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419話 商売人が現れた!

「もふもふじゃなく、もさもさがやって来るとか。誰得?」

「さぁな。ってか、あれ、どうするんだ? 現実教えるのか? 俺、やだぞ、絶対」

「いやいやいやいや。俺も嫌っすよ。遠慮するっすよ!」

「こういう場合は、やっぱりリーダーがやるべきだね」

 じっと全員から視線を注がれたスレイが、顔を歪めた。仕方なしに事情説明を始めるリーダー。


「シヴァー。この毛生え薬効きすぎだよ。もっと薄めないと使えそうにないよー」

 シヴァが、失敗かーと言いたげに、落ち込んだがすぐに毛生え薬の改良に乗りだし。その会話の間に。


「なんでこんなことになっとるんやぁあああ!! こうなったら全員道連れやっ!?」

「ほりっくわーかー! 落ち着け! 落ち着けったら落ち着け! こっちに来るな!! 薬瓶を振り上げるな!」

「待とう! 今は確かにちょっと妖怪っぽいけど、大丈夫だから! 元に戻るって。いや、だから、こうなるなんて僕たちも思ってなくてね!?」

「そりゃ、ショックなのはわかるけど、俺らにその毛生え薬の残りを無理矢理飲ませようとかどうなんっすか!?」

「・・・・・・・・・。悪いけど、俺も自分の身が可愛いんで反撃するんで」


 なにやら後ろが騒がしくなっている。

 僕が振り返ると、みんなが騒いでいるのがどうしてかよくわかったけど。

 おー、どうしよ。毛の生える速度が速いらしく、廊下までもっさりの毛で覆われていく。

 本当にすごいな。

「シヴァー。状態異常回復薬ー」

 ほい、と手渡された状態異常回復薬をとりあえず毛に振りかけてみると、それ以上伸びるのは止まった。

「動かないでねー、ほりっくわーかーさん」

 僕は投げナイフで、もっさりした毛を刈っていく。やがて、ほりっくわーかーさんの顔が見える程度まで毛は刈れたのだが。

「ごめん、ほりっくわーかーさん。さすがに服の下の体毛まではちょっと・・・」

 まぁ、どこの原始人だと言いたくなる程度には体の毛が残ってしまった。

「ナイフ貸してくれる? 自分でトイレで刈ってくるわ」

 もぞもぞと居心地悪げに足をこすり合わせるほりっくわーかーさんに、僕は何も言わずにナイフを渡して、ナイフは返してくれなくていいと告げた。

 ただ、背中の毛が刈れなかったから、そこは僕が刈ることになった。そうこうしているうちに、シヴァの薬の調整も済んだようで、今度は大丈夫!と渡された毛生え薬を誰も持ちたがらなかったので僕が持つことになった。

 薬をアイテムボックスに入れていると、何人かのハゲの呪いにかかった女子生徒が、遠巻きに僕らを見ている。

「でも、さすがに実験なしで飲ませるわけにもいかないよねぇ」

 さっきのほりっくわーかーさんみたくなっても困るし。自分で飲むしかないかなぁ、と考えていると。

「はいはーい。毛生え薬の販売はこっちだよー。一回、なんとたったの十ハートポイント!欲しい人は並んでね♪」

「何やってるの、ミニちゃん」

「え? このままだとイベントが進まずに無茶苦茶になりそうだから、責任者・・・ごほん、じゃなくてちょっとお手伝いしよっかな〜って」

 えへへ、と笑うミニちゃんだが僕の懐疑的な感情に気づいたのか、明後日の方を向く。

「ま、まぁ! 私が責任もって薬を売りさばくから、気にしなくていいよ! ほら、薬出して!」

 僕は他の仲間の了承を得てから、ミニちゃんに、薬を渡したのだった。なんか、無駄に疲れた気がする。


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