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79話 冒険者ギルドの探索 1

 つい、もっふりのもふもふさ具合に、攻撃の手を何回か止めかけたんだけど、僕はがっくり、うなだれていた。

 もっふりは見た目は毛玉みたいな感じで意外とお茶目な外見とは裏腹に、動きが素早く、なかなか強かったのだ。

 だ、もんだから。

 当然、マサヤを庇いながら戦わなきゃいけなくて。

 結局、もふもふを堪能する前に、全員攻撃を捌く余裕はあんまりなくて(と、いうか手抜きをするとマサヤが死に戻りしかねなかったので)。

 結果。


「もふもふだったのに。もふもふだったのに〜!」


 だんだんと悔し紛れに壁を叩く僕。そして、周囲には火と風属性混合魔法のフレイムストームの餌食になり、もふもふの毛が焼け焦げて、床に転がるもっふりの死屍累々。

 少しぐらいもふもふを堪能したかったのに!

 しかも、このもっふり。ちょっと待ってみたんだけど、全然仲間にならなかった。

 こ、こんだけの数いるのに、一体も仲間になってくれないって・・・!

「理不尽だぁぁああああ!」

 僕が叫んでる中、マサヤは気の毒そうな顔をしながらも、やるべきことはきっちりとわきまえていて。


「ほら行くぞ、テルア」

 僕を引きずって階段の方へと移動する。

「マサヤにはわかんないよ! もふもふ愛好会の会長として、絶対に一体は仲間に欲しかったのに!」


「そのもふもふ愛好会って何だよ!?」


「もふもふを愛し、もふもふに触ることを生き甲斐とする、素晴らしい人たちの集まりに決まってるでしょ!」

「知るか、そんなん! 勝手に集まっとけ!」

 ぎゃいぎゃい言い合いしつつ、僕らは次の階に進んだのだった。



 次の階にいたのは、僕には見慣れた魔物だった。マサヤはうげっと、悲鳴を上げながら顔をひきつらせてるけど。

 と、いうか。

「なんで、この二匹がここにいるわけ?」

 僕の疑問に、その二匹は親切に答えてくれた。


 ーーーーーーバイト中。結婚記念日に、買いたいもの、ある。


 ーーーーーー私は、ダーリンのバイトに付き合ってるの。


「魔物でもバイトってするんだね。僕としては大百足さんらと会話が通じるとは思わなかったけど。ティティベル様は知ってるの?」


 ーーーーーーオイラたち、瘴気に侵されて無理矢理眷属、させられてた。だから、ティティベル様の言うこと聞かなきゃいけなかった。でも、もう瘴気消えた。オイラたち自由。ハニーと一緒に新婚旅行にも行きたい。そのための費用、稼ぐ。


ーーーーーー私はダーリンについてくだけよ♪


 おおっ! ラブラブバカップルだ! ラブラブバカップルがここにいるよ!  大百足たちは長い体を相手に絡めながらじゃれついている。

 マサヤは正視するのに耐えきれずに目をそらしてるけど。そんなに嫌な光景かなぁ?

 ま、これだけ大きいと不気味と言えば不気味かもね。

 僕はラブラブバカップルのハニーとダーリン呼び会話にあてられてるけど。


「あ、そうだ。それなら、ちょっとだけ旅行費用に貢献するよ。はい」

 僕は、お金十万ギルを取り出して二匹に渡した。二匹は喜んでそれを受け取り、僕らは戦うことなく、二階から三階に上がった。


 三階は、ある意味すごかった。と、言うのも、罠仕様とでもいうか。

 ありとあらゆる場所に糸と絡めた罠が仕掛けられてる。これ、気配察知と危機察知がないと全然進めないんじゃ? と思わせるほどの量だ。


 マサヤは危機察知とか持ってないんで、僕が先頭を歩くことになった。

 マサヤに、罠の位置を教えて進むけど、マサヤは気をつけていても罠に引っ掛かる。

 上から落ちてきた大岩を時に魔法を使って粉砕し、マサヤが毒に陥れば浄化を使い、マサヤがうっかり蜘蛛の糸に張り付いて動けなくなった時は、火魔法で糸を燃やした。助ける度に、マサヤの表情が死んでいったけど、こればかりはスキルの問題だから仕方ない。


 なんとか、罠階をクリアーした時、マサヤはスキルの罠察知を身に付けた。

「もっと早くに身に付いてくれよ!」

 と、叫んでたけど、こればかりは仕方ないと思う。

 次の階には何があるんだろう。

 できればすんなりと上に上がれれば嬉しいんだけどね。


 四階は、頭を使うフロアだった。簡単に言えば、魔法パズルみたいな物が置いてあって、それを解かないと上に上がれない仕組みだった。っていうか、このパズル、全部で六パネルもあり、六属性の魔法全て扱えないと、途中で行き詰まる。これを考えたのが誰かは知らないけど、特定の人間しか上に上げないという、意気込みみたいなのを感じた。

 マサヤは魔法が使えないので、僕が解いたんだけど。

「俺、何の役にも立ってねぇ」

 がっかりしてるマサヤだったけど。

 五階でマサヤが大活躍することを、この時の僕とマサヤは知らなかった。


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