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308話 魔界を目指してゴー! 4

 善は急げ、手柄は早いものがち、と、いうことで現在、僕は嬉々として街の外へとやって来ていた。

「おい、テルア! バカな真似はよせって! そんなの、解放したら最後、絶対に見失うって!」

「大丈夫! だってもう鋼糸は外しきってるし!」

 マサヤが止めようとしてくるけど、残念、遅いよ。びちびちと活きのいい魚みたいに動き始めたマクアの指を見せたら、うげぇと悲鳴を上げてマサヤは頭を抱えてる。

 別に、ただちょっと、大きいだけの指だよ? そんなに嫌がらなくてもいいんじゃないかなぁ。

「マーサーヤ〜?」

「うわっ! ちょ、それ持ってにやにやしながら近寄んな! いじめっこか、お前は!」

 マサヤが、及び腰になりながら、逃げようとするのを追いかけたい衝動を堪えて、僕は押さえつけていた指を離した。指は、しばらくその場でぐるぐるしていたかと思うと、すぐに起き(?)上がり、西の方向へと一直線に、移動を開始する。

「よし、マサヤ、追いかけるよっ!」

 マサヤの後ろ首をひっつかむと、僕はマサヤを引きずりながら、追跡を開始した。なるほど、速い。支援魔法なしで僕の全速力の半分程の速度は出てるだろう。あれでは、普通のプレイヤーは確かに追いかけても追いつけない。

 まぁ、こっちもマサヤって重石を付けてるから、いい勝負だけどね! 離せ、離せ〜と叫ばれているが、せっかくマサヤをおもしろそうな騒ぎに巻き込む・・・じゃなく、囮として使えるいい機会・・・でもなく、友達(フレンド)として一緒にゲームを楽しむこともたまにはいいよね! うん、さっきの二つはちょっとだけ頭をかすめただけであって、本気じゃない、本気じゃない。

「今、不穏な空気を感じたんだが!?」

「やだなぁ〜。そんなことないって、あ、ちょっと口閉じてね、マサヤ」


 へ?と声を上げるマサヤを僕は前方に向かって投げた。前方にいたビッグバードの群れのタゲがマサヤになる。マサヤに殺到しようとするビッグバードを効果範囲の広い風魔法で一掃し、その進路上でマサヤをキャッチして、ちょっとだけ速度を上げる。

「なるほど、追跡っていっても一応命がけなんだねぇ」

「テルア! お前今俺を囮にしただろ!? めちゃくちゃ怖かったぞ!?」

「大丈夫、大丈夫! マサヤってG並にしぶといし、悪運強いから!」

「殺す!? いつか絶対にぶっ飛ばす!?」

「え!? ぶっ飛ばすってことは、マサヤも僕と一緒にじいちゃんやクレストのおじさんらとの特訓に付き合ってくれるの!? 嬉しいなぁ。早速明日にでも聞いてみるよ!」

「待て!? 何故にそうなる!? あれは死ぬ以外の選択肢しかない、鬼畜修行だろっ!」

「一応生き残った見本がここにいるけど・・・」

「規格外のお前と一般人の俺とを一緒にするなぁああああ!!」

 と、他愛ないやり取りを楽しみながら、僕らは追跡を続けたのだった。

 


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