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381話 眼鏡少女(※)

 キリキリキリ。

 魔力を矢の形状にし、弦をひく。その動作に全く淀みはなく、狙いをつけたのもおそらく瞬き一つか二つの間。弓弦から、指を離すと、あっという間に矢が飛んでいく。一矢、二矢、三矢。

 普通ならば矢が尽きるのであろうが、彼が放つのは魔弓の矢。魔力をすっからかんにしない限り、いつまでも射ち続けられる。更には、ヤマトまでもが前線で羽矢を飛ばしまくっては、魔物討伐に貢献してくれている。

 それらをパーティーの面々は頼もしく思いもするが、何故お助けキャラがこうも強いのか疑問にも感じる。一人は、魔物使いが育てた魔物だからということで、納得がいくが、ナーガについてはそう簡単に納得したくないというか。

「ふぅ。案外、魔物との遭遇率が高いみたいだな」

 彼らが戦っていたのは、学校に入る前の中庭になっている場所だ。

「そりゃあな。でも、上手く助けられたみたいだぜ、ほら」

 ヤマトに示された方を見遣れば、そこから女子生徒がだだっと走ってきていてお礼を言いに来るところだった。

「ふっ。くだらないわね」

「!?」

「え!?」

 いつのまにか、ナーガとヤマトのすぐ側に眼鏡を掛けた少女が、銀の長髪をさらりと手で流し、やや険しい表情で、ナーガたちを見下ろしてくる。

 美人だ。ややつり上がり気味のブルーアイズが、ナーガとヤマトを射抜いてくる。

 その少女の眼光に、何故かナーガもヤマトも直立不動になってしまう。

「ふんっ。あんたたちも、気をつけなさいよ。まだまだ敵は多いんだからね!」

 不機嫌に言い放つ少女に、名前を訊ねてしまう。

「私? 名前はジーンよ」

「あ、あの。ジーンさん。俺たちと一緒に行きませんか?」

「一緒? 貴方たちと? まぁ、いいわ。私の邪魔しないのなら、一緒に行ったげる。私としても、一人どーしようもなく監視しなきゃいけないのがいるから」

 監視? 誰を監視するのだろうか。ジーンが、監視するのが誰かなんて聞きたくないと、ヤマトもナーガも思った。

「あぁ、あんたたちは気にしなくていいわよ。気にしたら疲れるだけだし。まぁ、覚悟しときなさい」

「・・・・・・誘ったの、早まったかもしれない」

 ナーガの呟きに、ジーンが艶然と微笑んで、ばしっとその背を叩いたのだった。


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