74話 それは僕のせいじゃないと思うんだけど(・・;)
学校について早々。
「輝ーーーーーーーっ! お前、またゲーム内でやらかしたな!?」
僕は朝練後の正也に捕まった。朝から元気だね、正也。その元気さ、僕も分けてほしいくらいだよ。
「正也。どうしたの、朝から。なんかあった?」
「なんかあった? じゃねぇ! これ見ろって! じいさんのことが掲示板で書かれてるぞ! ほれ!」
僕は正也の携帯端末を貸してもらい、欠伸しながら、画面に目を通す。
そこには。
1035 ミキ♪:ちょ、これやべえって!? 紅蓮騎士団が全滅とか!!Σ( ̄□ ̄;)
1036 コークリ:武神クレストはわかるとして、もう一人のじいさん、何者!?すっげぇ強いんだけど!?(◎-◎;)
1037 名無し希望:関わんな! 絶対にあのキャラには関わんな! ボコられるぞ!
1038 モッキ~:>>1037名無し希望さん、ボコられるって? あのキャラ知ってるんですか?
1039 名無し希望:あいつは黒い死神だ! 魔法使いギルドがまるで相手にならなかったんだ!
1040 レイガン:魔法使いギルド? ???
1041 名無し希望:知りたいやつは、とりあえずアールサンの冒険者ギルドの事件さらってみろ。出てくるから。
1042 カカシ:見てきた。そして、よくわかった。あれは無理。絶対に無理。
もう一人の子どもキャラなんて、蜘蛛無双だった・・・(;・∀・)⊃リンク貼っとくわ。
fantasylife:5214pwk%84j6mq.
1043 ミキ♪:( ; ゜Д゜)く、クモマスターだ。
1044 シルガン:ぎゃああああ! あの蜘蛛だったぁああああ!
1045 ほりっくわーかー:くもだ!くもがでたぞぉおおおお!
1046 モッキ~:殺虫剤どこ!? 蜘蛛キライ~!(。>д<)
1047 ラッキー:あれ? でもあの子ども、プレイヤーじゃ? だって一緒に講習受けたし、見覚えあるぞ? そういや、ジョブに魔物使い選んでた気が・・・。
1048 シルガン:プレイヤー!? あれ、プレイヤーなのか!? 嘘だろ、どうやってあんな蜘蛛仲間にしたんだよ! 魔物使いって不遇職業だろ!?
1049 ラッキー:いや、なんかうまいことやったんじゃないか?
1050 コークリ:じゃあ、あのじいさんは?
1051 スレイ:興味深い話をしてるな。俺も混ぜてくれ。
1052 レイガン:え? あのスレイってまさか・・・。
1053 スレイ:お察しの通り、紅蓮騎士団のギルドリーダーだ。
1054 ミキ♪:えぇぇええええ!? 本人来ちゃったの!?
1055 カカシ:うわぁ。情報収集の一環で、リーダーまで来ちゃった(^-^;) 自分も情報収集目的だけど。ちなみに自分もギルド員。
1056 スレイ:とにかく、あんなに強いキャラがまだまだいるかもしれないんだ。色々と調べておいて損はない。とりあえず、蜘蛛を仲間にしたプレイヤーかキャラについて、誰か知らないか? 知ってたら、情報に応じて報償金かレアアイテムを出すが。
1057 ほりっくわーかー:ちょっと調べに行ってくる!
1058 シルガン:やめとけ! やられるぞ!( ̄□ ̄;)!!
・・・・・・・・・・・・・・・。
その後も色々続いてるみたいだけど、そこまで僕は読む気にはなれなかった。
「僕、クモマスターじゃないのに」
「いや、つっこむとこそこじゃねぇから! 紅蓮騎士団に、狙われてるって教えたかったんだって!」
「・・・・・・なんで?」
狙われる? え、どうしてそんなことになるの? 僕、確かにナガバの森に送ってもらったけど、その後何にもしてないんだけど。
「いや、だって。そりゃそうだろ。いいか? 今回、ナガバの森の異変ってことで、紅蓮騎士団はボランティアで動いてたんだよ。他のプレイヤーのために、ってな。それがどうだ? 調査前に武神クレストとじいさんに全滅させられたんだぜ? そりゃ、腹も立つだろ、絶対」
「そう? でもさ、そもそも、なんで紅蓮騎士団の人、じいちゃんに攻撃したの? じいちゃんの性格上、攻撃しなきゃ、普通に僕のこと待ってるだけだったと思うんだけど」
「そりゃ・・・・・・。ちょっと待て。今調べるから」
正也はすぐに原因を調べてくれた。すると、僕的にはやっぱり、じいちゃんをあんまり知らない正也からすれば、驚きの新事実が判明した。
「どうも、黒鋼蟻に攻撃を仕掛けた団員に、じいさんが注意したっぽい。それが気に入らなかった団員と、じいさんが戦いになって・・・」
「後は聞かなくても大体わかるよ。一方的な展開になったんでしょ? 途中からクレストのおじさんまで参戦して」
「そうみたいだ」
「じいちゃんらしい」
僕は思わず笑ってしまった。じいちゃんの前で黒鋼蟻に攻撃仕掛けたのが運の尽きだね、それは。注意されてるうちにやめとけばよかったのに。
アリたちにしてみれば、好きでナガバの森の入口にいたわけでもないし、入るために攻撃を仕掛けずとも、「入れてほしい」って一言頼めば、無傷で通してくれたはずだ。
それをじいちゃんに説かれて、逆ギレして攻撃しちゃったんだとしたら、この場合、どっちが悪いんだろうね? じいちゃんが一方的に悪者にされちゃってるけど、事実はこんなものだ。
僕は、じいちゃんが間違ったことしたとは、ちょっと思えないね。
「この場合ってさ、どっちもどっちってことか?」
「紅蓮騎士団はそうは思わないだろうけどね。僕は、じいちゃんだけが一方的に悪いんだ、とは言わないかな、さすがに」
「む、難しい。すげぇ難しい、これ。どっちもどっちな気がしてきた」
正也は本気で悩み込んでしまった。
そのまま、携帯端末を手に、自分の席まで行き、唸り声さえ上げながら、この問題について考えているみたいだ。
そう悩まずとも。ゲームの中の話なんだけどね。ま、正也が気が済むまでは放っておくか。
僕は、唸る正也を横目に、今日の授業の予習を始めたのだった。
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