330話 売られた喧嘩はのしをつけて返す主義です。
その後は、ゲーム内でじいちゃんの居城の一室を借りて、魔術具造りをしていた。ネギボウさんや、マクアさんと一緒に誰が一番早く作れるかの競争や、時にどんな風にすれば、効率がいいかとか、最高級の品質にできるかとかの相談をしたりとかして、楽しく過ごした。
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そこまで、マサヤに語ると、何故か眉間にシワを寄せていた。
「マサヤ、どうかした?」
「いやまぁ、楽しそうで良かったなと思っただけだ。んで? 製作したこれをどうにかする方法を考えてると」
「うん!」
僕が肯定すると、マサヤは深い深いため息をついた。
「そもそも、造った後のことも考えろよ。こんな大量でどうやって処理すんだよ。いや、元々ぶっ飛んだ魔法を込めたこいつが悪いのか?」
「あ、マサヤ、マサヤ! あのね、これ、半分ぐらいは一応ゴーレムに付けようと思うんだ! それでね、敵が近づくとレーザー光線みたいに発射とか考えてるんだ! かっこよくない!?」
まずは発射の衝撃で壊れないように魔玉を結界で包む。着弾したところで、魔法が発動する、というプロセスを辿れば、武器としてはそれなりの使い勝手になると思う。
「「それはかっこいい(んだな)!」」
それまで構想を練っていたネギボウさんとマクアさんが二人とも嬉しそうに声を揃えた。
「でしょ!? だから、余るのは一応残り半分なんだ! それで、残り半分の始末をどうしようかなって・・・・・・マサヤ? あの、どうかした?」
マサヤは俯いたまま、乾いた笑みを浮かべている。
「あのさぁ、テルア。俺からしたら、このゴーレム軍団も十分脅威だと思うわけだ。なにせ、物理的な防御力も、魔法的な防御力も高いみたいだし」
「うん、だって、どっちも強くしとかなきゃ、まずいでしょ? 壊されちゃうし」
「そこはまぁ、反論しないさ。けどな? 世の中にはやりすぎとか、常識はずれとか、非常識過ぎるとか、ぶっとんでるとかいう言葉があってな? 今、ゴーレムにそんな恐ろしすぎる武器を持たすのはどうかと思うわけだ。そもそも、こんなの一杯造って、どこで使うんだよ!?」
「クレストのおじさん家」
僕がきっぱり答えると、マサヤは口を大きく開けた。
「クレストのおじさんとこの人たち、どうも僕を敵視しててさぁ。さすがに僕もずっと敵意向けられてると不愉快だから、ちょっとした嫌がらせみたいなものかな。ま、たいしたものじゃないけどね!」
「そうそう、ゴーレムにジャスティス神がサインするって言ってたんだな! すっごくいい笑顔だったんだな!」
「あ、それなら破壊不可とか捨てられないとかの効果が加わるんだ〜! わーい、壊される心配なくなるね、それは!動力の問題はあるけど」
「よがったんだな。もっと強くなるよ゛う、俺が改良ずる」
「戦争でも起こす気!? え、ちょ、大丈夫なのか、それ!?」
「大丈夫! クレストのおじさんに許可は取ってるから!! ・・・・・・戦いたいなら、ずーっと戦わせてあげればいいんだよ。あいつらには」
最後に僕が付け加えた言葉にマサヤは何故か震え上がった。少し遠い目をしてから、僕らに視線を戻す。
「どこのだれかは知らねぇけど、一番怒らせちゃならない奴を怒らせちまったんだな。・・・・・・死なねえことを祈るぜ」
その後、マサヤも魔術具の使い道をどうするか、真剣に考えてくれて、その日はお開きになった。
後日、ロードによると、クレストのおじさんとこの城は城内部全てが修練場になり、眷属さんたちは、ゴーレムに対して全員が苦手意識を抱えたとかなんとか。
世の中、誰にだって苦手なものができることがあるんだなぁ、と僕は他人事として処理したのだった。




