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373話 部活で人気(※)

 とりあえず、正也は輝を道場に連れてきた。大丈夫と考えても、なぜか嫌な予感がしたからた。ひとまず、輝は携帯端末で掲示板に書かれたデマについて抗議文を送り、さらに掲示板の責任者に対して、通報をした。誰がやったかは知らないがこれで使ったアカウントは即停止されて掲示板への書き込みもできなくなるはずだ。

 そして、練習が始まり、しばらくして。

 輝の側には部員が集まりまくっていた。

「ゲームできないのが辛い」と、言い出して、課題や予習復習、ゲームメンバーへの連絡も入れた後はやることがなくなったために暇潰しとして各部員の特徴ノートを引っ張り出して来て(九月作製)、それぞれの現状を全部ノートに書き出して、さらにそこから個人の特性に合わせた練習メニューを考えては書き付けていく。

 その練習メニューを一目見ようと、全員が集ってきてしまった。

「後で見せるから! ほら、練習してきなって!」

 部員を手で追い払う輝だが、効果は少ない。そこに、角張った男らしい顔と、身長百九十を越えている、剣道部部長である日道楽義(ひどうらくぎ)が、声を張り上げた。

「お前たち! 気にするのは練習が終わってからにしろ!」

 部長の喝に、部員たちがすぐに輝から離れた。急いで、練習を始める。

「ありがとうございます。日道先輩」

 部長の日道は、輝につかつかと歩み寄ると、その武骨な顔を弛めた。

「赤石も、騒がせてすまなかった。事情があるとはいえ、今日はゆっくりしていくといい」

「ええ」

「後で俺にも練習メニューを見せてくれ。合宿の時の参考になるから」

「わかりました」

 そして、日道は今度は正也に歩み寄ると腕を掴んで、道場の端までやって来て、正也をほめた。

「よくやってくれた、八敷。赤石を連れてきてくれたこと、部長としてお前に感謝する」

「いや、さすがにそんなに誉められるとは・・・」

「意外だと思うか?」

「いえ、思いません」

 何故なら、輝にこういうメニューを作らせてそのメニューを黙々とこなした夏休みで全員が凄まじく力量が底上げされたのだ。

 そのため、たまにしか来ない輝の来訪をかなり部員たちも好意的に受け入れている。

 喜一の様子を伺うと、特に輝に思うところがありそうな様子はない。掲示板に書き込んだ犯人ではなさそうだ。

「だとすると一体・・・」

 その時、日道と正也は同時に振り返った。強い視線を感じたのだ。そちらの方向には窓がある。もう誰もいないが、武道をしている二人は、自分たちが振り返る直前までそこに、誰かがいたことを確信していた。

「八敷。しばらく、赤石が嫌がっても、道場に連れて来い。いいな」

「はい、わかってます」

 正也は、しばらく登下校を輝と一緒にしろという部長命令を承諾したのだった。


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