376話 マサヤに追いかけられた。てへっ(ゝω・´★)
ひとまず、なんとかマクアみたいな女子生徒(?)が止まったところで、僕は後ろからがっしりと肩を掴まれた。
「テ〜ル〜ア〜?」
「マサヤ? どうしたの、何か目が据わってるけど」
「目が据わってるけど、じゃねえ! 今度という今度は許さねぇ、覚悟しろっ!!」
「うわっ!? ちょ、本気で斬りかかってきてない!?」
「よけんな! 受けろっ!! そして真っ二つになってしまえ!!」
「滅茶苦茶ホラーじゃん、それ!?」
追いかけてくるマサヤに、逃げる僕。
それを尻目に、女子生徒デカチビコンビと他のメンバーが話しているけど、どうやら一緒に行くことは了承してもらえそうだ、良かった・・・あぶなっ!?
頬のすれすれを剣がかすめて、どくどくと鼓動が早まる。
「マサヤ。落ち着いて。話し合おう、話し合えばきっととまではいかなくても、妥協点が見つかるかもしれないから」
「そんな言葉で誤魔化されるとでも? お前と何年付き合ってると思ってんだ? 反省はしても、次回に活かさずにおんなじことするのは、身に沁みて理解してんだよ、こっちは!おんなじことされるなら、一発殴らなきゃこっちの気がすまないだろうが!」
「マサヤ、殴るじゃなくて斬るだよ、それは!? 普通にゲーム内でも斬られたいわけないじゃん! 殴られたくもない!!」
痛いのはごめんだ。逃げ回りながら、早く誰かが助け船を出してくれないか期待したんだけども。
「いいぞ〜、やれやれ〜! そこだ、マサヤ君!」
「カカシ。見ているだけでいいのか? さすがにこのままではまずいと・・・」
「いや、あれはひどかったやろ。マサヤの気持ちもわかるで? 囮にされたようなもんやし」
「俺としても、あれはないと思ったっす」
どうやら、助けてくれる気皆無だね! そして、この無駄な追いかけっこで時間を浪費するのも嫌だし。
僕は、逃げ回っていた足を止めた。マサヤがついに観念したかと本気で剣を向けてくる。殺気が伝わってくる気さえするよ。と、いうか実はマサヤ、ワクワクしてるでしょ。剣道家の性かもしれないけど、それでもやられてる方はたまったものじゃないんだけど。
はぁ、と大きく嘆息し、僕は踏み込んできたマサヤの顔面に、それを振りかけた。
「ぐっ!?」
「あー、もらっといて良かった。シヴァ印の麻痺薬」
「て、る。・・・お、ま、ひ・・・きょ」
がくりとその場で倒れるマサヤを担いで、みんなのところに戻った。何故かみんなにドン引きされていたけど、どうかした?
さらに、マサヤに哀れみと同情が寄せられる。あれ? 斬られそうになった僕は? 自業自得? まぁ、そうかもしれないけど。
「マサヤ。友人はもっと選んだ方がいい」
「そうっすよ! こんなのと付き合ってたら、マサヤまで性格歪むっすよ!?」
「あー、一応、今はパーティーメンバーだから、俺はノーコメントで」
「これと腐れ縁とか、哀れすぎるね、本当」
みんなのコメントに、グサグサと心を抉られる可愛いげはあいにく僕は持ち合わせてない。ゲームでのこれは、毎回のことだから、いい加減マサヤも慣れきっちゃってるし。ひとまず僕たちは体育館に向かったのだった。




