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361話 バレンタイン騒動 2

 チャップに連れられて行った先は、鬱蒼と樹木が生い茂った、ジャングルだった。気温もかなり高く設定されているようで、マサヤは汗が出てきたように感じる。

「ど、どこだ、ここ?」

「ここは、地図でいうならどの大陸からも離れている、島が点在している地域、ヴィヴィレグです。そしてここにナーガたちがいるはずなんですが・・・あぁ、囲まれていますね」

 チャップが腕を振るうと、半球状の風の障壁がマサヤとチャップを包み込んだ。

 びゅびゅびゅっ。

 ジャングルから矢が降り注いだ。チャップが、障壁を張っていなかったら今頃はりねずみだっただろう。マサヤがぞっとしていると、チャップが水の玉を幾つも生み出した。それを、圧縮して撃ち出す。だが、それで、終わりではなかった。パチン。

「凍れ」

 ビキビキビキビキビキッ!!

 撃ち出して、割れた水が音を立てて凍りつく。一瞬、熱帯が冬を思わせる気温まで落ちる。

「グラッ!? マグラハマーッ!!」

「グラッ! グッググハー!」

「ハマンサー! ハマンサーッ!!」

 姿を現したのは、黒い肌をし、腰ミノを巻き、顔に白い幾何学模様を入れている、現住民っぽい存在だった。それぞれ弓矢や槍を持っているが、濡れた後に凍りつかされたおかげで、その表情には警戒や緊張が浮かんでいる。

「あ、あのー、チャップ? こいつら、何?」

「ここの原住民ですよ。さて、風で最初に届けたはずなんですが、来ましたかね」

「チャップーーーーっ! 来てたのか!?」

 飛び出してきたのは、黒髪を後ろにまとめた少年だった。紫水晶の瞳に、原住民よりも薄い褐色の肌。さらに、服装も腰ミノ一丁ではなく、白い布を組み合わせた涼しげな服だ。とはいえ、右胸を半分出しており、薄着であるにはあるのだが。

「うわ! チャップに手ぇ出しちゃったのか。そりゃ、こうなるわ」

 ナーガはありゃあ、と言わんばかりに額に手を当てたが、すぐに気を取り直した。

「チャップ。氷なんとかしてくんねぇ?こいつら、悪気があったわけじゃねえんだよ。な? 頼む」

「まぁ、あなたの様子からして、そうでしょうね。はい、解きましたよ」

 一瞬で魔法を解いたチャップ。それに、原住民は恐れ戦いているようだ。

「で、進捗はどうなってます?」

「あぁ、それなら、こっちに来てくれ。サイガもいるから」

 ナーガはくるりと背を向けて、原住民に、言い添える。

「フィブス」

 おそらく手を出すな、的な発言なのだろう。途端、原住民たちが、出迎えるように膝をつく。

 居心地の悪い思いで、マサヤは後をついていった。


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