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354話 内情は(※)

 とりあえず、呼びつけたのは自分なのだから、出迎えなくては、という気持ちから、スレイは待ち合わせ場所の応接室を貸しきりにして、テルアの到着を待つ。その間に、カカシが簡単にまとめてくれたゲーム内の噂話の報告書に目を通した。しばらくゲームにログインしていなかったので、ゲーム事情に疎くなっているのだ。

 様々な噂話と、真実が混じった報告書は、カカシが自分の見解と予想する正誤率もまとめて書いている。


「なかなか、興味深いが、あいつ、こんなのまとめて面倒じゃないのか?」


 これらの報告書は、スレイが目を通したあと、ギルドの書庫に納められる。情報収集は大事で、ギルドには時に急に現れた魔物の討伐やら、喧嘩の仲裁やら、事件の調査をを自主的にやったりすることもある。

 勿論、他にも派閥はいるのだが、今のところ、そこまで気になるギルドはあまりない。


 ところで、紅蓮騎士団のモットーは意外に思われるが、各自よく学び、よく遊べという、かなりの放任主義である。

 だが、けして不親切というわけではない。わからないことは、ギルド内で先輩のギルド員に訊ねると、知っている範囲内で答えてくれるし、ギルド内でのやりとりも盛んだ。

 この日にここに狩りに行くから誰か一緒に行かないか?というお誘いだったり、薬師ギルドや錬金術師ギルド等の生産職系のギルドから素材が欲しいという依頼書なんかが、エントランス付近の掲示板に貼ってあったりもする。

 それらをまとめているのが、まだまだ未熟なスレイなのだ。スレイ本人としても、趣味で立ち上げたこのギルドがここまで大きくなるのは予想外だった。幸い、組織運営に明るい人材が揃っているので、足並みが揃わないといったことはない。

 スレイは、待ち人が来るまでの間に、イベントのことについて思い馳せた。

 今回のイベントは最大で十二人までという制約がある。だが、このギルドのメンバーだけで組むということはないだろう。魔法使いギルドと連携しながら、バランスよくチーム分けをしたいなと考え、あとで知っている魔法使いギルドのギルドマスターに提案することを一人で決定する。

 コンコンコン。

 ドアをノックする音に、スレイは、体を緊張させた。

「入ってくれ」

 なんとか声を震えさせずに入室許可を出せた。約束の訪問者はすぐに、中に入ってくる。

「よく、来てくれたな」

「ども、お久しぶり、スレイさん。僕に何の用?」

 赤髪に琥珀の瞳をした子ども姿のプレイヤー。

 スレイが知る中でももっとも強いと素直に賞賛するだけの実力者。

 テルア・カイシ・クレストがスレイの前にいた。



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