323話 ドキドキ! 初のお家(?)訪問
じいちゃんのところまで出向き、僕は相談していた。
「それで、じいちゃんに知恵を借りられたらと思って、来たんだけど」
僕がマクアを紹介するとじいちゃんもさすがに驚いたみたいだったけど、すぐに平静を取り戻し、解決策を考えてくれる。
「土、のぅ。できれば魔力を帯びたものがいいんじゃよな? それなら、いい場所が一つあるぞい」
「どごだ!?」
マクアさんの食い付きがすごい。
「武神クレストの居城」
じいちゃんの一言に、僕はぴしりと固まり、マクアさんは困惑気味に首をかしげた。
クレストのおじさんの居城。話し半分には聞いたことがある。クレストのおじさんの居城は、普段はクレストのおじさんの眷属が住んでいるらしい。クレストのおじさんは、あんまり居城にはいない。おじさんの場合、あちこちふらふらしながら、見所のある人を見つけては鍛えるのが趣味だからね。一年の内、数日居城に戻ればいい方だとか。まぁ、それ以外にも仕事があるみたいだけど。
でも、そんなところでいい土なんて手に入るのかな?
「クレスト神の居城にはたくさんの修練場がある。そこで毎日、クレスト神の眷属らが鍛練を行うのじゃ。必然的に、その修練場の土は魔力を豊富に含むことになる」
なるほど。その土をもらってくればいいってことか!
でも、クレストのおじさんの眷属って、何故か嫌な予感しかしないんだけど。
僕の気のせいかな?
「ねぇ、じいちゃん。おじさんの眷属ってさ、全員脳筋だったりしないよね?」
さっとじいちゃんが視線をそらしたのを僕は見逃さなかった。
「すまん。それについては、儂は答えられん。まぁ、実力者ばかりとは聞くかの。行くなら、ロード神を誘った方がよいじゃろな」
襲われること、半分前提!? 怖いね!
「俺がひどりでいぐのはむり゛か?」
「移動魔法を使えんお前さんがここから出ていくことはできんよ。テルアがついていった方が一番安全じゃろ」
そして、僕は護衛ね。ため息が最近多い。
「でも、じいちゃん。僕、クレストのおじさんの居城に行ったことがないんだけど」
「そんなときこそ、これの出番じゃよ」
じいちゃんが出してきたのは遠見の水晶だった。それに、クレストのおじさんの居城が映し出される。
なんというか、武骨でとても頑丈そうな造りの城だった。半分ほどは、金属でできているようだ。
そして、見ている内にみるみる城が破壊されていく。
つっこんだりしない。
なんたって、あのクレストのおじさんの居城だ。こんなの日常茶飯事だとしてもおかしくない。
息を大きく吸ってー、吐いてー。覚悟と決心を決めて。マクアさんと自分に補助魔法も掛けて、と。よし、準備は整った!
「じゃあ、魔法で移動するね!マクアさん、僕と手を繋いでくれる?」
マクアさんと手を繋ぎ、僕はじいちゃんに行ってきますをし手、移動魔法を使用した。
次の瞬間、僕らの前には、水晶に映っていた武骨で頑丈そうなお城の前に立っていたのだった。




