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341話 王墓の遺跡 7

「今のは、姫が悪いですよ。彼らの言い分の方が正しいです」

 普段は言いたい放題に言う従者のサジュンだが、この時ばかりは彼も自分の主である少女を非難した。少女は、ばつが悪そうに顔をゆがめている。

「もともと、ここに来たいって言ったのは姫ですが、このダンジョンは一般的に開放されてる。正確には、この中に入ることができる人間は限られている、でしょうけど。つまり、この中では別に彼らは俺らを助ける義務も義理もないんですよ、本来。それなのに、助けてくれた恩人相手に焦って礼儀を忘れてしまったとか、致命的です」

「……………。」

「ほら、そんな顔してる場合じゃないでしょ? でかい魔力を宿していることが幸いでした。これなら、階層が変わらない限りは後を追えます。早く彼らを追いかけますよ」

 そう。サジュンたちがここまで遺跡内に潜れたのは、サジュンの危機察知と魔力感知がずば抜けて高かったからだ。

 それ故、サジュンたちはことごとく戦闘を回避できたことが大きい。少女は、ぱんと頬を叩いて気合を入れなおした。

「そうよ。こんなところで、一つ失敗したくらいで立ち止まれない。あたしは、必ず兄の呪いを解くんだから」

 目的を再確認し、少女はサジュンの案内で、先程の二人組……いや、二人と一匹を追いかける。

 と、いうか今疑問に思ったが。

「ねえ、サジュン! よく考えたらおかしくない? なんでさっきの二人、赤蠍レッド・スコーピオンと一緒だったわけ!? それに、なんか乗り物代わりにしてたし!」

「そりゃあ……あれ? 魔物が仲間って、まさか魔物使い? だとしたら、とんでもない腕ですよ!? あんな高レベルの、しかもユニーク個体って、滅多に使役できるもんじゃないです! それに……」

「それに、何!?」

「あの赤髪の少年、ここら一帯の魔物よりもよっぽど魔力量多いです。この距離で感じ取れるって、非常識ですよ、本当」

 ぎゅっと唇をかみしめる。やはり、さっき何も話ができなかったことは痛手だった。

「あ、姫! ちょい、待ち!! 足元がやばい……」

 先導していたサジュンを追い抜いてしまった時に、悲劇は起きた。

 パカン。

 足元にあった床が抜けて、浮遊感が包み込む。

「きゃぁぁああああああ!?」

「姫!!」

 サジュンは少女に手を伸ばしたが、一緒に穴に落ちてしまい。

 もし、ここから生きて帰れたら、就職先変えよ。

 そんなことを思いつつ、サジュンは少女をかばいながら、重力にさからえず降下していくのだった。


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