335話 王墓の遺跡 1
王墓の遺跡は、砂漠にある。砂漠に出てくる魔物のレベルは40以上。さらに、遺跡内の魔物であれば45以上となる、中級者向けのダンジョンである。
王墓の遺跡の入口には、たくさんの石像があり、それらが最初の関門となる。
王墓の遺跡自体は地下にあるのだが、その入口は小さなピラミッドになっているのだ。
僕らが近づくと、ピラミッドの両端にいたスフィンクスとライオンの石像が目を覚ました。
石像が厳かな声で、告げてくる。
「この遺跡に何用だ、人間よ」
「この遺跡の中に入りたいんだ〜」
これらのやり取りは、実際は砂漠のオアシスにある街で情報入手しなきゃいけないんだけど、じいちゃんの本には侵入方法まで一応礼儀として書かれている。
じいちゃん様々だ。
「この中に入るには、我らを倒さねばならない。我らの試練を受ける覚悟はあるか、人間よ」
当然、返答は。
「あるよ」
「汝に我らが試練を与えよう。汝の力を示してみせろ!!」
スフィンクスの石像とライオンの石像が僕らに襲いかかってきたのだった。
「ちいっ!! 戦うなら、先に戦うって言っとけよ、お前!!」
「ええー。流れから大体わかってたじゃん、マサヤだって!」
僕は文句を言うマサヤに言い返しながら、師匠のカチさんからもらった魔剣の切れ味を試せるな、と思った。
実は、今回が初戦なのだ。ある程度練習で効果や威力は知ってるけど、それが現実に換算されるとどうなるかはまだ試してない。
と、いうわけで、試し切りのつもりだったんだけども。
「氷結斬」
初級のスキルを放つが、その威力はあり得ないほどに高められていたようで、スフィンクスに当たると、十分の一ぐらいまでHPが減少した。
いや、ちょっと待とう。氷結斬って、初期技なんだけども!?
威力高すぎでしょ! 属性攻撃、かなり強化するんだなぁと使ってて思いはしたけどね!?
これで、ステのブーストがついてないのだから、恐ろしい。
スフィンクス像はどうやら物理に弱いようなので、そのままさくっと攻撃を当てて、倒した。
ちなみに、マサヤは死ぬ死ぬいいながら、致命傷にならないよう、ライオンの攻撃を逃げ回ってる。
あの逃げ足の早さはすごい。
「マサヤー。助けた方がいいー?」
僕の問いは、逃げながらもマサヤにしっかり届いたようで、恥も外聞もなくマサヤが助けを求めてきたので、僕は風魔法でライオンを沈めたのだった。




