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77話 正也に約束させられてしまった。

 さて、色々あったけど、じいちゃんとの約束の1週間が過ぎてしまった。

 調べものするどころじゃなかったなぁ。じいちゃんからせっかく特訓免除してもらったのに。結局じいちゃんのこと調べるどころか、課題に手間取った挙げ句、出来てない課題が二つ残ってしまった。これは、後できちんとできなかったってじいちゃんに言おう。

 でも、じいちゃんの反応が怖いこともあるんだけど、今の僕には先にやらなければならないことがある。それは・・・。


「輝。とりあえず、きりきり白状しろ。今なら正直に言えば俺、怒らねぇから」

「なんで、僕、犯罪者みたいな扱いになってるの? 別に、たいしたことしてないよ? 昨日言ってた、ドッキリ大作戦を実行しただけだよ?」

「よーし、それならまず、そのドッキリ大作戦の内容聞こうか。幸い、今日は道場の掃除日だから、いつもよりも時間はあるしな」


 剣道部は、月に一回、練習をお休みにして道場掃除をする日が設けられてる。道具なんかもちゃんとチェックしとかないと危ないしね。その日は、朝練は自由にしていいんだけど、その後で掃除道具の準備しておくから、いつもよりも朝練が終わるのが早いのだ。


「で、輝。これ(・・)について、説明してほしいんだが」

 携帯端末に映ってるのは、ホネッコの映像だった。そのホネッコが草原の上をすごい勢いで飛んでいくのは結構迫力がある。正也は、映像を一時停止して、ホネッコの口の辺りを指差した。それを拡大させる。


「これ、どう見てもお前だよな? なんで、突如アールサンの近くの草原に現れた骨竜の口元にお前がいるんだ?」


「ん? ホネッコに頼んで空中飛行してもらったからだよ。僕は、安全のためにそこにいただけだね。メインはこっち」


 僕は、映像に写っていたティティベル様を示した。動画だから、ティティベル様の絶叫までバッチリ聞こえる。


「この目隠し状態でイスに座らされて叫んでる少女のこと、プレイヤー間で、話題になってんだぞ。虐待かいじめじゃないのかってな」


 そんなことになってるの!? 僕は慌てて反論した。


「ええ!? 全然違うよ。ティティベル様は神様で、僕らと勝負しただけだよ。勝負内容は、三十分間声を出さなきゃティティベル様の勝ちで、声を出したらティティベル様の負け。そういう勝負」


「それ、相手本当にその条件で納得したのか? どう考えても不利だろ。絶叫マシンに乗せられるようなもんだぞ」


「勝負方法は一任されてたし。ホネッコ空中飛行のことは黙っといて、目隠ししてイスに座った状態で声を出さなければティティベル様の勝ちって言っただけだしね」


「明らかはめる気満々だったんじゃねぇか!」

 

「うん。だって勝たないと、僕の身が危険だったし。ティティベル様が、人間のすることなんてたかが知れてる、自分に勝つなんて絶対に無理!とか、慢心してくれてて助かったよ」


 実際、あれはティティベル様の油断や慢心に、僕らがつけこめたからできた偉業だ。もっと用心深い性格だったら、僕らの方が負けてた可能性もある。まぁ、結果良ければ全てよし、だけどね。


「お前に勝負方法一任とか、どんだけだよ。絶対に相手を勝たせないような勝負方法にすんの、目に見えてんじゃねぇか」


 あきれた正也に、僕も同意する。


「僕なら絶対に相手に勝負方法一任とか、怖くてできないよ。そう考えると、ティティベル様、本当は度胸があったんだろうな〜って思うけどね」

「蛮勇的な行為だと、俺なんかは思っちまうけどな。勝負は勝負。余裕を見せて、負けてちゃ世話ねぇ」


 辛口な正也のコメントに僕は思わず苦笑する。


「ま、大体わかった。つまり、このイスに座った状態の少女が、その間抜けな勝負相手だってことだな? んで、勝負に手抜きなんてしないお前が手段を選ばずに泣かせた、と。じいさんに報告してやろうかな、お前がやったこと」


 僕がじいちゃんがとっくにこの件のことを知ってることと、この件についてはむしろ協力してくれたことを正也に伝えると、頭を抱えてしまった。


「なぁ、輝。今日もゲームにログインするのか?」

「え? そりゃ、もちろんそのつもりだけど」

 僕にとって、「ファンタジーライフ」にログインすることは既に決定事項だ。

「俺も一緒に行くから、それまではログインすんな」

 ええ!? なんで、正也にそんなこと決められなきゃいけないの!?

「目を離すとなにかしらやらかすからだよ、お前が! いいか、今日の五時半まではぜっったいにログインすんなよ!? もし、やったら・・・お前の情報、紅蓮騎士団に流す」

「それは、卑怯どころじゃないと思うんだけど、正也」

 さすがに、紅蓮騎士団に情報流されるのは困るなぁ。何だかんだで向こうは僕のこと探してるみたいだし。つきまとわれたくないしね。

 渋々、僕は正也の提案を飲んだのだった。


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