお姉さんだった。金髪、黒目で髪はショートだ。

 残念ながら、ボン、キュッ、ボンというスタイルでない。胸の大きさがちょっと足りなさすぎる。でも、足とか腰とかお尻とかはすごい。

 顔も、まぁまぁかわいい部類に入ると思う。

 って、いかんいかん。つい虎のお姉さんを観察しちゃったよ。まぁ、僕には解析のスキルがないから、見たところでお姉さんのステータスがわかるわけじゃないけど。



「あの? 大丈夫、僕? どこか具合悪いの?」

「あ、いえ。大丈夫です、すいません。福引きって、どんな景品があるんですか?」

 虎のお姉さんの言葉に興味を惹かれた僕は、ちょっとワクワクしながら訊ねる。

「あ、お試しで引いてみる? 初めての人は、一回無料だから♪」

「いいんですか?」

「どうぞ♪」

 お姉さんは、僕に福引きを引かせようとしたが、僕ははっとした。

「あ、すみません。ちょっとセーブしてきます」

 セーブをしてから、気に入らないものが出たら何度でもやり直す。それがもしできるなら、活用したいと思ったからだ。でも、そんな僕の思惑を見透かすようにお姉さんが笑った。


「セーブしても、福引きの結果が出たらそこで自動的にセーブされるわ。だから、何度もやり直しはできないわよ」

 お姉さんの言葉に、僕はがっかりした。要するに、一回勝負の純粋な運勝負ということになる。

 それなら、気負わなくてもいいか。

 元々無料(ただ)なんだし。

 僕は、抽選機の取っ手を掴んで、がらがらと回した。


 回し始めると、何故かジャカジャカジャカジャカという太鼓の音が鳴り、

 

 カラカラカラカラーン。


 小気味いい音と一緒に、金色の玉が抽選機から飛び出した。


 パンパカパンパカパカパーン。


「ええっ!? すごっ、一発で特賞当てちゃうなんて!?」

 お姉さんが、金色の玉と僕の顔を交互に見遣る。

 どうやら相当いい品がもらえそうだ、と僕は笑顔になったんだけども。


「おめでとうございます! 特賞の景品は、特別な血筋の吸血蝙蝠(きゅうけつこうもり)です! なんと、魔神の加護付きですよ!」


 ・・・・・・なんですと?


次→19時

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