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66話 ナガバの森の異変、再び 1

「赤石! 赤石、起きんか!」

 ユサユサと揺さぶられて、僕ははっと目を覚ました。見ると、数学担当の大熊先生が、しかめ面で僕を睨み下ろしていた。眠気に負けて、いつのまにか机に突っ伏して寝てしまったようだ。

 やば! 授業中なのに寝ちゃったよ!


「赤石。ずいぶん気持ち良さそうに寝てたな。寝不足か?」

「すいません。昨日、ちょっと踊りの特訓を夜遅くまでさせられて・・・」

 嘘ではない。ゲームの中でやらされたけどね。

「ほう、踊りね。そりゃ熱心なことだ。だが、授業中に寝ていい理由にはならん! 眠気覚ましに黒板の練習問題解いてこい!」

「はい・・・」

 そりゃ、怒られて当然だよね。次の休み時間には、自販機でコーヒー買ってこよ。

 クスクス他の生徒に笑われながら、僕はなんとか練習問題を解き、今度は寝るまいと、授業に集中するのだった。



「また、豪快に居眠りしてたな、輝。しかも、大熊先生の授業だろ? よく寝る気になれんなー」

「昨夜、寝るのが遅かったんだよ。まだ眠い。ふぁーあ」

 休み時間になって、正也が僕に話しかけてきた。休みに入って、即買ってきたブラックコーヒーをちびちびと飲む。

 苦い。カフェオレにすれば良かった。

 これで次の授業は居眠りしなきゃいいんだけど。

「どうせ「ファンタジーライフ」であのじいさんに付き合わさて寝るの遅くなったんだろ? お前もお人好しだな」

「違うよ。昨日は踊りが好きなダークエルフに付き合ってたんだよ」

「は? ダークエルフ? いつの間にそんなのと知り合ったんだよ。プレイヤーか?」

 僕は違うよ、と否定した。


「多分、イベントキャラ。急に襲われたから返り討ちにしたんだけどね。イベクエ08受けたら、ナガバの森に連れてかれてさー」

「は? ナガバの森? あそこ入れなかっただろ、入り口のとこに黒鋼蟻いて。通ろうとしたら、襲われて全滅したって、掲示板に何度も報告あがってたぞ」

 正也、意外と詳しいね。ほめると、正也はあきれた顔をした。


「輝。お前掲示板活用してねぇの?情報なしでナガバの森行くとか、どんだけ考えなしだよ」

「ん? でも僕、アリたちに襲われなかったよ?」

「は?」

「アリたちも、幼虫が外に出てるわ、巣に変なものがいるわで大変だったみたいだよ?」

 まさか、と正也は顔をひきつらせ、すぐさま自分の携帯端末を取り出して、調べようとしたところで。


 キーンコーンカーンコーン。


 本鈴がなり、時間切れになる。

「時間切れかよ! 輝、後で・・・いや、昼休みだ! 昼休み、絶対詳しい話聞かせろよ!」

 正也は自分の席に戻っていく際に、僕に念押ししていった。

 別に、大した話にはならないと思うんだけどなぁ。


 その頃、「ファンタジーライフ」内でとんでもない事件が起きてることを僕らは知らなかった。



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