374話 マサヤの予想外
「なんでこうなった!?」
「え?だって正也が僕の家に泊まるとか言い出したから、てっきりゲームしたいんだとばかり・・・」
僕が答えると、マサヤは頭を抱えた。
「いや、お前の家にしばらく泊まるからとは確かに言ったし、着替えの準備とかもちゃんと家から持ってきた。そこは認める。教科書とかも全部家から持ってきたし、課題でわからんところはお前に聞く気満々だったのも確かだ。しかし! なんで俺は今ゲームで普通にイベントをやる流れに巻き込まれてるんだ!? なんで俺、普通にこんなおっそろしいパーティーに組み込まれちゃってんの!?」
ちなみにパーティーメンバーは紅蓮騎士団のスレイさんに、カカシさん、僕、マサヤ、ほりっくわーかーさん、ミキさんの六人だ。ほりっくわーかーさんが回復魔法担当なので、僕としては楽できそうで嬉しい。
マサヤが僕にパーティーメンバーの件で訴えかけてくるが、そんなの決まってる。
「僕がマサヤと一緒がいいって、言ったからかな? カカシさん、黒い笑顔で、苦労仲間が増えるって喜んでたけど」
「本気か!? カカシさん!?」
「え。だって僕はスレイの暴走を止めるのに必死でそっちの方は手が回らなさそうだから。テルア君の暴走は、マサヤ君が止めてくれることを期待する!! 僕には無理!」
きっぱりはっきり、断言したカカシさんはどこか満足げだった。
「そんなに、暴れだすとすごいん? 友人やるのも大変やねんなぁ」
「え、そういう問題か? と、いうか。さっきから、気を抜きすぎなんじゃ、ほーりー。いや、俺が一応斥候してるけど」
「ミキ。実は昨日、会社に泊まり込みやったんや。疲れてるから、多少のミスは勘弁してな」
ほりっくわーかーさんのあだ名はプレイヤー名を略したのと、回復魔法が得意なところから、ほーりーとなっている。
呼びやすいので、僕もそう呼ばせてもらうことにした。マサヤはいまだ混乱してるのかぶつくさ言ってるが、すぐに戻ってくると思う。何故なら。
「あっ! 見つけたぞ! あっちにか弱い人の気配がある!」
現在、フィールドとして設定された女学院に隠れた女子生徒たちを僕たちは探しているのだ。
さて、今回のイベントは前回とはちょっと違った感じになっていて、ラブラブハート女学院(運営命名である)が、何故か異界へと飛んでしまい、校庭や校舎内にも魔物が発生してしまった。そのため、女学院の生徒が自宅に帰れなくなってしまったのだ。なので、その女学院に潜入して生徒を連れ帰ることが今回のイベントの目的となる。つまり、12人パーティーとうたわれていた説明は、実は運営の罠で、六人までのパーティーを組んで、女学院内を徘徊する魔物を仕留めつつ、女学院の生徒を見つけ出してパーティーに組み込んで、保護していくという形になる。
絶対このイベント考えた人、プレイヤーを誤誘導させるために説明を省いたんだと思う。性格悪い。
と、いうわけで今現在僕たちは女学院を探索中というわけだ。
「それにしても、女生徒の発見がなかなかないな。探し方が悪いのか?」
「あぁ、それ? 気配に敏い別パーティーが、僕らの先回りして女生徒救出してるみたいだから、仕方ないんじゃない? どうも、時間毎に同じ場所にポップするみたい。だから、熾烈な場所争いになってるっぽいね。PKとPKKが、入れ替わり立ち替わりやりあってるよ」
僕の返答に、全員が疑問の視線を投げ掛けてきた。
「忘れてない? 僕はもう、出発してるみんなの主だよ? 情報はみんなから送られてくるんだよ」
「あ、そうなのか」
「でも、みんなも苦戦してるみたいだね。どうせ場所争いに参加するのも今からじゃPKかPKKの違いぐらいしかなさそうだし。ちょっと、大物狙ってみる?」
僕の言葉に、嫌そうに顔をしかめる人は誰もいなかった。大物と聞いて、闘志をみなぎらせる人たちばかりだ。カカシさんは、もう決まったとばかりに呆れながらも開き直ってる。
話は決まった。僕はみんなの情報を元に、案内をし始めた。




