389話 喜ばれてる!?
正也と一緒にログアウトして、入浴して、ほっこりした。一応、明日は六時起きのようなので、目覚ましを掛けてから、就寝した。
翌朝。
「おーい、輝。起きろ、朝だぞ」
僕は無理矢理揺さぶり起こされた。ぱっと目を覚ますと、すぐ側には正也の顔があった。
「なんで、僕の部屋いるわけ、正也」
「え? そんなん、お前を迎えに来たからに決まってるだろ。朝御飯とか食べないと、力出ねぇかなと思ったから、勝手に鍵使って入らせてもらった。朝食、できたから、着替えるより先に食べちまえよ」
「ほんと、こーいう時は正也のその無駄な行動力が恨めしいよ」
幼馴染みであるために、正也は我が家の予備の鍵がどこにしまってあるかもばっちり把握している。朝練に連れてくためだけに、どれだけ早朝に我が家に来てるんだか。時計を見遣ると。
「って、まだ五時前!? 朝五時に僕は起こされてんの!?」
正也一体何時に起きたわけ!? 早起きしすぎだよ!
「いやー、昨日ゼルサガの単語聞いて、イラついて、早々にふて寝したはいいんだが、起きてからもやっぱりむしゃくしゃして。しょうがねぇから、4時過ぎに布団出てきた」
「うっわぁ。超が、つくほどの朝型。お坊さんにでもなるつもり?」
「いや。ならねぇよ。めんどくせぇ。って、無駄話はいいんだよ。ほら、さっさと準備しろって。朝飯冷めちまうから」
「はいはい。起きますよ」
僕は体を起こした。そして、いつもの台詞を呟く。
「なんで、正也は性別が男なんだろ。女だったら、普通に結婚したのに」
「もう耳タコな台詞をどうも。俺だって、何度もお前が女だったら結婚してただろうなとは思うが、生憎両方男だ」
「残念だねぇ」
「残念だったな」
同時に嘆息して、僕は切り換える。
「じゃあ、正也。下行ってて。すぐいくから」
正也に下に降りてもらい、僕は素早く着替えた。
今日の朝食はなんだろ。正也、料理上手だから楽しみだな。
「おはようございます」
「えっ!? あれ、赤石!? なんで!?」
「しばらく登下校一緒にするって言ってただろ? だからだ」
来たばかりの部員に驚かれたが、すかさず正也がフォロー。
「本気だったのか!? てっきり、朝は別々かと」
「だったら、僕としても嬉しかったんだけど。生憎、正也は本気だったみたいで。危険がなくなるまで一緒に登下校だってさ。家まで押し掛けてきたんだから」
運動部でもないのに、しばらくは早起きが続きそうだ。さらに、下校も一緒となれば、さすがに気が滅入る。
「よくやった、八敷! これで、赤石に練習が見てもらえるっ」
「やった! 準備とかの手伝いもしてもらえるぞ!」
あれ!? 喜ばれてる!?
「しばらく、よろしく頼むな、赤石」
部長にまで念押しされて、僕は乾いた笑いを浮かべるしかなかった。




