表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
389/424

388話 文句言うな!!

「やだ! もうログアウトなんて絶対にやだーっ!!」

 僕は、ログアウトするというマサヤの爆弾発言に断固抗議した。

「わがまま言うな! 仕方ないだろ!明日朝練で五時半起きなんだから! もう、夜の十時前だから、寝ないと明日つらいんだよ!」

「それなら、マサヤだけログアウトすればいいじゃん!」

「あのな、明日お前も朝練に連れてくに決まってるだろが! 何あるかわからないんだぞ!? 黙って見てられるか!」

 睨み合う僕らに、恐る恐るミキさんが声を掛けた。

「えっと、明日部活あるんすか、二人とも?」

「僕は帰宅部だって!」

「しばらく何があるかわからないんだから、無理矢理でも一緒に登下校するに決まってんだろうが! 万一、何かあってからじゃ遅いんだぞ!?」

 ギャーギャー言い合う僕らに、ゴインと拳骨を落としたのはカカシさんだった。

「テルア君」

 名前を呼ばれて、うっと怯む。

「詳しい事情は、わからないけど、マサヤ君だって、意地悪や酔狂で言ってるわけじゃないんなら、ちゃんと聞いておくべきだよ。ゲームで強くても現実(リアル)じゃそうじゃないんだから」

「それ、は・・・」

 僕は言葉を詰まらせる。確かに、そうだが。

「マサヤは、僕に過保護過ぎるんだって」

 でも、スレイや他のパーティーメンバーの曇った表情に、これ以上のログインを僕は諦めた。

「でも、わかったよ。今日はログアウトするから」

 さすがにこんな心配気な雰囲気で、楽しむことはできそうにない。

「師匠!」

「チャップ?」

「このイベントが終わったら、聞きたいことがあります! ゼルサガという・・・」

「黙れ」

 チャップの言を遮る、極寒を思わせる声音に、誰かが息を飲んだ。発した声の主は、これまで見せたことがなかったはずの暗く燃え盛る瞳で、チャップを見据えた。

「・・・マサヤ」

 僕が名前をたしなめる意味で呼ぶと、マサヤはチャップから顔を背けた。

 握りしめた拳が震える。

「ちっ。胸くそ悪い。ログアウトするぞ、テルア」

「わかったよ。それじゃあ、ちょっとマサヤもイラついちゃったみたいだし、今日はもう現実(リアル)に戻るね。チャップ、話はまた今度ね」

「テルア」

 ぐいっと無理矢理腕を捕まれて、苦笑しながら、メンバーと別れる。

 チャップに悪いことしたなぁと、僕は感じながら、後ろ髪引かれる思いで、ログアウトしたのだった。




「なんや、今の。マサヤのあんな声、初めて聞いたで」

 ほりっくわーかーは唖然としている。

「寒気がした。まさか、マサヤに気圧されるなんてな」

 スレイは、信じられないと言わんばかりに目を瞬いた。

「すっげえ、怖かったっす」

 ミキはぶるりと体を震わせた。

「それだけ、逆鱗に触れちゃったってことじゃないかな。テルア君が止めてくれて、正直助かったよ。ステとか関係ないね。本当、変わったコンビだよ」

 カカシはやれやれと嘆息する。

「君は、もっと考えるべきだったね。誰しも、触れられたくないことがあるものだよ」

 マサヤの憤怒の一端を垣間見てしまったチャップは、自らの失態を悟った。

「すみません。気が、急いてしまって。師匠やマサヤ殿の気持ちも考えず、浅はかでした」

 ぎりっと唇を噛み締める。

「少し頭を冷やします」

 チャップは再び移動魔法で消える。何故、マサヤがあそこまで怒ったのか、知りたいが、知ってはいけない気が今はしていた。

 誰もが、後味の悪いものを飲み込んだかのようにすわりが悪い思いがしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ