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382話 サイガ&アンタレス(※)

 白銀の風が走った。それと共に、魔物たちへ次々にダメージが与えられる。

 背後から襲いかかろうとしたものは、口内を白の穂先で貫かれ、すぐに引き抜かれた。

 上から襲いかかったものは、ひらりと避けてその目を串刺しにされ、さらに腹に一撃をもらい、槍の穂先で翼を切り裂かれる。

 あまりに、理不尽かつ暴虐であり、一方的な戦いだった。しかし、それだけではない。その白銀の影の側には常に赤蠍がおり、上手くアシストをする。魔物の気を自分に惹いたり、毒状態にしたりと、そんな感じだ。ただし、赤蠍もけして攻撃力がないわけではない。むしろ、防御力も攻撃力も高く、弱点としては間合いが短いこと、魔法攻撃にはそれなりに弱いぐらいだ。赤蠍のアシストで白銀の影はますますの暴殺を重ねていく。

「よし、全滅! おっつかれ、アンタレス!」

 赤蠍に親指を立てて、その背中をぽんと叩きながら労う。その毛皮にはほとんど汚れや傷などなく、彼がどれ程の実力者かを否応なく知らしめる。

「な、んで」

「ん?」

 暴虐の化身が振り向く。パーティーメンバーの一人が、わなわなと体を震わせていた。

「なんでこんなに強いのっ! お助けキャラってこんなだっけ!? 違う、絶対に違う。こんなのお助けキャラの域を越えてる!! サイガさん、何者!?」

「何者って・・・ただちょっと傭兵やってたぐらいだぞ、俺? 得物は一応槍だ」

「見ればわかるよ! いや、そうじゃない。そういう意味じゃない。落ち着け、落ち着けー」

「あ、女子生徒」

 落ち着こうとした矢先に、パーティーメンバーのベルが女子生徒を発見してしまう。その女子生徒は、魔物に襲われている最中で、またもや戦闘になるのだが。サイガとアンタレスが軽く蹴散らしてしまうので、パーティーメンバーはもはや死んだ魚のような目をしている。

「俺たちがいる意味ないよなぁ」

 回復役である僧侶のひっきこもり♪があーあと言わんばかりに肩をすくめた。

「あんたはまだいいやん、出番あるし。うちなんて、斥候役かたなしやで?」

 やれやれと、嘆息するのはベルだ。斥候役としてパーティーに入っているが、今のところ活躍できていない。

「それを言うなら、ミーたちもなのである。些か悔しいのである」

 魔法使いであるシャーナが、不満げに唇を尖らせた。

「俺、転職しようかな・・・」

 盾役兼リーダーのミツマメは、自分のふがいなさに、べきばきに矜持をへし折られていた。出番がないのだから、虚しくなるのも仕方がないと言える。

「ぶっちゃけ、六人パーティーにする意味ないやんな」

「ミーもそう思う」

「それは違うぞ。俺たちが簡単に敵を倒してる訳じゃない。武器の性能がいいだけだ。俺なんて、槍に頼りっぱなしだぞ、情けないことに。お前たちがそんなに気に病む必要はない」

 サイガが苦笑する。

「でもさー、気になっとんねやけど、その穂先ってなんでできとるん?」

「骨竜の骨。軽くて丈夫で、速さを出すには最適だな。穂先を付け替えれば、重い攻撃もできるようになる」

「すごっ。付け替え式なんや!?」

「穂先っていうのは消耗品だからな。まぁ、腕のいい鍛冶師を紹介してもらえたから、柄の方を変えなくてすむのは正直助かるな」

「二人とも! 話してばかりじゃなく、戦ってほしいんだけど!?」

 先程までやる気が落ちていたので、わざと戦闘に参加しなかったのだが、それも不満らしい。サイガは、面倒だなと思いながら、手加減しつつ、魔物へ攻撃を加えていくのだった。


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