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345話 また君たちか。

「お願い。助けて!! サジュンを助けて!」

 泣きじゃくりながら、眼前の少女は僕らに懇願する。ぼろぼろと涙をこぼしながら、彼女は願う。

 ここで助けなきゃ、僕らが悪者っぽいんだけど、これ。

「ちょっと落ち着いてくれる? まずは診るから」

 相手のHPを確認すると、一になっていた。回復薬を使おうとすると。


 生命力が弱々しくなっているので、使用できません。


 と、ログがでる。

 うわぁ、鬼畜仕様じゃん。ふぅん、それなら。


「あんまり使いたくないんだけどなぁ、これ」

 ポタポタと、呻くことさえできない青年に、取り出したそれを垂らす。

 パァアアア。

 光が辺りに満ちて、収まった。息苦しそうにしていた青年の表情は穏やかなものへと変化していた。

「うん、治療完了、と」

「何、使ったんだ? 普通の薬なら治んなかっただろ?」

「不死鳥の涙」

「うげっ」

 マサヤが、うわぁ、と思うのも仕方ない。あれ、貴重で僕も十滴くらいしか貰えてないのだ。さらに、この不死鳥の涙、効果は抜群、入手難度はとんでもなく高い。すなわち、一滴で億万長者になれるほどの金額で売却できるのだ。

 なんでそんなものを持ってるのかと言えば、ロード神から貰ったマクアから少し融通してもらったのだ。ほとんどゴーレム作成のために使用されたが、僕の手元には僅かに残っていたのが功を奏した。それは、まぁいいんだけど。

 

 回復アイテムに関して、運営は何か思惑があるっぽい。そもそも、効果抜群であるにも関わらず、今のところリアルマネーでしか取引できないような物品を持ってるかどうかというのは相当の運がなければまず不可能だ。そんな、罠とでも言う状況を打破したのだから御褒美もそれ相応においしいのでは、と考えたのだが。


「ごめんなさい。あたしたちは脱出するわ。こんな頼み事は、さすがにおこがましいのはわかってるんだけど。もしも、もしも、このダンジョンのボスを倒せそうなら、倒してほしい。これは、正式な依頼の前金の代わりよ。受け取って」


 ミハーラ帝国のペンダントを入手した!


「ミハーラ帝国のリゼから預かったって、ギルドで言えば、わかるはずだから。サジュンを助けてくれて本当にありがとう。あたしは、バカだった。その事が今回の件でよくわかったわ。危うく、あたしのわがままで犠牲者を増やしてしまうところだった」

 目を閉じて、リゼは自省してるようだった。

「願わくば、あなたたちが、このダンジョンを踏破してくれますように」

 言い残し、リゼはサジュンを連れてアイテムでダンジョンを脱出していってしまった。

 結局、なんだったんだろ、あの二人組?

 謎だけが残った出会いと別れになったのだった。


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