417話 妖怪?
強さには様々なものがある。魔力の強さや、魔法の上手さ、あるいは某かの武術の技巧、職人業という単語があるように、長年研鑽をしてきた一流職人にしかできない業も使いどころさえあれば立派な強さと認められることもあるだろう。
そして、今。僕は確信した。シヴァのとんでもないその強さを。
いや、だってさ、よくよくレシピ読んでみたら、作り終えるのに二日かかる代物だったんだよ。毛生え薬。
それを、半日足らずで作成を終了させるとか、どんだけ薬の調合が得意なのとも言いたくなる。あ、僕の疑問はカチ神お手製のお鍋セット使ってるからの一言で氷解済みだ。
いつのまにやら、シヴァってば漬物シリーズも自分で研究進めて増やしてるし。ちなみに、屍肉の漬物の再現はまだできてないみたいだけど、僕が不用意に不死魔物のお肉は? と、言ったせいで、このイベント後に試したいことができたと大喜びした。マサヤたちからの冷たい視線が僕に突き刺さったことは言うまでもないだろう。まぁ、前置きが長くなったけど、僕らの目の前に置かれたガラス瓶。その中には黒々とした液体が入っている。これが試作してみた毛生え薬らしい。
「そんなら、早速使わせてもらうわ!」
ほりっくわーかーさんが、毛生え薬の瓶の蓋を取って頭につけた。
効果は見る間に現れた。
ばっさぁあああ!
「「「「「・・・・・・・・・。」」」」」
「なんや!? 急に前が見えんようになってんけども!? どないなってるん!?」
僕らにも答えにくい。だって。
「妖怪毛羽毛現が見られるとはな」
そのスレイの例えに納得してしまう。僕らの前には、毛むくじゃらとしか表現しようのないほりっくわーかーさんが、いたのだった。




