353話 裏切ったな!?(※)
すみません! 予約掲載し忘れてました。
スレイは、柄にもなく緊張していた。と、いうのも、最近私生活が忙しかったために、今日久々に「ファンタジーライフ」にログインできたのだ。ログインして、どこかに経験値あげにでも出ようとしたところでカカシがら、ある噂を聞いた。
「おお! リーダー、これ、知ってる?」
カカシが作成した書類にスレイは、ざっと目を通して、驚く。
「なんだ、これは。あり得るのか、こんなことが?」
「うーん。僕もきちんと話を聞いた訳じゃないんだけどね。巨人マクアの指って、速いから普通に追いかけると大体見失うんだけど、捕まえた人間がいるんだって。しかも、それに関わってるのって、例のプレイヤーなんだよねぇ」
「マサヤ・ヤシキか。だとすると、捕まえたのは、テルアだな」
「やっぱりそう思う、リーダーも?」
「他に誰もいないだろう。いたら相手の顔を拝んでみたいぐらいだ」
スレイは、すぐにそう断じた。とにかく、あの赤髪の子ども姿をしたプレイヤーはポテンシャルがすさまじい。ここ最近、とんと噂を聞かないことが不気味だ、などとカカシは言っている。
「まぁ、それなら直接本人に話を聞く方がいいかもしれないな。フレンドメールでも送って・・・ん? 運営からのお知らせ?」
スレイは、不思議に思って、運営からのメールを開けてみた。
「これは・・・カカシ、これを見てくれ」
スレイは、メールをカカシに見せた。カカシは覗きこみ、へぇと呟く。
「なるほど。イベントのお知らせか。でも、いくらバレンタインの時期だからって、このネーミングはちょっと・・・いただけないね」
「あぁ。おまけにチーム戦だ。一チーム十二人までというのはともかく、人数とチームメイトによっては難易度もかなり変わるだろうな」
メールの内容はこんな感じだ。
〜イベントのお知らせ〜
ファンタジーライフをお楽しみのプレイヤーの皆さん! この度、新イベントの開催が決まりましたのでお知らせします。
今度のイベントは、バレンタインにちなんでラブラブハート争奪戦に決定しました!
一チーム最大12人まで登録できます。
このイベントではたくさんのキャラに勝負を挑んで、新密度を上げていき、新密度がMAXになると、素敵な贈り物がもらえます! シークレットキャラも登場予定! お楽しみに!
イベント開催期間
○月○日 14時 〜 ○月△日 0時まで
「戦いかぁ。なんでまた、こんなことになったんだろうね。色々あるのはわかるんだけど・・・」
報酬が明確に記されてないことも、少し、不満だ。まぁ、告知ならばこんなところかもしれない。
「ところで、カカシ。今から、暇か?」
「え?」
「テルアに、メールを送ってみたんだが、ここに来るという返事でな。お前も一緒に・・・」
さっと顔色を変えたカカシは、わざとらしく言い放った。
「あー、僕、そういえば今日は買いに行かなきゃならないものがあったんだ。それじゃあね!」
カカシは逃げていった。それを見送り、スレイは、ぼそっと恨みがましげに呟いた。
「裏切り者」
自分から誘ったこととはいえ、あのプレイヤーに一人で対峙するのか、と嘆息するのだった。




