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392話 残酷なのかもね

 ひとまず、今後のことを考えて結論を出した僕は正也と一緒に、ある人を訪ねに行った。事情説明をすると、その人は、軽いノリでオッケーを出してくれたので、部活終了後に喜一君の自宅に押し掛けて、事情聴取。日道先輩にも付き合ってもらい、かなりの時間が経ってから、ようやく僕が何故狙われたのか理由が浮き彫りになった。

 それから、明日の計画をみんなで話し合い、詰めて、ようやく僕らは家路につけた。ちなみに夜の9時を回っている。正也と二人で自転車で夜道を走りながら、僕は疲労の濃い表情を隠せなかった。


「まさか、こんなオチになるなんてね。はぁ、ついてない」

「本当にな。お前、ただ単に巻き込まれただけって予想だったしな」

「大当たりで嬉しがるべきか、理不尽だと怒るべきか。悩むところだよね」

「そこは、怒るべきところだと思うぞ」

 正也の言葉に、僕は苦笑する。怒っていないかと聞かれれば否だが、だからといって相手を殴りたいとか、許せないと思い続けるのは、案外しんどい。一度、大きく怒りを出して後は忘れる方が楽だ。

「正也。あのさ、悪意に一番いい対処方法は、鈍感とか、無関心なんだよ。関心を寄せた瞬間、相手の思うつぼ。自分に対しての敵に、塩を送るのと同じなんだよ。敵に情けをかけるとかそんなんじゃないよ。ただ、無駄だって思い知らせれば僕はそれでいい。だから、犯人の説得をあの二人に任せたんだよ」

「・・・お人好し」

「違うって。本当に、無視するってことが、無関心が一番残酷なことなんだよ。誰だって独りじゃ生きていけない。誰かと繋がっていたいって思うものだから。良くも悪くも」

 心の奥底に沈めていた思いが浮かんできてしまう。

 誰もに嫌われて、疎まれて。マイナスになった評価をなんとかしようと足掻くことさえ許されずに、彼らにだけ責任を押し付けた。

「早く帰って、『ファンタジーライフ』やりたい」

 誰かと繋がっていたくなって仕方がない。センチメンタルな僕に正也はきちんと釘を指してきた。

「明日五時に起きられんなら、一応0時までつきあってやる」

 正也の方がよっぽどお人好しだよ。

 その言葉を飲み込んで、僕は正也の後ろ姿を追いかけた。


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