411話 奥の手(※)
遅くなりました、すみません!眠くて、寝落ちし(-.-)Zzz・・・・
空中に飛び立ちながら、ヤマトは眼前の敵への勝ち筋が見えてこないことに焦る。まるで、自分の主と戦っているかのように、手応えがない。いや、手応えはあるものの、防がれたり、微々たるダメージしか与えられないのだ。
これほどの強敵など、そうそうないだろう。
全員が撤退も視野に入れているだろうが、いかんせん、逃げる隙さえ与えてくれそうにない。移動魔法を使用して撤退すべきところなのだが、先程から何故か魔法が使えない。恐らくは、眼前の敵の仕業と見ていいだろう。
回復魔法も使用できなくなっており、先程からシヴァの回復薬頼みだ。
手助けしに来たものの、このままでは負ける。撤退するにしても、呼吸を合わせなければ残った誰かがやられてしまう。全員で、挑んでいるにも関わらず、当てられているのはハイドの突撃によってわずかに生じた隙に乗じてのナーガの射撃のみ。圧倒的に火力が足りなかった。せめて、魔法がいつものように使えれば違ったのだろうが生憎、今も使用できないままだ。
「その程度か? 弱いな」
揶揄されて、頭に地が上りそうになるが、次いで放たれた衝撃波に慌てて回避行動を取る。
「かっこつけて出てきたのはいいけど、強いな、こいつ」
ナーガの言葉に他の魔物たちも全面的に同意する。
「? シヴァ、どうした?」
そのとき、魔物同士でしかわからない意思伝達で、シヴァがヤマトにある計画を持ちかけてきた。しゃべれるヤマトに、ナーガへの作戦の説明を頼んでくる。どちらにしろこのままではじり貧なので、ヤマトはシヴァの計画をナーガに伝えた。ナーガもそれに、乗ってくる。
あとは、タイミングだ。タイミングが合わなければ、意味をなさない。
全員が、意思を統一して、計画が実行できるよう、奮闘する。
そして。それは実を結ぶ。
シヴァが取り出した薬を飲んで、それが効くまでの時間稼ぎをしていたが、シヴァの薬は丁度、三分ほどで効き始めてきた。
シヴァの体がピカピカと光始める。
「? なんです、それは。一体何を・・・」
シヴァの体が光ながら変化し始める。触手はなくなり、五本指のある腕や足へと。そして、赤い髪に、琥珀色の瞳。服を着てないのは、元の姿からそうなってしまっただけだ。
「驚いたな。コピー薬か」
「そうだよー。僕らの主の姿なんだー。だから、無様なことには絶対にしないよ」
少し高めの少年の声に、敵は目を見開く。
「なるほど。少しは楽しめそうだ」
敵もやはり大物だ。テルアになったシヴァを前に、平気な顔をしていられるのだから。
「来い、相手をしてやる」
テルアになったシヴァは、先程とは全く違う動きで、敵に襲いかかったのだった。




