415話 暇潰しのために
うーん、と僕は唸っていた。それというのも、ほとんど何も問題なく進めているからだ。いや、進みすぎているというべきか。まず、情報収集しつつ、毛はえ薬の材料がある場所を目指すのだが、そこで僕らはそれほど強くない、具体的にはスレイやカカシさんたちが余裕で倒せるほどのボスキャラしかいなかった。ジーンさんの話的には、もっと強そうな相手が出そうだったのでちょっと拍子抜けだった。それはいいとしても、すんなり倒れすぎたせいか、目的の薬草をドロップしてくれなかった。そのため、何回か戦闘をするのだが、やはり出ない。レアドロップなんだろうか?
全員で相談を始めると。
「師匠、なんだか、色々と皆から報告が来てるんですが」
チャップからそんな言葉が飛び出した。どんな報告だろうかと聞いてみると。
「マジか、それ(マサヤ)」
「うわぁ、頑張り損?(撲)」
「先にほかのパーティーの報告書を読むべきだったか(スレイ)」
「落ち込まないでよ、隊長。僕もちょっとへこんでるんだから(カカシさん)」
「とりあえず、なんとかなるならいいんじゃないっすか?(ミキさん)」
「毛はえ薬できあがんの、ここで待つでー!!(ほりっくわーかーさん)」
と、いった感じになった。いや、誰が予想できるわけ? まさか魔物組が、もう既に、毛はえ薬の材料守ってる相手を倒してたとかさ。おまけに、毛はえ薬はもうシヴァが作り始めてて、出来上がるのはあと一時間後とか。
みんなが優秀なのは嬉しいんだけど。嬉しいんだけど、こう、なんというか。
「暴れ足りなさそうっすね」
「そう、それ!」
「よくわかったな、ミキ」
僕とスレイの声がハモった。ん?と顔を見合せ。
「やっぱり、暴れ足りないよね、全然」
「あぁ、クエストらしきものをほとんどしてないので欲求不満だ」
「隊長! 誤解招くからその言い方やめて!?」
カカシさんのつっこみが入る。
「あー、ものすごく気持ちはよくわかるっすが、あの二人が意気投合とか、まずくないっすか」
「まずい気がめっちゃするわ。どないする?」
「俺らに止められるわけないんで、俺は静観して、諦めて巻き込まれるけど」
マサヤの言い分に、二人は戦慄した。
「勇者がここにおったわ」
「俺には真似できないっす」
「いや、ただ諦めてるだけだよね? 巻き込まれるの、諦めてるだけだよね、それ!?」
カカシさんが感心することではないと主張している間にも、僕らの話し合いは進み。
「じゃあ、暇だからPKKでもやるってことで!」
「そうだな。久々の対人戦、楽しみだ」
「めっちゃ、危ない橋渡ろうとしてんで、この二人!?」
いや、暇潰しにはよくない? 一応そういう報告やら情報も掲示板に寄せられたりするし。
「紅蓮騎士団の仕事のうちと思えばそこまで反対意見も出ないと思ったのだが」
「反論封じてくるとか。どんだけ暴れ足りないの、隊長たち」
カカシさんがあきれながらも、PKK情報の収集をしてくれる。こうして、僕たちは(暇潰しのため)PKKをすることにしたのだった。




