表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
320/424

319話 見張っときゃ良かった!(※)

 魔神の居城。その一室にて。

 眼前の光景に、マサヤは絶句した。マサヤとて、嫌な予感はしていたのだ。

 ゲーム内で、どこぞの悪友のせいで、自分のレベルじゃ死に戻り確定の魔境へと連れ去られてから、一週間が経過していた。部活に精を出していたし、掲示板にもそれほど、悪友の情報が上がってこなかったために、油断していた。そう、物事というのは水面下で動く事態もあり得ることを何故、自分は忘れてしまったのだろうか。

 この悪友に常識など通用しないことを、それこそ、数えきれないほどに巻き込まれた事件で骨身に沁みて理解しているというのに。

 がくり、と脱力したマサヤに、のんきに「え、マサヤどうしたの? 部活疲れ?」と訊ねてくる悪友の首を思いきり絞めたい。

「テルア。お前・・・」

 マサヤはビシッと眼前に転がるものを指差して絶叫した。

「なんでこんなもん大量に造ったんだぁぁあああ!! どうするんだよ、この危険物!?」

 マサヤが、指差したのは、丸い宝玉だが、その用途としては砲弾やら爆弾だった。宝玉の中に魔法が込められており、それを相手や地面に投げつけるとその宝玉に込められた魔法が発動するという物だ。その点はいい。そんな魔法具があること自体は特に問題はない。問題は、そんな魔法具を、五十畳はありそうな部屋を埋め尽くすほどに造り、さらには、全部にぶっ飛んだ魔法を込めた、制作者(悪友)だ。

「え? 使うしかないんじゃない?」

「誰が使うの!? なぁ、この量、一体何に使うんだよ!?」

「えーっと。それをマサヤに相談しようと思って、見せたんだけど?」

「お前は、やり過ぎという自覚を少しはもて! っていうか、この時点で完全に巻き込まれてんの、俺!?」

 頭を抱えてしまう。こんなぶっ飛んだ物、きちんと扱えるプレイヤーに売らないと大変なことになる。

 と、いうか。

「なぁ、テルア。まさかとは思うが、これ以外に隠してる物とかないよな?」

「? ないけど?」

 否定されてほっと安心したのも束の間。置物だとばかり思っていた部屋に石像が動いた。それも、一斉に。

 ちなみに、五十畳の部屋に置かれた石像は、おそらく十や二十ではきかない。

 見渡す限り石像に囲まれたマサヤが、思わず身構えると。

「おお! テルア、来てたんだな」

「恩人! どうだ、すごい光景だろヴ!?」

 浅黒い肌に、にこにこと笑顔を浮かべた身長五メートル程の巨漢に、それと反して小さくネギボウズを思い出させる頭の小男が嬉しそうにテルアに歩み寄ってきた。

「誰だ?」

「ネギボウさんに、そっちはゴーレム造りが趣味のマクアさんだよ」

「へぇ。って、まさか、この石像が動いたのって・・・全部ゴーレムなのか!?」

 そうだよ、と肯定する悪友の肩をマサヤはガッチリと掴んだ。

 もはや、あまりの事態に笑いだしたくなる。乾いた笑いしか出てこないが。

「テ〜ル〜ア〜? とりあえず、ここ一週間で何があったか手短に、話してもらえるか?」

 目が据わったマサヤに、テルアはこの一週間で起きたことを簡潔に話し始めたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ